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0004雑記草


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000401

 先日出したクイズ*1の答え。

 北に1km、東に1km、南に1km歩いたら元の出発点に戻ってしまう南極以外の場所は北極の周辺にある。
 赤道上では真東に歩いていった場合、約4万km歩かないと元の出発点に戻ることができないが、極に近づくにつれその距離はどんどん短くなる。地球儀を見れば、緯線の一周が極に近くなるに従い短くなることが分かる。つまり緯線の長さが1kmになる所では真東に1km歩くと出発点に戻る。北極点から半径約1/(2π)=159mの円周上が丁度一周1kmになる。この円周上は東西どちらかに1km歩くだけで出発点に戻る。

 この円周上から南に1km行ったところが「北に1km、東に1km、南に1km歩いたら元の出発点に戻ってしまう」地点である。この点から北に1km行くと緯線が1kmの円周上に到達し、東に1km、つまり緯線を一周すると最初に元の点に戻る。そこから南に1km行くということは最初に北に向かった道を逆に辿っていくことになる。
 従って北極点を中心とした半径約159mの円周上から南に1kmの地点は、北極点を中心として半径約1159mの円周上にあることになる。

 更に一周で元に戻る点があるならば二周で元に戻る点もある。円周が500mであれば二周まわれば、1km歩いて出発点に戻る。従って半径は約1/(2×2π)=80mになる。100周でも元に戻る点がある。緯線をn周回って東に1km歩いたことになる円は北極を中心とした半径約1/(n×2π) kmの円である。
 よって「北に1km、東に1km、南に1km歩いたら元の出発点に戻ってしまう」地点は北極を中心とした半径約1/(n×2π)+1km(ただしnは自然数)の円周上にある。

 応用問題「北に1km、東に1km、南に1km、今度はまた東に1km歩いたら元の出発点に戻る点」はどこか。同じように考えて南極点を中心とした半径約184mの円周上にある。nを用いて表せば

 南極を中心とした半径約(-(n×2π-2)+√((n×2π-2)2+4×n×2π))/(2×n×2π) kmの円周上

となる。経路は余白がないので省略する。



*1 あなたの知らない世界

000402

 自然現象に擬人化した名前が付けられている場合がある。エルニーニョ*1はニュースなどでよく耳にした。スペイン語かポルトガル語で「神の子*2」という意味らしい。あまり聞かないがラニーニャ*3は「女の子*4」という意味らしい。どちらも気象現象の名前である。

 日本語だと台湾坊主*5があった。最近はあまり使わなくなったらしい。

 高師小僧(たかしこぞう)*6いうものもある。
 これらの中では高師小僧*7が一番可愛い感じがする。



*1 El Nino
*2 「神の子」現象 エルニーニョのお話
*3 ラニーニャ現象
*4 Mainichi Interactive デジタル切り抜き帳
*5 「台湾坊主」改め「東シナ海低気圧」
*6 なんでも 理科室
*7 高師小僧とは

000403

 お札には偽造防止の一手段としてマイクロ文字*1が印刷してある。

 このようなマイクロ文字はクレジットカードにも印刷されている。
 アメリカン・エキスプレス*2のクレジットカードにはカードの表の下部分の枠線は一見、細い黒線の様に見えるが拡大すると「AMERICAN EXRESS」という文字がびっしり書かれている。

 VISA*3提携カード場合はVISAマーク*4の枠線も単なる青い線ではない。拡大すると「AC ** ****」(*は数字)と書いてある。初めの2桁の数字は何を表すか分からないが、最後の4桁は提携先の番号になっている。つまりクレジットカード番号の最初の4桁がVISAのマークの枠に書かれているのである。



*1 マイクロ文字
*2 American Express Personal Card, Financial, and Travel Products and Services
*3 Visa Japan
*4 http://www.visa.co.jp/images/visa1_60x38_a.gif

000404

 22、3年ほど前のNHK*1の科学教養番組で「ウルトラアイ*2」という番組があった。様々な日常の科学的な現象を実験や取材で優しく解説する30分番組であった。もしかした40分だったかも知れない。夜7時の20分間ニュースの後だった様な気もする。たしか水曜日だった。

 番組の内容が興味深かったのは間違いないが、我々にはアシスタントのお姉さんが注目の的であった。女子大生アルバイトのようなアシスタントがいつも起用されていた。

 ある週、自分のお気に入りのアシスタントのお姉さんが出てきた。この時のテーマは血圧か何かでそのお姉さんに血圧モニターを付けてもらって一日過ごしてもらい、その時間変化を専門家の先生が説明した。

司会者(山川静夫*3アナウンサー)
「へぇ、一日でこんなに血圧が変化するもんなんですか」
専門家の先生
「そうですね。その人の活動の様子でかなり変化します」
司会者
「あっ、先生、朝の時間に血圧が瞬間的に上がってますよ!」
専門家の先生
「ああ、これは恐らくトイレで力んだのでしょう」

 傍らにいたお姉さんが顔を赤らめながらうつむいたのをカメラは逃さなかった。公開録画にもかかわらず、撮り直しもせずそのまま放映したNHKに当時私は感謝した。



*1 NHKオンライン
*2 1978年[ザ・20世紀]
*3 徹子の部屋

000405

 風呂の栓を抜くと北半球なら水の流れは左巻きになり、南半球では右巻きになるようだ。これは地球の自転による現象でコリオリの力*1という見かけの力の作用といわれる。

 こういわれると赤道ではどうなんだと必ず聞きたくなる。左巻きになる場合と右巻きになる場合とそれぞれ半分の割合で渦が巻くと思っていたが、こんな実験を紹介しているところ*2があった。
 赤道直下では渦は巻かずに真っ直ぐ流れていくらしい。

 北半球でも必ず左巻きに渦を巻くかといえば、手で強制的右巻きにしてやれば右巻きに流れていく。漏斗の形状やその持ち方で渦の巻き方を自由自在に制御できそうな気もする。

 風呂桶*3の排水孔は普通一つしかないが、これが隣接して同じ大きさの孔が二つあった場合、渦はどのようになるのだろう。
 どちらも同じ方向に渦を巻くと孔と孔の間では流れがぶつかり合うので、お互い逆の方向に渦を巻くのだろうか。孔が近すぎると渦は一つしかできないだろうし、充分な距離があれば両方とも同じ方向に渦が巻くだろう。その中間の場合にどうなるか。何となく互いに逆向きに巻くような気がする。

 赤道ではどうであろう。



*1 コリオリの力
*2 赤道の実験
*3 大風呂桶

000406

 原子間力顕微鏡*1という装置がある。AFM:Atomic Force Microscopeと略される。この顕微鏡は普通の顕微鏡とはかなり毛色が違う。

 最初の顕微鏡*2は1590年にハンス・ヤンセンとその息子のザカリアスによって作られた。これにより肉眼では見ることができない世界を見ることができるようになった。
 肉眼は光を感じて初めてものを見ることができるので、微小な部分を見るためにその部分から出てきた光をレンズで屈折させて像を拡大させるという発想はごく自然であろう。

 光を使った光学顕微鏡では観察する対象に光を当て、そこから反射される光をレンズで拡大する。つまり観察する対象に何かをぶつけて、そこから跳ね返ってくる情報を拡大するのである。
 この「何か」を光の代わりに電子にしたのが電子顕微鏡である。1931年頃発明された。

 電子顕微鏡*3は二種類の代表的なものがある。一つは透過型電子顕微鏡TEM*4で、もう一つは走査型電子顕微鏡SEM*5である。観察する対象の微小な部分に電子を当ててそこから出てきた電子を捕らえ画像に変換する。光学顕微鏡のように観察する対象から出てきた光を拡大するのではなく、電子顕微鏡の場合は微小な領域に電子を当てることにより像を拡大する。微小な領域に電子を当てられば、それだけ小さな場所の情報が得られということになる。

 光学顕微鏡も電子顕微鏡も光線や電子線といった「線」を観察する対象に当てた。
 ところが原子間力顕微鏡は観察するものに「*6」を当てて、なぞり、その時の針の上下の動きを捕らえて画像に変換するのである。この方法で物体の表面の原子の配列の様子が観察することができる。原子の並びはせいぜい1〜0.1ナノメートル(ナノメートルは10-6mm)だから凄いことである。
 そんな先が尖った針があるのか、と思うかも知れないが、針も物質である以上、原子で構成されておりその最先端は原子一個になっているはずである。従って原子の配列の凸凹を捕らえられるのである。

 針を観察の対象にぶつけてしまうとその対象の形が変わってしまう。だから寸止めの状態で表面をなぞっていくのである。「寸」止めどころではなく「ナノ」止めである。
 何らかの方法でそこまで近づけると針の先端の原子と観察物の表面原子が力を及ぼし合うようになる。これを原子間力という。この力を測定するか、この力が一定になるように針でなぞれば、表面原子の配列の凸凹を見ることができる。
 この原子間力顕微鏡はG.Binnig と H.Rohler*7が1982年に発明した。これは走査型トンネル電流顕微鏡STM*8から派生したものである。STMは原子間力の代わりに針と観察対象に電圧を掛けてAFMと同じように近づけていくと、その隙間に急に流れ出すトンネル電流を使う。観察する対象に導電性がないとうまく見ることができない。

 この顕微鏡で得られた画像情報はコンピュータで処理される。画像ノイズを取り除く強力な画像フィルターで、うまく見ることのできなかった表面構造を原子が整然と並んでいるかのように無理矢理処理することも可能である。

 ミリカンのように疑われないよう*9、気を付けなければならない。もっとも彼のような偉業を成さないと誰も詮索してはくれない。



*1 原子間力顕微鏡の原理と特徴
*2 顕微鏡
*3 日立製作所:計測機器事業部:知識のこみち
*4 透過電子顕微鏡顕微鏡
*5 日立製作所:計測機器事業部:知識のこみち:走査電子顕微鏡の仕組み
*6 原子間力顕微鏡の原理と特徴
*7 Heinrich Rohrer
*8 ナノメートルレベルでのpn接合の観察に成功
*9 ミリカンのデータ

000407

 最近は大分暖かくなってきたので、我が家の亀*1に俄然食欲が出てきた。
 自然界では冬の間は冬眠しているのだが、我が家では亀の水槽にヒータを入れてやったので冬眠はしなかった。人工飼育下で幼亀を冬眠させると死ぬ確率が高いということなので冬眠をさせなかった。しかし冬の間、水温は今の時期ほど高くないし、水からでれば冬の気温なので亀の活動はかなり鈍っていた。

 ミドリガメやイシガメ*2クサガメ*3など水棲の亀は水の中で冬眠をするらしい。爬虫類*4両生類*5は冬には冬眠することは知っていたが、亀が水の中で冬眠するというのは知らなかった。*6でさえ土の中で冬眠をする。
 冬眠の間、呼吸はどうするのか。一定の時間水中で過ごして息が苦しくなると起きて息を吸いにいくのだろうか。そんなことをしていたら冬眠にならない。

 冬眠をして水中にいる間は皮膚呼吸*7をしているらしい。喉の粘膜や肛門(総排出腔)の粘膜には毛細血管が集中していて皮膚呼吸が容易になっているらしい。それにしても元々肺呼吸しているのに皮膚呼吸で数ヶ月も水の中にいられるというのは驚異である。

 亀は爬虫類なので両生類と違って鰓呼吸をしたことないはずだ。子供の頃に鰓呼吸を経験する両生類が子供の頃を思い出して鰓の代わりに皮膚で呼吸をするのなら何となく分るが、爬虫類は最初から肺呼吸だ。肺呼吸から皮膚呼吸に切り替えるのは非常に勇気の要ることのように思える。

 皮膚呼吸をしている亀は何を思うのだろう。人間なら水中の酸素が薄くなったらどうしよう、とか心配したりしそうだ。しかしよく考えてみれば自分が寝ている間は大気中の酸素濃度*8を気にしたことは一度もない。亀もそんな心配は太古の昔からしたことはないのだろう。



*1 我が家の亀
*2 イシガメ
*3 クサガメ
*4 爬虫類の世界
*5 両生類の世界
*6 ニホンアマガエル
*7 ■6.亀〔生理,生態〕
*8 大気組成の変遷

000408

 ここで何度も登場している亀が今朝いなくなった。
 今朝、餌をやろうと思って水槽を覗いたら見あたらないのだ。昨日*1までは確実にいた。出かける前に餌をやったら猛烈な勢いで餌を食べていた。

 恐らく水槽から這い出して逃げていったのだろう。水槽から逃げられるぐらいの大きさに成長したのだ。約1年の短い付き合いだった。30年は飼うつもりであった。



*1 亀の冬眠

000409

 今年の初めに出した「四つの4*1」の答え。

 「四つの4」とは数の「4」とあらゆる演算記号とを用いて自然数を順番に作っていくクイズである。例えば「1」ならば「44/44」、「2」ならば「4/4+4/4」のように作っていく。

 究極の答えは、作りたい数をnとすれば、

 n= -log√4(log√4・・・(n+2個根号を書く)・・・(4X4))

 となる。2番目のlogの底(てい)*2の√4は4でもいいが、その時、n+2個の根号はn+1個でいい。しかし式の見た目の優雅さを優先させるならば√4の方がいいだろう。

 例えば「2」を表したいときは

 -log√4(log√4(4X4))

となる。
 式を整理していくと、4X4は4の自乗だから根号が一つ取れて
= -log√4(log√44)

√は1/2乗だから

= -log√4(log√4(4)(1/2*1/2))

 対数の真数*3の累乗はlogの外に出せる。また底と真数が等しい場合は対数の値が1になるので2番目のlogは消える。

= -log√4(1/2*1/2)

= -log√4(1/2)2

= -log2(2)-2= -(-2) = 2

となる。

 この演算式を用いればどんな大きな自然数でも「四つの4」で記述できる。
 例えば上式で1億を表したい場合、根号を100000002個も書かなければならないので、記述する紙やモニタの面積をかなり大きくするか、筆記具を極限まで細く*4したりモニタの解像度*5を100000000X100000000ぐらいにしないと表記できない。



*1 四つの4
*2 対数の基本公式と,底の変換公式
*3 Math-高校数学2
*4 WELLCOME TO ZEBRA SITE!
*5 Internet Business Center (接続環境−使用モニタ解像度)

000410

 「ヴ」という表記を最初に考え出したのは宮沢賢治*1だと聞いたことがある。よく考えてみると英語の「v」の音がどうして「ウ」に濁点になるのだろう。

 ドイツ語の「w」の発音は英語の「v」の音である。一方、英語で「W」の発音は「ウ」になるので、これから「ヴ」という表記ができたのだろうか。

 「u」はもともと「v」から派生した文字で、17世紀までは特に区別なく用いられていたらしい。英語では「w」を「uu」ダブルユーと称し、フランス語では「vv」ドゥブルヴェというのでその名残がある。
 日本語の「ウ」の発音を表す「u」と「v」が兄弟であることから、「v」の発音を表すのに「ヴ」としたのかも知れない。ただローマ字の歴史からすれば「v」から「u」が出てきたのだから逆と言えば逆だ。

 小学生の頃、この「ウに点々」というのが新鮮であると同時にどうやって発音するのか悩んだことがある。濁点は濁る音を表すので「ウ」が濁るとは一体どういうことなのか、思っていた。しかしそのうち慣れてきた。

 もう一つ読み方を悩み続けた表記があった。
 バャリース*2である。バ行の拗音*3はビャビュビョしかないはずである。それなのに「バャ」なのである。何故このような表記になるのか大人になるまで納得できなかった。

 現在は「バヤリース*4」と表記するようだ。



*1 宮沢賢治イーハトーブ館
*2 バーチャ・バヤボーヤ
*3 FONTWORKS - 文字の雑学
*4 Bire-ley's
 

000411

  先日、数の子*1の味付けをした。毎年の数キロ数の子を買い込み冷凍室に貯蔵しておき、思い出しては解凍して味を付けてご飯の添え物として食べる。酒の肴にもなりそうだが、家で酒は飲まないのでおかずになっている。

 醤油*21カップ、みりん*350cc、*450cc、*51カップ、鰹節を適量を鍋に入れ、火にかけて沸騰する前に火を止めて冷ます。解凍した数の子は塩漬け数の子なので塩を抜き、タッパー*6などに入れてから先程の味付けつゆを入れる。気になるなら鰹節は取り除く。自分は気にならないのでつゆと一緒に鰹節も入れてしまう。
 タッパーの蓋をして冷蔵庫に入れて半日以上経過すれば、つゆが数の子に滲みて程良い味加減になる。市販の味付き数の子は数の子のあの歯触りが失われているだけでなく、味付けも甘すぎて話にならない。
 歯触りのよい高品質の数の子を使わなければ、至福の時を味わうことができない。

 上に書いたように年末に買ってくる数の子は「塩漬け数の子*7」といってそのまま食べると塩辛くてとても食べられない状態になっている。そこで塩抜き作業をする。数の子を水の中に6時間ほど浸けて置くのだが、水だけに1日浸けて置いても数の子の塩はなかなか抜けない。
 そこで水に食塩を入れて食塩水にする。濃度は海水の半分ぐらいの辛さぐらい。入れるこの食塩を「呼び塩*8」と呼ぶ。これで3時間ぐらい浸けて再び水を換えて、また3時間ぐらい同じ様な辛さの食塩水に浸ける。そうすると数の子の塩辛さはかなり薄くなり程良くなる。この後、薄皮を取る作業をするが、最近は薄皮をとった数の子が出回っている。
 塩を抜きすぎると数の子は苦くなるので、その様なときはもう一度食塩水に漬けて塩分を少し戻してやる。

 この塩抜きの原理を数の子の卵の細胞膜が半透膜*9になっており浸透圧*10の関係から塩が抜けると説明しているところ*11がある。自分も以前はそうだと漠然と思っていた。

 しかし水分子は通すがナトリウムイオン*12塩素イオン*13を通さない半透膜であるとすると、どうやって塩漬けの数の子を作るのだろうか。半透膜なら数の子の卵の中にはイオンが入り込めないはずだ。
 ならば水分子もイオンも通す全透膜*14だとすると、何故呼び塩があると塩が早く抜けるのだろう。数の子の細胞膜にある分子を通す孔は細胞の中と外との塩分の濃度差によって大きさが変化するのかも知れない。
 濃度差が大きい時、つまり外が真水で卵の中が塩辛いときは孔が小さくなりイオンが通り抜けることができない。外の塩分の濃度が少し上がると孔が次第に大きくなりイオンが通り抜け卵の中の塩分がどんどん抜けていく。こんな仕組みを持った膜なのかも知れない。

 もしかしたら呼び塩を入れると早く塩が抜けるというのは単なる思い込みなのだろうか。



*1 井原水産、加藤水産
*2 キッコーマン 世界のしょうゆクッキング
*3 九重味淋株式会社
*4 愛知県江南市の酒蔵「勲碧・くんぺき」のホームページ
*5 シーガルフォー
*6 日本タッパーウェア株式会社
*7 魚臓腑料理
*8 タクワンの塩抜き
*9 ピチットの原理
*10 ピチットの原理
*11 知恵
*12 特集 日本の塩 〜塩づくりの工夫 1〜
*13 特集 日本の塩 〜塩づくりの工夫 1〜
*14 動物細胞の構造と各部の働き

000412

 間違えやすい言葉に「エバルト球*1」と「シュバルツシルト半径*2」と「シュバルツバルト*3」とがある。
 それぞれの意味はリンクを辿ってみて下さい。

 「シュバルツシルト半径」と「シュバルツバルト」を間違えるのは分かる。しかし「エバルト球」と「シュバルツシルト半径」はあまり似ていないと思われるかも知れない。どちらも物理学用語という点で混同してしまうことがある。

 間違え方は「エバルト球」を「シュバルト球」と言ってしまう。



*1 The Ewald Construction
*2 Andrew Hamilton's Homepage
*3 Schwarzwald - die Ferienregion in Deutschland !

000413

 学生時代に四字熟語*1クイズが流行った。例えばこんなものである。

 □通安□    答え「交通安全」

 という具合に日常生活で出会す四字熟語を探して二文字を四角で伏せて、元の熟語を当てるゲームである。一般に言われる四字熟語でもよい。「一□一□」と出題したならば、出題者の答えが「一期一会」のつもりでも「一朝一夕」「一日一善」「一喜一憂」どれでも正解になって出題者の負けとなった。

 出題者は出題に結構苦労する。まず四字熟語を思い出さなければならない。「携帯電話」を思いついたとする。すると伏せる字は、例えば最初の「携」と3番目の「電」にして「□帯□話」と紙に書いて回答者に見せる。

 しかし「帯」と「話」の漢字を見ればすぐ「携帯電話」というのが頭に浮かんでくる。これでは出題者の負けである。回答者の苦悶する姿を楽しむことが全くできない。従ってどのような四字熟語を選ぶかが要となる。なるべく訓読みのものがいい。四字熟語は大抵音読みなので訓読みが含まれると分かりにくくなる。更に熟字訓*2だと分かりにくくなる。熟字訓が含まれていても安心はしていられない。

 「□国為□」は一瞬「国事行為」かと思うが、すぐに「外国為替」だと気付く。

 また難しければ何でもいいというものでもない。「里□□美」と出題して、その答えと言えば「里仁為美*3」だと言っても殆どの人は聞いたことがないというはずだ。この様なときも出題者の負けとなる。人名や地名でもいいが回答者が答えられなくて降参して、出題者から正答を聞かされた時、その意外さと分からなかった悔しさを覚えるものでないと面白くない。隣の家のハゲ親父の名前「狭間 健治*4」で問題を作っても駄目である。

 また四字熟語の構成は大抵「二字熟語+二字熟語」か「一字+一字+一字+一字」なので、「三字熟語+一字」もしくは「一字+三字熟語」を探し出して二文字を伏せられると分からなくなるかもしれない。しかしそんな四字熟語は殆どない。「御御御付(おみおつけ)」「施餓鬼会(せがきえ)*5」などを辛うじて見つけることができた。でも厳密に言うとちょっと違う。

 当時、秀逸と言われた問題がこれである。

 □頭□頭
 □業□文
 大□□者

すぐに解るだろうか。



*1 Yoji Jukugo
*2 難読・あて字・熟字訓の辞典
*3 子曰、里仁為美、択不処仁、焉得知
*4 間 健治
*5 施餓鬼会(せがきえ)ってなに?

000414

 アイドリング*1伝説がある。その日、初めて自動車のエンジンをかけたとき、水温計の針が動き出すまでの時間かオートエアコンが作動し出すまで車を発進させない。エンジンをよく温めないとエンジンの寿命が短くなると言われた。

 理由はエンジン内のオイルがよく行き渡らないと擦り合わさった部分が磨耗してしまうとか、エンジンの殆どは金属製なので金属が冷たいと非常に脆いから充分エンジンを温めないで走行して余計な負荷をかけると部品が折れてしまうとか言われている。昔の自動車ならそうかも知れないが今の自動車はそんな弱くないはずである。それにオイルは一日やそこらで全部流れ落ちない。

 そこで8年前に新車で購入した自動車*2でアイドリングなしの発進実験を購入時から継続してきた。現在149000km走行している。

 その結果はエンジントラブルは一度もなし。これにより少なくとも家の自動車にとってアイドリングは必要がないことが解った。恐らく何処のメーカーの自動車でも同じ事が言えるだろう。根拠はあまりないが、自動車業界*3横並び体質は技術の世界でも言えることだと思われる。

 ただ注意したいのはいきなりエンジンを高回転にさせないことである。やはり金属が充分暖まっていない時の急激な負荷は金属疲労を引き起こすかも知れない。家の自動車の実験では水温計が動き出すまでの間、2000回転以上は極力回さなかった。

 アイドリング不要論は三本和彦*4氏がかなり昔から唱えていて、彼の著書を読んでこの実験をやりだした。発進の初期段階でエンジン回転数を上げないと言うことは走行速度を押さえるということだから事故防止にもなる。運転操作に慣れていない状態の数分間に事故が発生しやすいといわれているので「アイドリングなし」は地球温暖化防止だけではなく事故防止の二次効果も高いと考えられる。

 自動車のエンジンを止める時、最後にアクセルペダルを踏んでエンジンを一ふかしする人が時々いる。次の始動時にうまくエンジンがかかるようにエンジンの中にガソリンを少し入れておくという「まじない」らしい。これもアイドリング同様、無駄で意味がない。



*1 アイドリングストップ運動
*2 corona.jpg
*3 社団法人自動車技術会
*4 INSIGHT/インサイト インタビュー

000415

 妻と二人で新しい亀を採りに行った。先日逃げ出した*1の代わりを探しに行ったのである。

 自動車を走らせて暫くしたところに大きな池*2がある。普段は側の道を通るだけで池を覗いたことはなかった。しかし亀がいそうな池だと日頃から思っていた。

 周囲が網の柵で囲まれている。柵から覗き込むとコンクリートで護岸された池の岸辺で甲羅干しをしていた数十匹のミドリガメ*3が一斉に池に飛び込んでいった。野鳥も多く生息しており鴨や鷺も一緒に逃げていった。この時期は去年孵化した子亀がまだ地中から出てきてないのか甲羅が20cm以上ありそうな大きな亀ばかりであった。

 柵を乗り越えて亀が再び岸に上がってくるのをじっと待っていたが、なかなか戻ってこない。そのうちにヌートリア*4が草むらから顔を出し、池に飛び込み顔と背中を出して泳ぎだした。ヌートリアを見るのは初めてだった。何十匹の亀が顔を出して浮いている中をヌートリアは泳いでいったが、亀は逃げるでもなく平然としている様子であった。ヌートリアが草食性であることを知っているのだろう。

 池の北の方に行くと用水路が池の堤と並んでいるところがあった。その付近の池の中では大きな*5草魚*6がうじゃうじゃいた。本当にうじゃうじゃという感じであった。産卵の時期だったのだろうか。

 用水路は生活排水が流れているようでどぶ川と化していた。ここにも多くの大きな亀が日向ぼっこをしていた。
 すると妻が「あそこに小さい亀がいる」と云った。先日逃げ出した亀は甲羅が6〜7cmぐらいだったのと水槽の都合から、なるべく小さな亀を捕まえたかった。
 見るとミドリガメではない。日本固有種のイシガメ*7のようである。そこらで拾った柄の短いたも*8ですくおうとしたが、柄が短かったので妻が見つけた時は網が亀に届かなかった。
 少しの間、亀を見つめていたら、亀の方からこちらに寄ってきたので簡単に捕まえることができた。捕まえてみると甲羅が12〜3cmぐらいで結構大きかった。尻尾が少し切れて短くなっている。子供達に見せるため家に持ち帰った。

 生活排水の流れ込む広々としたどぶ川に棲んでいるのと清浄な水道水の狭い水槽とではどちらが亀にとって幸せなのだろうと思った。しかし人間の都合で環境を変化させているのでどちらが幸せかと考えるのは不遜の極みではある。

 地球にやさしい*9を強調するのも同じである。



*1 亀が消えた
*2 マピオン地図 愛知県刈谷市井ケ谷町付近
*3 アカミミガメ
*4 ヌートリア
*5 コイ
*6 ソウギョ
*7 イシガメ
*8 鮎・タモ網・曳舟
*9 JACOのホームページ

000416

 櫻の樹の下には屍体が埋つてゐる*1梶井基次郎*2の小説である。この一文が強烈すぎて小説の主題がよく分からないが、死体が埋まっていると想像すれば、桜の花の美しさが納得できるそうだ。

 確かに夜桜を見ると何だか怪しい雰囲気なので根本に犬や猫や馬や人の死体が埋まっていてもおかしくはないと思える。

 夜桜には水銀灯*3がよく合う。水銀灯の光に照らされた桜の花は何か独特の雰囲気がある。花見の時期になると公園などでは白熱球が入った釣り行灯*4に照らされた桜を見ることができるが、これよりも水銀灯の方が桜の花が浮き出して見えていい。
 水銀灯の分光特性*5には紫外線*6が多く含まれているので桜の花が蛍光*7を発して、浮き出して見えるのかも知れない。

 真夜中のひっそりした公園の中で水銀灯で照らし出された桜は威圧感がある。闇の中で桜が音を出しているような感覚になる。ぶーんと言うかどーんと言うか、とにかく低い音を発しているように思える。
 視覚によって聴覚が誘発されるのは別段不思議ではない。小説などで音の表現を読めば音がなくても頭の中で音が鳴っている。しかし音とは全く関係ない物から音を想像するのはなかなか普段はしない。文字やその音から色を想像するというのは聞いたことがある。無理矢理想像してみると「あ」や「う」、「お」は暖色系*8で「い」「え」は寒色系*9である。
 それにしても自然に鳴る筈のない音が聞こえるのは桜の花の美しさのせいなのか。

 よく考えてみると音がするのは水銀灯の安定器*10が発する音のせいかも知れない。

 それにしても桜には水銀灯がよく合う。



*1 櫻の樹の下には
*2 梶井基次郎(かじいもとじろう)1901〜1932
*3 電気灯NYシリーズ
*4 花の名所案内
*5 Lights and their recording methods 光と光の記録
*6 紫外線強度積算計
*7 世界一明るい夜光物質の誕生
*8 色彩の心理的効果
*9 色彩の心理的効果
*10 トーエイ工業・安定器

000417

 また*1に逃げられた。今度は網を張った蓋を作って逃げられないようにしたつもりであった。中が良く見えるように網の目が4cm程度のものを使ったことがまずかったのだろうか。

 午後の数時間の出来事であった。甲羅の長さが12〜3cm、幅が6〜7cmぐらいなのでどうやって網をすり抜けたのか皆目見当が付かない。無理矢理抜けようとすれば抜けられるような気がするが、亀にそんな力があるのか。

 何れにしろ、連続する亀の失踪を重く見て我が家では「亀禁止令」が発令された。



*1 亀再び

000418

 *1が戻ってきた。家は4階なのだが、下の砂場で歩いているのを息子の友達が見つけた。

 遊びに来てみたら、砂場で亀が歩いていたらしい。その子は我が家で亀を飼っていたことを知っていたのか、亀が下にいたと言って下から4階まで持ってきた。妻はその亀を見て「それ家の亀!」と思わず言ったらしい。丁度その時は息子はどこかに行っていたので自分では亀を持つことがどうしてもできない。そこで息子の友達に水槽まで持っていってもらったそうだ。

 何故、亀が下にいたのかはよく分からないが、とりあえずよかった。少し元気がなくなっているように見えた。元気になったら池に戻してやるかも知れない。

 従って「亀禁止令」は暫定解除とする。



*1 亀禁止令

000419

 ミドリガメ*1が戻ってきた。10日ぶりの生還である。

 朝、戻ってきたイシガメ*2の様子を確認しにベランダ*3に出て、ふと横を見たら、失踪したミドリガメがこちらをじっと見ているではないか。10日間も一体どこに行っていたのか。甲羅は乾燥して所々皮がめくれていた。しかしこれは脱皮の時と同じ状況なので命には別状ないと思われる。

 亀の食べられる餌はどこにも落ちていない筈なのでおそらく飲まず食わずだったのだろう。少し弱っているようであった。しかし亀の健康の指標である眼の輝きは元気な時と全く変わっていないので大丈夫であろう。

 早速水槽に入れてやった。体重が軽くなっているせいか、沈まずに浮いている。暫くすると甲羅に水が滲みたのか水に潜れるようになった。長い間、水を飲んでいない筈なので水槽に入れてやればすぐに水を飲みだすと思ったが、そんな様子はない。ただ定期的に頭を水面から出して息継ぎをするだけである。

 犬や猫のように逃げてもひょっこり帰って来ることはないと思っていたが、2匹とも帰ってきた。なんとも不思議な感じがする。



*1 亀が消えた
*2 亀帰る
*3 TOTO「バーセア」でベランダガーデニングTOP

000420

 GPS*1という物がある。身近な例で言うと自動車などで目的地までの道筋を表示する機械*2に使われている。GPSとはGlobal Positioning Systemの頭文字で地球規模での位置特定方式のことである。これによって自分が今地球上のどの位置にいるかを知ることができる。

 GPS用の人工衛星からの電波信号を解析することにより自分の位置を知ることができる。元々GPSはアメリカの軍事目的*3で使用されるため、位置を精度よく求めることのできる電波信号は一般には受信できないようになっている。自動車などで使われるGPSは故意に精度を落とした一般向けの信号が用いられている。

 自動車の場合、誤差の大きいGPS電波信号による位置の誤差を補完する為に強制的に地図上の道路に表示*4させたり、電波が届かないようなトンネルなどに入った場合も自分が動いた方向や距離を割り出す自律航法*5が利用されている。

 GPS衛星は高度21000kmの6個の円軌道上に各々4個ずつ、計24個、およそ12時間で地球を一周する速度で周回している。空が開けた場所なら地球上のどこにいても常に5個以上のGPS衛星を観測できるようになっているらしい。

 GPS衛星からの電波でどうやって自分の位置を求めているのか。自分の位置座標を未知数xyzとして衛星の位置座標と衛星と自分との距離で求める。衛星と自分との距離は衛星から発信されたGPS電波信号が自分に届くまでの時間に電波の速度、即ち光の速度*6を掛ければ出てくる。従って衛星から来る電波信号には衛星の位置とその信号が発信された時刻の情報が入っていることになる。
 自分の位置座標xyzを求めるためには3つの方程式が必要になる。従って衛星が3つあれば十分であるように思えるが、実際は4個必要となる。

 電波が衛星から自分のところに届くまでの時間を正確に測るためには衛星の時計と自分の時計が同じ時刻を刻んでないと駄目である。しかし自動車に付いているようGPS受信機の時計はそんなに精度は良くない。そこで衛星の時計と自分の時計のずれを第4の未知数として計算するため最低でも衛星が4個要ることになる。

 他の誤差の原因に電離層や対流圏*7による電波の速度の低下がある。上記の速度は理想的な真空中での話である。真空以外の空気や水その他あらゆる物質を通過する場合、伝搬速度は遅くなる*8
 それにしても光や電波の速度の変化が日常生活に少しでも関係してくるとは何とも凄い世の中である。



*1 GPS(Global Positioning System)
*2 カーナビとは 【カーナビゲーションシステム】 - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典
*3 The Pentagon: Headquarters of the United States Department of Defense
*4 マップマッチングとは 【map matching】 - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典
*5 自律航法の動作方法
*6 光の速度
*7 なぜなぜふしぎサイエンス/地球のふしぎ/空はどこまであるの?
*8 臨界

000421

 Nick Holonyak*1は世界で1962年に初めて可視光の半導体レーザー*2を光らせた人である。半導体レーザー*3はCDやMD、DVDのピックアップに使われている。これがなかったら手で持ち運べるような小さなCD、MDプレーヤー等はできなかったであろう。

 先日アメリカの特許*4を調べていたらNick Holonyak,Jr.という人*5が考えた発明の特許を見つけた。

「Jr.」が付いているのでNick Holonyak*6の子供なのだろうかと思った。親子二代にわたって半導体技術という世界の科学者をやっているなんて非常に珍しい。親子で同じ分野の科学者というのはあまり聞いたことがない。研究室で知り合って結婚した夫婦*7なら、同じ分野の科学者同士となるが、親子となるとなかなか例がないのではないか。

 もう少し調べてみると世界で初めて半導体レーザを光らせたその人であることが分かった。本人にはもともと「Jr.」が付いていた。それにしても未だ現役で特許を出願*8しているというのはそれはそれで凄いことである。

 ところでNick Holonyak,Jr.博士が子供の名前に「Jr.」を付けたい場合はどうするのだろうか。



*1 Nick Holonyak Jr. - ECE faculty information
*2 ニック・ホロニアック・ジュニア博士(アメリカ合衆国)
*3 LDの特徴と読み取り光源としての応用例
*4 United States Patent and Trademark Office Home Page
*5 United States Patent: 5,327,448
*6 The Quartz Watch
*7 キュリー夫妻
*8 United States Patent: 5,936,266

000422

 「象」という漢字は六書*1で言えば「象形*2」である。事物の形を直接に漢字にしたものが「象形」と言われる。つまり象の絵から「象」という漢字が出来上がった。馬や亀や牛と同じ類である。

 「象」を「ぞう*3」と読むときはゾウ目に属する哺乳動物を意味し、「しょう」と読むときには形とか姿を意味する。象形は物をかたちどることなので「ぞうけい」ではなく「しょうけい」と読む。「ぞう」も「しょう」も音読みで「象」の訓読みはない。「ゾウ」はもともと日本にはいないので「象」に当たる和語が無いからである。

 同じ漢字で読み方によって、具体的な動物の名を表したり、「かたち」と言う抽象的な概念を表したりする珍しい漢字だと思う。動物のゾウと「かたち」という概念はどのように結びついたのだろうか。

 その動物の特性や行動から別の物の性質を場合がよくある。蛇や犬などは動物そのものではなく、その性質のみを人に対して表すのによく使われる。これらはその動物を見ていれば、どうしてそういう意味で使われているのかがよく分かる。
 しかし地上最大の動物のゾウ*4を見てどうやって「かたち」という概念を表そうと思ったのだろう。

 単に大きいかたち*5だったからだろうか。



*1 文字と書体の豆知識《雑学編》
*2 『民俗學について・第二柳田國男對談集』より「象形文字と音標文字」
*3 ゾウ保護基金
*4 アジアゾウ
*5 アフリカゾウ

000423

 アボカド*1を長い間「アボガド」と思っていた。検索サイト*2で「アボガド*3」を調べると結構沢山出てくる。皆さん同じように間違えていらっしゃる。

 原因は「アボガドロ数*4」であろうか。アボガドロ数とはイタリアの科学者アボガドロ*5に因んで付けられた物理、化学の定数である。それとも「カ」の前の「ボ」の音に引きずられて「カ」が濁ってしまったのだろうか。

 アボカドを日本人が一般に食べるようになったのはここ十数年前からと思う。それ以前に学校で「アボガドロ*6数」を習った人は「アボガド」と勘違いしてしまうのではないだろうか。



*1 Calavo - The First Name in Avocados
*2 インフォシーク
*3 インフォシーク アボガド
*4 アボガドロ定数
*5 アボガドロ
*6 Absolute Measurement of the Density of Water etc.

000424

 日常生活にかかわる余分な摩擦、例えばエンジンの摩擦とかビデオの回転ヘッドの摩擦などを全てなくすことが出来ればGDP*1の数%にあたる経費が節約できるという。それぐらい摩擦は我々の生活に物理的な作用だけではなく経済的にも影響を及ぼしている。

 固体と固体との摩擦力*2は摩擦面に働く垂直な力に比例して大きくなる。物体が動き出す直前の摩擦力を式で書くとF=μNである。μは摩擦係数*3と呼ばれる数、Nは摩擦面に垂直に働く力で垂直抗力とも呼ばれる。摩擦力は接触面の面積には関係なくそこに働く垂直な力だけで決まる。
 摩擦する面積が増えると何となく摩擦が増える気がするが、垂直な力が同じならば摩擦力は同じである。接触する部分が増えるが、単位面積当たりの垂直に働く力はその分減るので接触による摩擦力は変化しない。
 ところで摩擦力を表す式は経験から求められた式でF=ma*4のように定義された式ではない。

 固体と固体との摩擦を細かく見ると実際に互いに接触している面積は見かけの接触面積よりもずっと小さい。どんなに平坦に磨いた面でも原子間力顕微鏡*5で観察すれば凸凹している。この微小な凸凹が互いに接触しあって固体と固体とが接触しあっている。どんなに硬い物質でも凸凹の面積が小さいためそこにかかる圧力は非常に大きくなり、互いに潰れあってくっ付いて接触している。

 そこに接触面に平行な力をかけるとその潰れあって接触している微小な凸凹がそこで踏ん張るので摩擦力が発生する。平行な力をかけるのを止めると摩擦力はなくなる。

 更に平行な力を加えていくと、ついには微小な凸凹の接触が耐えきれなくなって物体が動き出す。しかし動けばまた新しい接触面が出来て微小な凸凹が新たに潰されくっ付き、そして耐えきれないので凸凹が離れる、というのを繰り返しているはずである。

 ここで不思議なのは止まっているときの摩擦係数即ち静摩擦係数*6と動いているときの摩擦係数、動摩擦係数*7とではどんな物質でも常に動摩擦係数の方が小さいということである。
 摩擦の原因が微小な凸凹の接触で同じなのに動き出すと摩擦係数が何故小さくなるのか。尤も動摩擦係数が静摩擦係数よりも大きかったら物体は滑らかに動くことが出来ないだろう。

 一体、微小な世界*8では何が起こっているのだろうか。



*1 SNAメニュー
*2 2-3.摩擦力
*3 5−3 本実験で学ぶ力学の基礎
*4 物理あるいは工学における<重量と質量>
*5 原子間力顕微鏡
*6 A3 静止摩擦係数
*7 主要な結果 3・・・動摩擦係数
*8 原子レベルの摩擦ナノトライボロジー

000425

 呉智英の「言葉につける薬*1」を読んでいたらこんなことが書いてあった。イスラム教*2のアラーの神の「アラー*3」とは神そのものを表していて「アラー」という名の神がいるわけではない。そしてアラーAllahのAl-は冠詞でアルコールのアルやアルカリのアルと同じらしい。
 イスラム教では神は一つしかないからわざわざ固有名詞を作る必要が無く一般名詞で十分だそうだ。アラビア語*4でも神が唯一であれば固有名詞か一般名詞かを区別する事は出来ない。しかしイスラム教が成立する以前にアラビア語*5はあった。「神」という一般名詞はアラビア語にはあるはずだ。

 これに何となく似ているのは日本の天皇家*6の名前である。天皇家には名字がない。もともと名字*7とは武士が勝手に名のりだしたものだから天皇家に無くて当然である。*8がないといった方がいい。姓は天皇に支配されている者が名のる呼称なので天皇自身には付いていない。
 名字や姓は出自を表すものだから、天皇の場合、出自は唯一で明確なので必要がないのだろう。この辺がイスラム教の神を表す言葉が一般名詞で十分というところに似ている。

 日本語の場合、イスラム教のアラーのように特定なものを表すのに一般的な言葉や用法を使って表現する例は「天皇家は名字を持たない」以外にあるだろうか。

 英語にはある。「the City*9」はロンドンのテムズ川北岸の一角の金融・商業地域を指す。「the Bank*10」はイングランド銀行のことである。「the Zoo*11」でロンドン動物園になる。



*1 http://hp.vector.co.jp/authors/VA013051/fuzi/medicineForLogos2.jpeg
*2 宗教関連リンク集
*3 イスラム教について
*4 アラビア語入門
*5 アラビア語入門
*6 宮内庁ホーム
*7 名字見聞録
*8 姓氏の雑学
*9 ABOUT LONDON
*10 Bank of England - About The Bank
*11 Welcome to London Zoo

000426

 一万人でジャンケン*1をやったらいつ勝負が付くだろう。延々とあいこが続き、途中、貧血で倒れる者や腱鞘炎*2になってチョキが出せなくなり勝負無効を訴える者などが続出して中止になるかも知れない。

 ジャンケンで代表を一人決める方法は二つある。一つは上に書いたように全員が同時に勝負する方法である。もう一つは全体を構成員が2人以上のグループに分けて勝ち抜き戦で代表を決める方法である。一万人の中から一人の代表をジャンケンで決めるときは後者の方法が能率的であると思う。

 考えてみるとどちらの方法でも対応できるゲームというのはなかなかないのではないだろうか。トランプでは52人以上同時に勝負できないし、どんなスポーツでも同時に一万人の試合が成立するのはない。と思ったら運動会でやる騎馬戦や帽子取りは何人いても出来る。小グループに分けても成り立つ。

 それにしても誰が考えたのか分からないが、ジャンケン*3という遊びは奥が深い。



*1 『ジャンケン必勝法初級編』
*2 腱鞘炎について
*3 Janken Multiculturalpedia

000427

 直木賞とは文芸春秋社*1が昭和10年に設置した大衆文学の新人に与える賞である。正式名称は直木三十五賞*2。芥川賞の正式名称は芥川龍之介賞*3

 直木三十五*4は31歳の時、直木三十一という筆名で文芸時評を書き、毎年その筆名を三十二、三十三と変えて三十五でとめた。本名は植村宗一。「植」の字から「直木」としたのであろうか。

 直木三十五*5は1934年に44歳で没した。



*1 文藝春秋ホームページ
*2 直木三十五の名を記念して、芥川賞と同時に昭和10年に制定された
*3 芥川龍之介の名を記念して、直木賞と同時に昭和10年に制定された
*4 早稲田と文学(直木三十五)
*5 ペンネーム図鑑(近代日本文学)〜な行

000428

 LSI*1を作る為の最も基本的な材料はシリコンである。美容整形などで「シリコン」を入れるとよくいうが、これは「シリコーン*2」の事であってLSIの材料のシリコンとは違う。違うと言ってもシリコーンはシリコン原子が多く含まれて構成された分子の重合体*3であるから全く違うわけではない。少しは共通点がある。しかしシスコーン*4シスコムーン*5とは全然違うので注意したい。

 LSIの製造で使うシリコンは結晶化しているシリコンで、しかも巨大な単結晶*6である。直径20数〜10数cmで長さ数10cmの単結晶である。身近なもので言えば立方体の塩粒やダイヤモンドが単結晶*7である。これがそのまま巨大化した物と思えばよい。因みにダイヤモンドは炭素の単結晶であるが、炭素原子の並び方とシリコン単結晶のシリコン原子の並び方は全く同じである。
 結晶というのは結晶を構成する原子や分子が整然と並んだ状態をいう。
 ただし、身の回りの大抵の結晶は小さな結晶の粒が多く集まった多結晶*8という状態である。結晶の中身が全部整然と原子や分子が並んでいる状態を単結晶という。単結晶の粒が集まったものが多結晶である。丁度、多結晶と単結晶の関係は角砂糖と氷砂糖の関係である。氷砂糖を細かくして立方体に固めれば角砂糖である。味は大体同じだが、水への溶け方や硬さなどの性質が変わってくる。シリコンでも同じで化学的な性質は同じだが、電気的機械的性質が変化する。

 LSIを製造するときには巨大な単結晶のシリコンをハムを切るように薄く輪切りにしたものを使う。輪切りにしたものをシリコンウェハ*9と呼んでいる。

 この巨大な単結晶を作る方法に代表的なものが二つある。一つはフローティングゾーン法*10、あと一つはチョクラルスキー法*11である。フローティングゾーン法よりもチョクラルスキー法*12の方が大きな単結晶を作ることが出来るが、フローティングゾーン法の方が酸素などの不純物が少ない単結晶*13を作ることが出来る。そしてチョクラルスキー*14とは人の名前である。

 それぞれ長い名前なのでFZ法、CZ法と略される。どちらも「Z」が付いているので共通の単語の頭文字かと思うが、FZは「Floating Zone」の頭文字で、CZは「Czochralski」の最初の二文字である。

 学術用語でも韻を踏むことがあるようだ。



*1 LSI製造工程
*2 取扱商品(シリコーン)フレーム
*3 テープを支えるポリマー合成
*4 日清シスコ株式会社
*5 zetima Online
*6 Shin-Etsu Chemical Homepage
*7 ti-snow
*8 ti-snow
*9 The Silicon Journey
*10 単結晶インゴット製造技術の概要
*11 CZ単結晶
*12 CZ単結晶製造装置の概要
*13 コマツ電子金属 製品情報
*14 Article about Jan Czochralski

000429

 先日、電車に乗ったら車内の座席が遠足の小学生で占領されていた。仕方がないので小学生が座っている座席の前で立ちながら本を読みだした。

 暫くすると座席に座っている小学生が私の読んでいる本の表紙をじっと見つめていることに気付いた。その本の表紙には人の顔をした花を眺める中国人の絵が描かれていた。これが気になったのであろう。

 その小学生と目があった。そうしたら向こうから話しかけてきた。

「その本、何が書いてあるの。おもしろいの?」
「面白いよ。いろんな事が書いてあるぞ。君たち、遠足か。どこに行くの」
「交通公園。おじさんはどこへ行くの。会社?仕事しに行くの?」

 少し遅めの出勤だったので疑問に思ったのだろう。

「そうだよ。これから仕事」
「何の仕事?」
「○○の仕事。○○って分かる?」
「ふーん。うちのおとうさんは自動車を作っているよ」
「そうか」
「これ内緒なんだけど、うちのおとうさん、耳が聞こえないんだ。お母さんも聞こえないよ。だから手話*1で話しするんだ」
「ほぉ、じゃあ君も手話が出来るのか。凄いな」
「うん。でも絶対内緒だよ」

 一体、誰に対して内緒なのだろう。周りには彼の友達がいて、今の会話を一緒に聞いていた。
 一体、誰に内緒だろうか。ここに書いてはまずかっただろうか。



*1 手話入門トップページ

000430

   クレジットカードで品物を買うとその品物の値段に対応した点数が蓄積され、ある点数以上になるとカード会社が提供する商品と交換できるという制度がある。

 大抵、その点数には有効期限があって有効期限切れ直前になって自分の持っている点数が中途半端であると無理矢理何か買って点数を足したくなる衝動に駆られる。カード会社の思う壷である。

 あるカード会社の点数は100円毎に1点が蓄積される。そしてその点数の有効期限は3年である。点数の交換対象商品には様々な物がある。時計やカメラ*1電気髭剃り*2から折り畳み式マウンテンバイク*3まである。

 交換対象製品の一覧をよく見ると外国製のスポーツカー*4があるではないか。交換点数が4100000点。とするとカードで支払う金額は410000000円分。4億1千万円分である。3年間にクレジットカードでこれだけの買い物する人というのはどんな人なのだろう。それにカードの利用制限が事実上ないということになる。



*1 637 : Polaroid
*2 Braun - Shaver
*3 シマノサイクルコンポーネントホームページ
*4 ALFA SPIDER



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