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0110雑記草
011002知らないと損*1をするという言い方がある。逆でもいい。知ると得をするでもいい。損か得かはその当事者だけの感覚の問題であって、第三者は全く関係がない。関係がないはずである。それなのに「知らないと損をしますよ」と言われると気になってしまう。第三者なのにこういう忠告や助言をするのはその人自身も「知らないと損」という言葉が気になってしまうからであろう。本当に大きなお世話である。
ただ、ここで言う損か得かは金銭の問題であって、意義が有るか無いかとは違う。直接的であろうと将来的であろうと金銭的に損か得かはその人の考え方によるが、ある事がその人の人生にとって有意義になるかどうかの忠告や助言は大きなお世話ではない。そういう言葉が聞き入れられないのは人間として未熟である。
「損をする」と聞くと何故気になるのか。「損得」という言葉は金銭の問題で使うのであって、有意義である、価値がある事に対しては使わない。しかし意義や価値は金銭に換算できる場合が多いので「損をする」と言われると何か自分が持つ価値観を否定されるような気がするのかも知れない。
少し前に宝石か何かの商品広告で「何故価値があるのか」と言うことを説明した文言を見かけた。人の価値観等は人それぞれなのでどうして価値があるのかは本来他人は説明できない。共感は出来るが、客観的には説明できない。このような話はいくらでその物が売れるかが気になる売る側の話題であって買う側の話題ではないのである。購買者がその価値を決めるのであって商品を供給する側はその価値など決められる筈がない。それを買う側の話として読んだり聞いたりしてしまう。
「知らないと損」「何故価値があるのか」など当事者にしか意味のない言葉を第三者が発するのは話のすり替えのようなものである。それに気付かず、その発言に影響されてしまうのは何とも情けないことだ。
*1 知らないと損する税金知識
011003自動車に乗っていたら、前を走るトラックの荷台*1の扉の部分に「大人がのっています」というシールが貼ってあったのを見つけた。
「赤ちゃんがのっています」というシールや看板を乗用車の後ろのガラスに貼り付けているのを見かけだしたのは10年ぐらい前からだろうか。一時期はよく見かけたような気がしたが、最近は余り見かけなくなった。出産率*2がどんどん低下しているからだろうか。
そうではないだろう。あのシールを貼ることが余りにも意味のない行為であると多くの人が気付いたからであろう。「赤ちゃんがのっています」を見かける度に「だからどうした」といつも思っていた。貼っている人はどう言うつもりで貼っていたのだろう。赤ん坊が急に泣き出して急ブレーキをかけるかも知れないから気を付けて欲しいという意味なのか、頻繁な加速や減速は赤ん坊の脳に影響があるからのろのろ運転になってしまって申し訳ないという意味なのか。何れにしろ自動車の運行は道路交通法*3に則って為されているので、運転の仕方に言い訳など要らないのである。
こういうシールを付けている母親の中には助手席に幼児用座席*4を装着している人がいるかも知れない。シールを貼ることよりも幼児用座席を後部座席に装着することの方が重要であることに気付いていないことになる。
これ程意味がないということを踏まえると「大人がのっています」というシールはかなり秀逸な洒落になっている。他によく見かけるトラックの洒落シールはある。最大積載量の表示で「積めるだけ」「ちょっとだけ」「貴女だけ」「会社次第」などを見かけたが、これは「大人がのってます」に比べるとひねりが少ない。
*1 日本フルハーフ株式会社
*2 出生数、出生率及び合計特殊出生率
*3 道路交通法
*4 チャイルドシート連絡協議会
011004歴代首相漫像湯呑み*1という茶碗がある。寿司屋の湯呑み*2で魚偏の漢字が歴代の首相の似顔絵になった物である。
高速道路のサービスエリアのお土産コーナーでかつてはよく見かけたが、最近は見られなくなった。これを見る度に一体どんな人が買うのだろうか、とよく思っていた。お土産コーナーには首相漫像の湯呑みだけではなく「親父十訓」だとか「おばあちゃんの知恵袋」といった類が書かれた手拭いや暖簾など売り物として成り立っているのかと思いたくなる物が沢山あった。そう考えながら、それらを手に取って眺めるていると運転の疲れを癒すことが出来た。もしかしたらこれら商品の主目的はそれであり、売ることは二の次だったかも知れない。
しかし家には首相漫像の湯呑みが存在*3している。売れるはずのない首相漫像の湯呑みが何故あるのか。筆者が高速道路のサービスエリアで買ったのである。買った当時、二人*4目の愛知県*5出身の首相が誕生した。その人は海部俊樹*6である。湯呑みの写真の上から加藤友三郎*7、近衛文麿*8、石橋湛山*9で一番下が彼である。
首相が交代すると漫像湯呑みの一番最後に新しい首相の顔が追加される。顔が最後に載っているのはその内閣が成立している時だけである。当時、筆者は海部内閣は短命だと思っていたので一刻も早く湯呑みを手に入れなければならないと考え、実際に買ってしまった。手に入れなければならないと考えたのは筆者と同郷だからである。
こういった理由で結構売れていたのかも知れないが、サービスエリアでは見かけなくなった。国会議事堂では売っているらしい。関係ないが、外国人に持たせるお土産としてもいい。その時は首相の名前がローマ字になっていた方がいいだろう。ローマ字版が出たらもう一つ買いたい。
*1 YOMIURI ON-LINE Bit By Bit
*2 魚漢字湯のみ 日光陶器店
*3 manzou.jpg
*4 加藤高明
*5 愛知事典
*6 海部俊樹
*7 加藤友三郎
*8 近衛文麿
*9 石橋湛山
011005雑記草を読んで下さっている或る方からこんな質問を頂いた。携帯電話のアンテナマークは何のためにあるのでしょう。圏外、レベル1、レベル2、レベル3は何を表しているのでしょう。
筆者は携帯電話*1を持っていない。5、6年前に、携帯電話を契約したことがあったが、一ヶ月間に使ったのは一回きりでしかも数秒しか使わなかったので、これは必要ないと判断し電話を止めてしまった。それ以降、権利だけを保有していた。加入していた携帯電話はTACSと呼ばれるアナログ式の通信方式*2を採用していたが、その方式を電話会社が廃止してしまった。権利はどうなったのか判らない。何か手続きを促す手紙が何度か来たような気がしたが、放置しておいたので、恐らく権利は消滅したと思われる。
その時の携帯電話にもアンテナマーク*3はあったような気がする。アンテナマークは現在のデジタル式の携帯電話だけではない。
あのマークは携帯電話が電波を受信している状態を示していて、アンテナの横の棒が多い程受信状態がいいことを示している。携帯電話はラジオやテレビではないので電波の受信だけではなく発信もするが、あのマークは受信の状態だけを示しているらしい。
携帯電話技術者の知人に聞いてみると面白いことを教えてくれた。「圏外」表示中はできるだけ受信しようとするので、通常よりも定期的に何度も受信レベルを上げて受信しようとするらしい。従って、圏外環境では一般的に電池の消費が早いというのだ。ちょっと考えると電波が届きにくいので電話が掛かってこないから電池の消費は少なくなるような気がしていたが、逆らしい。
ただ、携帯電話がそういう仕組みに設計してあると言うことだけであって、物理的に電波が弱いと電池が早く減るという訳ではない。最近はこの仕組みの欠点を解消するために色々工夫されているようだ。
次に何故レベル表示があるのだろう。携帯の使用者は受信電波の強さを知らなくても通話の品質さえ確保できれば問題がない。圏外かどうかを知る必要はあるかも知れない。電話が通じないのは携帯電話が壊れているのか圏外で受信できないのかの判断が出来ないからである。それ以外は相手の声で判断できそうなものである。
結局、レベル表示は圏外表示の必要性と同じで「ちょっと」だけ聞こえにくい時に、携帯電話が悪いのか電波が悪いのかの判断のためであろう。
*1 携帯電話の電波
*2 DDIニュースリリース
*3 今こそ、アナログ
011006天気図の記号*1に昔から少し疑問に思っていたことがある。天気図の記号は基本は○でその丸の中に空の状態や雨や雪などの天気を書き込むようになっている。雨は丸の中を黒く塗りつぶし、晴れは丸に縦線を一本入れる。日本晴れの時は丸だけ、というのを知った時に、何故、雲が少しある晴れは縦線一本なのだろうと思っていた。
雨は何となく心が沈む天気なので黒丸というの納得できる。雪は結晶が大抵六角形なのであの記号も判る。曇りは何故二重丸なのだろう。この辺りから訳が判らなくなってくる。そして快晴ではない「晴れ」は何故縦線一本なのか。
天気記号*2を見ると不思議な記号がある。砂塵嵐の記号の由来は何か。砂塵嵐の記号*3は「砂sand」の「S」と風が吹く様を表す「→」との組み合わせらしい。煙霧の記号は何故「8」の字を横にしたものなのか。煙霧の時は視界が得られないので辺りをうろうろしている状態を示しているのだろうか。だとすると天気ではなく人間の行動を示しているのでこれはちょっとおかしい。それにしてもどんよりした感じを記号で表現するのは相当苦労したであろう。雹や霰の三角の記号は何となく氷という感じが伝わる。四角や六角では雰囲気が出ない。ただ、この記号を見ると武田製薬*4をいつも思い出す。曇りの二重丸は余った記号を当てはめた感じがしないでもない。
さて「晴れ」の記号、丸に縦線はどこから来たのだろうか。元々我々が新聞などで目にする 天気図の記号は日本式と呼ばれるものである。この日本式は国際式天気図記号と呼ばれる100個からなる記号*5を簡略化したものらしい。国際式*6では丸の中に書くのは「雲量」で、雨や雪などの天気は別に丸の外に書く。国際式では雲の量を8段階*7に分けており、1/8の状態が「丸に縦線」の日本式での「晴れ」になっている。黒丸は空が全天を覆っている状態で、日本式の黒丸が「雨」とは食い違っている。日本式では「曇り」は余りの記号の二重丸*8である。国際式では天気を詳細に表現するため雲の様子と雨や雪など地上に直接影響のある現象を明確に分けて記号が作られているようだが、日本式では雨の時の雲の様子など一般の人にとってどうでもよい項目を削って作られている。
日本式の記号の一覧表を見ていると一番最後に丸に×の記号*9が出ている。意味は「不明」である。天気は外に出て空を見れば雨が降っているのか晴れているのかは判るので、不明なんていうことはどういうことか、と思っていた。無人観測で天気が判らない時に使うようだ。国際式では丸は雲量なので、×は空が見えない時にこの記号を使う。無人観測は丸に横二重線で区別されている。
日本だと「×」は駄目*10の意味になる。日本式の記号で丸に×だと「天気がダメ」という感覚にどうしてもなってしまう。国際式の「×」はローマ字の「x」で予測できない、未知*11という意味なので図形と意味とは一致している。
*1 天気記号
*2 天気記号・日本式
*3 森田さんのお天気ですかァ?
*4 武田薬品工業株式会社
*5 Weather Symbols
*6 国際式天気図
*7 Unisys Weather: Surface Data Details
*8 地上天気図の書き方
*9 天気記号
*10 丸出だめ夫
*11 x 1. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
011007昨日の夕方、はっきりと色が区別できる雲の中の虹*1を見た。カメラを持っていなかったので写すことは出来なかったが、家族全員で見ることが出来た。太陽の直ぐ隣に出ていたので普通の虹*2とは違う。子供達は普通の虹と何が違うのかよく判らなかったようだったが、赤、橙、黄、緑、青が雲の中にはっきり現れていたので、喜んで見ていた。
高速道路を走っていた時に見つけたので、乗っている自動車の向きが変わったのと防音壁などでそのうち見えなくなってしまった。
専門的には彩雲*3と言うらしい。この彩雲を見られるのは30年に一度と言われるぐらい珍しい現象である、と何かの本に書いてあった。確かに虹ほど見られる回数はないと思われる。
雲の観察を趣味にしている人なら高い頻度で見ることが出来るかも知れないが、家族全員で見ることが出来るのはそんなに滅多にないだろう。いいものを見た。
*1 雲の中の虹
*2 虹の内側
*3 彩雲
011008幼少の頃、心霊写真*1が怖くて仕方がなかった。と同時に見たくてしかたがなかった。当時、心霊写真と言えば中岡俊哉*2で、中岡俊哉と言えば心霊写真、と言うぐらいに心霊写真業界の第一人者であった。糸井重里*3が「中岡俊哉ならミッキーマウス*4のジグソーパズルを自殺現場にひそむ地縛霊の写真に組み替えてしまえる」と評するぐらい、何の変哲のないスナップ写真から霊の姿を探し出すことを得意としていた。筆者も色々訓練して街路樹や森が写った写真から人の顔を抽出する技を会得し、友人を怖がらせたりしていた。
心霊写真の定義にもよるが、写真を撮影した時点では死んでいてこの世にいないはずの人の顔が写っている、というのが本来の心霊写真であろう。「死んでこの世にいないはず」を押し広げて「あるはずのものが写っていない、ないものが写っている」というのも最近は心霊写真に入れているようである。例えば人の足や手が写るべきなのに写っていないとか、足だけが写っているとか、撮影時には見えなかった筈の光のすじが写っているとか、こういうものも心霊写真の仲間になっている。
写真は漢字からすれば「真を写す*5」という意味なのでどうしても写っているものが本当の姿であると考えてしまう。しかし写真に写ると言うことと実際に見える、存在するということ間には大きな隔たりあることを忘れてはいけない。写真が写ると言うことはフィルム上の薬剤が光に反応して変化*6することである。赤外線や紫外線など光の中には人間には見えないけどフィルムの薬剤には反応する光もある。
見えるはずのものが写らない、ないはずのものが写るというのは、「はず」であって実際は記憶が曖昧なだけであろう。足が写っていないというのは撮影の瞬間に足を掻くために上げたのかもしれない。そんな些細なことは普通の人はいちいち憶えていないので、出来上がった写真を見て「足が一本ない」と騒いでしまう。
そもそも心霊写真で亡くなった知人の顔が写っている、というのを見たことがない。顔が写っていても知らない人ばかりである。これはどう言うことであろう。心霊写真はレンズの影響による周囲の写り込み、カメラの動作異常による二重露光などが原因だからではないだろうか。もしくは作ろうとして作ったからであろう。
*1 「心霊写真に取り憑かれた人びと」
*2 中岡俊哉ホームページ
*3 ほぼ日刊イトイ新聞
*4 ミッキーマウス
*5 写真の意味
*6 カラー写真の原理は?
011009塵や気体分子などが殆どない宇宙空間では流れ星*1は見えない。「見えない」のではなく発生しない。地上や空でで観測される流れ星は宇宙空間に漂う塵が地球に落下する時に地球の大気との摩擦*2によって温度が上昇し発光する現象である。温度が上がればどんなものでも光を放つ*3。流れ星は大気によって熱せられ光を放つ現象なので宇宙空間では起こらない。
宇宙空間ではレーザ光線も見えない。自分が光線の標的になればよく見えるが、端からは見えない。光線の軌跡が見えるのは空間に塵や分子が浮遊していてレーザ光線の一部がその塵に散乱されて*4見えている。散乱するものがない宇宙空間ではレーザ光線は見えない。
同様に「雷」も見えない。雷は雷雲がなければ発生しないのだから宇宙では雲が出来ないので見えなくて当然、という意味ではない。雷は電気の放電現象なので宇宙空間でも「稲光」や「閃光」が発生するような気がするが、もともと稲光とは電気の放電経路にある気体分子などがイオン化して発光する現象なので、その気体分子が殆どない宇宙空間では光を出すことが出来ない。
電気の担い手は電子の他、イオンや陽子など荷電粒子であるが、それだけでは光は発生しない。光を発生させる仕組みがないと発光しない。そのためには電子と原子核の構造を備えた分子や熱で振動する原子、分子や素粒子が必要である。
*1 ワンポイント科学講座
*2 科学さろん
*3 体温計
*4 平成9年10月表紙 チンダル現象について
011010「2001年宇宙の旅*1」で出てくるコンピュータ「HAL」の由来は「IBM*2」のアルファベットを一字ずつ前にずらしたものとよく言われている。「Heuristically-programmed ALgorithmic computer*3」の略であるという説もある。作者がそう言っている*4ので間違いないとしているが、色々な影響を考えて後で取って付けた可能性は十分ある。作者*5がそう言ったのだから後から考えた由来だろうが何だろうが関係ない、それが由来である、と考えるべきかも知れない。
この記事を書くきっかけはこのメールマガジン*6であった。このメールマガジンはインターネット上にある証券会社マネックス証券*7が発行している。ここの社長である松本大*8が書くコラムに「マネックス」の由来が書かれていた。HALと同様、MONEYの一歩先を行く貨幣という意味でMONEYの「Y」を一字前にずらして「MONEX」としたらしい。
オリックス*9やアラクス*10など日本企業は「〜クス」が好きな傾向がある。それに倣って「マネックス」と付けたと思っていたが、ちゃんと理由があった。もしかしたら社名由来を頻繁に聞かれるので、これも後付で思いついたのかも知れない。
関係ないが、かつて頭痛にノーシン*11は「荒川長太郎合名会社」という会社が製造販売していた。社名が余りにも前時代的なので、アラクスという名の会社を作って古くささを払拭したようである。
*1 真空2
*2 ibm.com
*3 ASCII番外地
*4 Movies/HAL wordplay on IBM
*5 Arthur C. Clarke Unauthorized Homepage(Japanese Version)
*6 マネックスメール 2001年10月9日号
*7 マネックス証券
*8 CNET JAPAN : Newsmakers :松本 大(マネックス証券)
*9 ORIX Harbor
*10 アラクスチェックワン・サイト
*11 ノーシン
011011白沢という妖怪がいる。「はくたく」と読む。姿は人間の顔をした牛で「くだん*1」よりももっとおどろおどろしい。因みに「くだん」は「件(くだん)の」という言葉が「人」と「牛」から出来ていることから出来た妖怪という説がある。
白沢*2は中国の伝説の妖怪で、徳の高い治世者*3の世に現れ、人の言葉を解し、病魔を防ぐ力があると信じられていたらしい。 人間の顔をした牛と言うだけではなく、その顔には第三の目が眉間に縦についている。更に背中には4本の角と6個の目がある。こちらの絵*4を見ると背中には8本の角がある。その代わり背中には目が描かれていない。こちらの新作の白沢*5は龍みたいな形をしている。
背中に目や角があるというのは、恐らく元になった絵を描き写すうちに背中の皺が角や目に見えて、それが知らぬ間に明確に角や目として描かれるようになったのであろう。
白沢を知ったのは数年前であった。岐阜にある「くすり博物館*6」を見学した時に知った。白沢が気に入ってしまったので土産物コーナーで手の平サイズの白沢の置物*7と手拭いを買ってしまった。置物はこれ*8の複製のようである。置物には付録として「お守り*9」がついていた。心霊写真*10は信じていないが、お守りは何となく信じる場合もあるので財布にずっと入れてある。
プリントアウトして財布に入れておくと病気に罹らなくて済むかも知れない。だが何枚印刷して効力が変わらないというところが、まじないの胡散臭いところでもある。
*1 『幻想文学』56号
*2 くすりの神様
*3 官邸トップページ
*4 白沢図
*5 妖雅球鍍
*6 くすり博物館
*7 hakutaku.jpg
*8 白沢像
*9 hakutaku2.jpg
*10 心霊写真
011012昨日の置物*1ついで。家には福助の置物*2が数個ある。白沢と同様、異様で滑稽な形をした置物に何となく惹かれてしまう。仙台四郎*3とかビリケン*4とかも気になるのだが、家にはまだない。
現在、家には大中小の福助*5がいる。単なる福助ではなく、深々とお辞儀をした福助で顔が全く見えない。置物としては顔は作り込まれていない。見えているのはちょんまげの天辺だけである。
こんな置物*6である。一番小さい福助の前にあるのは500円玉である。大中の福助は貯金箱になっているが、小の福助は残念ながら貯金箱になっていない。その代わり、赤い座布団が始めから作り込まれてしまっている。全く「その代わり」になっていないが、いいだろう。
このお辞儀福助の女版もある。これは一種類*7しかない。「お福」と勝手に呼んでいる。
これまた残念なことに貯金箱になっていないのである。
*1 白沢
*2 お辞儀福助
*3 福の神 仙台四郎
*4 Billiken
*5 福助ギャラリー
*6 fukusuke.jpg
*7 ofuku.jpg
011013アフガニスタン、タジキスタンなど中央アジアの国々には「〜スタン」という言葉がついている。プエルト・リコ*1やブルース・リー*2などのように耳慣れない外国の言葉などどこで切れるのか勘違いしやすいが、アフガニスタン、タジキスタンは日本語の感覚の通り「スタン」で切れる。
上記の他にカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、パキスタンがある。筆者はパキスタンが「スタン」国であることに最近気付いた。一体この「スタン」とは何を意味しているのか。
調べてみると詳しく説明した日本語のページ*3を見つけた。ここの解説によれば「スタン」は「国、地方」という意味らしい。パキスタンの「pak」はヒンズー語で神聖なという意味があり、「Pakistan」は独立時の4つの州「Punjab(パンジャブ)」「Afghan(アフガン)」「Kashmir(カシミール)」「Sind(シンド)」の頭文字を含むことから選ばれたらしい。
このパキスタンという言葉が生まれたのは1930年頃*4で現在のパキスタンの地方の名前で作られた。1947年、インドとパキスタンとが分離して独立した当時、パキスタンは現在のパキスタンである「西パキスタン」と現在のバングラディシュBangladesh*5である「東パキスタン*6」とで構成された国家であったが、「パキスタン」という言葉にはベンガルBengal地方である東パキスタンの地名は入っていなかった。
Pakistanが「Punjab」、「Afghan」「Kashmir」「Sind」ならば、Pakistanの「i」と「tan」はどうなったのか。ここでアフガニスタンの「スタン」が出てくる。Afghanistan、Tadzhkistan、Uzbekistan、Turkmenistanは「stan」だけでなく「istan」になっている。パキスタンはPak+istanなのであろうか。
「istan」は「i」と「stan」であって元々つながっていない。「i」はインド・イラン語で形容詞を作る接尾辞である。Afghani*7はAfghan*8の形容詞になる。ただし英語ではAfghanも形容詞としての用法がある。従ってアフガニスタンは厳密に言えば「アフガン*9の国」ではなくは「アフガニ(アフガン人)の国」になる。
それではPakistanは「パキの国」か。そうではない。Pakistanについてもう少し調べてみるとあるページ*10を見つけた。そこには「Punjab」「Afghan」「Kashmir」「 BalochISTAN」とあった。更に他のページ*11では「Punjab」「Afghan」「Kashmir」「Sind」「 BalochiSTAN」とある。そしてPakistanは最初からPakistanではなく、Pakstanであったと書いてある。
Pakistanの語源は最後の説が一番すんなり納得できる。アフガニスタンの類推から知らぬ間に途中に「i」が入ったのであろう。その証拠にPakistanの形容詞は「Paki*12」ではなく、「Pakistani*13」である。
*1 地球の歩き方ホームページ
*2 燃えよブルー・スリーHOME
*3 太陽の沈まぬ地名
*4 Pakistan
*5 バングラデシュ
*6 History of Bangladesh
*7 Afghani. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
*8 Afghan. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
*9 便利ツール[国語辞典]:アフガン
*10 Pakistan. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
*11 History of Pakistan
*12 便利ツール[英和辞典]:Paki
*13 便利ツール[英和辞典]:Pakistani
011014先日、地元の大学*1の先生がノーベル賞*2を受賞した。この地方の新聞では第一面にこれに関する記事が大きく掲載されていた。
朝の食卓でこの記事が掲載されている新聞を掲げながら子供達にノーベル賞とはどんな賞なのか、賞金はどれくらい貰えるのか、どんな人が貰えるのかを説明した。説明している間、子供達は目をかっと見開きながら真剣にその説明を聞いていた。遊び以外でこんなに目を輝かせることは殆どない。
今思うと、食卓で父親が新聞を掲げながら子供達に掲載されている記事を指差ししながら説明をする姿というのは、テレビジョンドラマや漫画の中だけのような気がしていた。太平洋戦争の開戦時や湯川秀樹*3が日本で最初のノーベル賞を取った時は各家庭でこのような風景が繰り広げられていたかも知れない。まさか自分がそんなことを自然にやってしまうとは夢にも思わなかった。
名前だけから小学生に大人気の科学者キューリー夫人*4は二度も受賞*5したことを教えると、一生のうち何回取れるのか、受賞するのに何年かかるのか、キューリー夫人は死んだの?、どうして死んだの?*6とか、熱心さが暴走してちょっと外れた質問まで出てきた。
相当、ノーベル賞への憧れが高まってきたと思えたので聞いてみた。
「どうだ、お前達も一所懸命に何か研究してノーベル賞を取ってみたら?」
「いやだ。面倒くさい」
*1 Nagoya University
*2 Nobel e-Museum
*3 京都大学
*4 キュリー一族
*5 マリー・キュリー
*6 「放射能の研究」により夫ピエールと共同受賞
011015娘が通う保育園から譲り受けたイシガメ*1が溺れた。このイシガメは元からいるミドリガメ*2の水槽とは別の水槽に入れて飼っていた。皮膚病がひどかったので日光浴を効率的にさせるために水に浸かっても甲羅の殆どが濡れないように水を少な目にしておいたのだが、溺れる前日は完全に甲羅が浸るぐらいに水を入れてしまった。
翌朝、イシガメの様子を見てみると頭と手足を弛緩させて水に浮いている。「これはいかん」と思い、イシガメを水から出してやると完全にぐったりしている。死んだかと思ったが、後ろ足を触るとわずかに動かした。直ぐに水槽の水を全部捨てて少しでも日光で体が温まるようにしてみた。亀が溺れた時にはこうすればよいという訳ではないだろうが、とにかく今のイシガメにとって水は大敵であろうからこうすることしかできなかった。
暫くしても、首を持ち上げることが出来ずにぐったりしている。イシガメに人工呼吸する方法が判らない。何とかして気道を確保してやりたいと思い、イシガメを頭を上に縦にしてやった。 すると大きく口を開けて息を吸い込んだように見えた。暫くそのままにしてやると何度も同じ動作をしているので息が吸えるようになったようだ。
何とか生き返った。溺れた日一日は殆ど動かなかったが、次の日から徐々に動き出している。しかし餌は殆ど食べていない。
それにしても水に棲む亀が何故溺れてしまったのか。イシガメやクサガメは泳ぎが下手なので溺れやすい。池などでこれらの亀を飼う時、急に深いところをがあると簡単に溺れてしまうらしい。イシガメの水槽の中には半分に割った素焼きの植木鉢入れてあったので、そこによじのぼれば問題がないはずであったが、溺れてしまった。
溺れた最大の原因は鼻の穴*3である。鼻の穴がほぼ完全にふさがっているのである。皮膚病の所為かどうか判らないが鼻の穴があるべき所は薄い皮膚で覆われてしまっており、鼻で呼吸できない状態である。そのため溺れる前からいつも口で呼吸をしていた。皮膚病は大分治まってきたので、次は鼻の穴をどうするか、である。
*1 イシガメ
*2 亀の脱走(2)
*3 マルヤマズーガイド-爬虫類館-イシガメ
011016ブロードバンドのインターネット用の回線が開通*1して一ヶ月以上が経った。開通した当時は常時接続で、しかもダイアルアップの10倍以上の通信測度が出ていたのでこれで満足していた。
しかし段々これになれてくると、本当は1.5Mbpsが最高の速度なのに、何故家はその半分から三分の一程度しか出ないのだろうと不満が募ってきた。電話局から直線距離で2.2km離れているから仕方がないと諦める方法もあるが、諦めるにはやるだけのことはやった上でないと諦めがつかない。そこで色々な文献を参考にして通信速度を上げる工夫をした。
ブロードバンドは高周波の電波雑音が大敵である。そもそもブロードバンドとは「広い周波数帯域」という意味で、何に対して広いかというと電話で使っている周波数よりも広い範囲の周波数を使った通信技術*2である。高い周波数の信号でデータを送ればそれだけ通信速度は速くなる。例えば手旗信号*3で旗の動かす速さで伝言が伝わる時間が決まるようなものである。一方、周波数が高くなると今度は信号自体が電話線で息切れを起こして遠くまで届かなくなる。細かい振動は伝わる距離が長くなるとどうしても鈍ってしまう。ADSLが電話局からの距離が遠いと利用できないのはこのためである。
信号が電話局から息切れを起こしかけながら届くので信号の強さが弱い。家の中にあるテレビジョン受像器や冷蔵庫など同じような周波数の電波を発する機械があると電話線にその電波が進入して信号なのか余分な電波なのか信号自体が弱いので区別が付かなくなる。すると通信をやりとりするモデムとパソコンはもっと息切れのしていない低めの周波数の信号*4を使おうとしたり、何度もデータを送り直したり*5するうちに全体の通信速度が低下してくる。
通信速度の低下の原因は余分な電波であるからその雑音を取り除けばよい。一旦は入り込んだ余分な電波はなかなか分離するのは難しいから余分な電波が入らないようにする。電話局から家までの電線に侵入してくるものはどうしようもない。電話のモジュラージャックからADSLまでの電線に電波が入らないようにする。
そのために銅箔の粘着テープ*6を日曜大工用品店*7で買ってきて電話線に巻き付けた。これによって電波は銅箔に入るようになり電線には侵入しなくなる。銅箔を巻き付けただけでは侵入した電波の行き場がなくなって電話線にまた侵入してくるので、銅箔テープをアースしてやる。
アースはパソコンの筐体で代用した。洗濯機や電子レンジ用のアースに接続するとよいと言われているが、そのためにアース線を数m引き回すのは更に余計な電波を拾いそうである。
このようにした後、通信速度を測定*8してみた。1.2Mbps程度になった。劇的に速くなった。何時、何度測定しても大体この速度が出る。大成功である。念のため銅箔テープが巻いてない電話線に取り替えて比較してみた。1.2Mbpsぐらい出る。何もしていない電話線でも同じような速度が出ている。一体どう言うことか。以前に半分程度しか速度が出なかった理由は何か。
電話線はモジュラージャック*9からスプリッタを介してモデムにつながれている。スプリッタとは通話信号とデータ信号を分離する装置である。今回の銅箔を施す際にモジュラージャックから直接スプリッタを電話線でつなぐようにした。それまではジャックからダイアルアップモデム用とスプリッタ用と二つに分岐させて使っていた。これがどうもいけなかったようだ。
いずれにしてもこの銅箔テープによる「人類最初の試み」がなければ、それに気付かなかったのでそれはそれでよいのである。
*1 ブロードバンド
*2 ADSL講座第1回
*3 手旗講座
*4 (2)基本技術と種類
*5 IPNetTunerによるTCP/IPの最適化
*6 製品リスト 電機・電子用 シールド用テープ
*7 KAHMA
*8 SPEED TEST
*9 MacにおけるフレッツADSLの接続方法
011017飲食店などで料理を注文した後、店員に何を頼んだか確認するために復唱して貰えることがよくある。それはそれで客としてはちゃんと伝わったかどうかを確認できるので安心できる。
しかし店の符丁で確認をする店員が多いのである。確認してくれるのはいいが、初めて行った店で符丁を使われては確認にならない。自分はみそ煮込み饂飩*1と五目御飯*2を頼んだつもりなのに店員が「煮込みと御飯ですね」と言われると「いえ、みそ煮込みうどんと五目御飯です」ともう一度言い直さなければならない。すると店員はもう一度「はい、煮込みと御飯ですね」と繰り返したりする。そして奥に入って厨房で「煮込みワン、御飯ワン」と叫んでいる。
確かにこの店では御飯ものは五目御飯しかなく普通の白御飯*3はないので「ごはん」と言えば五目御飯しかなかったのだが、そんなことは初めて言った店では判らない。
例えアルバイト*4でも接客する仕事であれば、人と人との接触がある訳だから手引き書やに書いてある内容や店の人に教えて貰ったことを自分なりに理解して考えながら仕事をして貰いたいものである。
逆に客の中には「おあいそ*5」などと得意になって店側の符丁を使う人がいるので、もしかしたらある程度お互いの領分を越えて符丁を使いたいという欲求があるのかも知れない。
*1 みそ煮込みうどん
*2 五目御飯
*3 サトウのごはん
*4 Web an
*5 便利ツール[国語辞典]:愛想
011018数ヶ月前に生まれた娘*1が便秘気味なので家族の皆が心配している。
その張本人は何とも平気な顔をしているのでそれ程心配する必要がないのかも知れないが、一週間近くも何も出ない状態だと周りは不安になってくる。新生児に薬剤での浣腸をすると何となく脱水症状を起こしそうで恐ろしい。綿棒による肛門の刺激や排便を促す薬*2で対処している。
筆者も幼少の頃にはイチジク浣腸*3の世話になったことが度々あったのを憶えている。浣腸を肛門に突っ込まれて数分間我慢するのが辛くて、母親に浣腸をするといわれると恐ろしくて仕方がなかった。本人は体の不調を全く感じていないのだからなおさらである。小学校に上がった頃からは排便に支障は全くなくなり、今日に至っている。従ってその頃から浣腸はやったことはない。
妻と、そういえば上の娘*4も赤ん坊の頃は便秘で困ったという話をしているうちにイチジク浣腸の名前の由来の話になった。筆者は当然あの形*5が無花果*6に似ているからそうなったのだと思っていた。ところが妻はイチジクは自然の便秘薬*7だからそれに因んで付けられたのだという。
一体、本当のところはどうなのか。イチジク浣腸を製造しているイチジク製薬株式会社の沿革*8を見てみる。特に「イチジク」の由来は書いてない。
検索サイトで調べてみるとここ*9やここ*10に「イチジク浣腸」の由来が書いてあった。
因みにこの二つのページは同じ文献*11を参考にしているので、ページに書かれている文章が殆ど同じになっている。いくら同じ文献を参考にしてもこうも文章が似てしまうのは凄まじい偶然である。違っているのは本来「田村廿三郎*12」であるべきところが、ここ*9では「廿(にじゅう、じゅう、にゅう)」という字を知らなかったためか「甘」になっている点だけである。
そこにはイチジクの由来は当時流行っていた数え歌からとと書いたあった。それは「イチジク、ニンジン、サンショウにシイタケ、ゴボウにムクロジュ、・・・*13」という歌である。これは子供の頃、親に教えて貰ったことがある。更にその替え歌として「イチジク、ニンジン、サンマのシッポ、ゴリラ*14のムケチン*15、・・・」というのもあった。どちらの歌も途中までしか知らない。
しかし単にこの数え歌から名前を付けたというのは納得しがたい。やはり形、無花果の効能からくる連想、そしてついでに流行り歌、これらを総合的に考えて付けられた名前であろう。そうでなければ創業以来70年以上*8も浣腸一筋でやってこられないだろう。
*1 新しい家族
*2 和光堂 医薬品
*3 イチジク製薬ホームページ
*4 すみれ
*5 製品紹介
*6 無花果 (いちじく)
*7 薬膳の書 いちじく
*8 会社沿革
*9 Room of Mad Scientist イチジク浣腸
*10 歴史(制作者不明 問い合わせ先はad_just@hotmail.comとある)
*11 Amazon.co.jp: 本のデータ: 餅屋の論理―餅は餅屋(プロフェッショナル)が明かす発想の極意!
*12 あいさつ
*13 無花果人参
*14 ゴリラゴリラ
*15 お母さんのための包茎講座
011019米国ポラロイド社が倒産したらしい。関連会社の日本ポラロイド*1の解説*2を読むと完全にポラロイド社の業務が停止するのではなく、連邦破産法第11条(会社更生法)に基づく再建手続きを自己申請したということらしい。これは自力で業績を回復できなくなったので国の支援で再建したいと言い出したのである。何れにしてもこれを一般的に倒産というのは間違いない。
これによって日本ポラロイド社が会社更生法*3や民事再生法*4などの法的的手続きを行うことはないようである。
会社が潰れると言うことは一般庶民にとってどういう影響があるのか。そこに勤めていたり、その会社と取引があったり、株式を保有していたりすれば、直接その影響を受けることになる。その会社が製造会社であれば購入した製品の修理が出来なくなる可能性もある。ポラロイドの倒産を知ってちょっと心配になったのがこの製品の修理の件である。
筆者はポラロイド製のpolascan35ultraというフィルムスキャナ*5を使っている。購入当時は非常に高価なものであった。これが壊れて修理できなくなると大変である。倒産といっても上に書いたように業務が停止する訳ではないので安心した。
子供にとって会社の倒産はどう影響するのであろうか。両親が勤める会社や自分の親が経営する会社が潰れれば影響は十分あるが、それ以外は関係ない。ただしおもちゃ関連の会社に関しては子供は敏感に反応し、ある時はあたかも取引会社が倒産したかのように慌てふためく場合もある。
筆者の幼少の頃にも事件は起きた。あるプラモデルメーカの倒産で子供業界に衝撃が走った。当時、子供に大人気であったサンダーバード*6のプラモデルシリーズを供給していたイマイ科学*7が倒産してしまったのであった。これによって店頭からサンダーバードのプラモデルが消え去るのではないかと噂されたが、実際はどうなったのか憶えがない。バンダイ*8に取って代わられたのかも知れない。
今回のポラロイド倒産はそれ以来の久々の心配事であった。
*1 Polaroid : 日本ポラロイド株式会社
*2 企業情報 : Polaroid
*3 会社更生法
*4 民事再生法の概要
*5 デジタルカメラ
*6 サンダーバードアゴー
*7 模型のイマイ
*8 バンダイ
011020パソコンや電化製品等に入っているシリコンチップには非常に細かい電子回路が組み込まれている。どのくらい細かいかというと髪の毛の直径が60〜70ミクロン*1(mmの1000分の1)に対して、シリコンチップ上に形成されたトランジスタのゲートと呼ばれる部分*2の長さが0.1ミクロン*3しかないのである。
こんな細かい図形をどうやって作るかというと写真製版を応用*4している。LSIのチップ*5の大きさ数ミリから大きいものでも十数ミリ角の大きさである。このチップは大きなシリコンウェハ*6に同じものを沢山一度に作っておいて*7最後に精密な丸ノコギリ*8で切って作る。
そのシリコンウェハに紫外線などの光が当たると現像液で溶けやすくなったり*9または逆に溶けにくくなったりする*10感光剤を塗る。塗って乾かした後、あらかじめ転写する図形が絵が描かれているガラス板に紫外線などを通して日光写真*11のようにシリコンウェハ上に塗られた感光剤を感光させる。レンズを使ってガラス板に描かれた図形を縮小して転写*12する方法もある。
転写する図形の最小寸法が0.1ミクロン程度なので転写されるシリコンウェハが凸凹していては思ったような図形が上手く転写できない。従ってシリコンウェハの表面は究極の鏡のように仕上げてある。ほんのわずかな凸凹でもあればシリコンチップが動作しなくなる可能性が出てくる。尖った凸凹ならば見つけやすいかも知れないが、ゴルフボールのディンプル*13のような凸凹は非常に判りにくい。
そこで魔鏡を用いてこの凸凹を検出する技術がある。魔鏡*14とは銅鏡の一種で、鏡面に光を当てて反射した光を白い壁などに投影すると鏡の裏に描かれた図形が映し出されるもののことである。これは光によって裏の模様が透過して映し出されるのではない。製造過程において裏面の模様を作ってから表て面の鏡を作るため、表て面を磨いていくうちに裏面の模様の凸凹に影響して表て面がほんの少しの凸凹が生じてしまう。鏡の面に大きな凸凹が出来てしまうと鏡としての機能がなくなってしまうが、凸凹が非常に小さいので顔を写したぐらいでは殆どその像のゆがみが判らないが、強い光を当ててやると反射光の明暗が強調されて隠された模様が判るようになる。
このわずかな凸凹でも見える魔鏡の原理を利用*15してシリコンウェハのわずかな凸凹を検出する方法がある。
最先端技術用語は外来語に押され気味だが、「魔鏡」のようにおどろおどろしい日本語が入り込んでいるのは何となく面白い。多分、魔鏡を英語にしようとしてmagic mirror*16しか思い浮かばなかったためMakyo*17と日本語のままにしたのだろう。
*1 HITACHI : Inspire the Next
*2 LSIの世界 MOS型ICの種類
*3 ノッチ構造の金属ゲートを用いたサブ0.1μm MOSトランジスタを開発
*4 Applied Materials Japan Inc. リソグラフィー工程
*5 LSIチップ写真
*6 CZ
*7 Applied Materials Japan Inc. ウェーハのダイシング
*8 ダイシングソー・カッティングソー
*9 新製品(クロムフリーレジスト ACR-10)
*10 微細加工用ポジ型ホトレジストの感光材
*11 日光写真(探索編)
*12 ニコン Technology Now「ニコンと超LSI」
*13 BRIDGESTONE SPORTS[ゴルフボールマガジン]
*14 魔鏡
*15 Makyo
*16 Magic Mirror
*17 Makyo system product line-up
011021今年の6月頃から結婚記念日には腕時計を買おう*1と考えていたが、とうとう結婚記念日を迎えてしまった。まだ時計を買っていない。昨日は妻と一番下の娘を連れて時計店に腕時計を見に行ったのだが、結局何を買うか決まらなかった。妻はこれ*2がいいかなぁ、と店員に時計を試着させてもらったり値段を聞いたりしていた。
丁度、切りのいい年月の結婚記念日*3なので揃いの腕時計を考えていた。揃いで買うならば妻は従うと言っている。とはいっても夫婦揃いの腕時計というのでなかなか思ったものがない。オメガ*4のシーマスター・マイヨール2001*5というモデルがよさそうな気がした。
このモデルはジャック・マイヨール*6の100メートル素潜りの20周年を記念*7して1995年に出された限定品でそれ以降毎年その年のモデルが販売されている。この腕時計の横には「2001」と書いてあるので記念になるといえば記念になる。裏蓋には限定を示す通し番号も刻まれている。ただし、これは日本限定の企画なのでオメガ本部のサイト*8ではこのモデルのことは一切触れられていない。
記念日用にはうってつけの時計のような気がしたが、不満がない訳でもない。まず、紳士用の方は自動巻*9なのだが、婦人用は水晶振動子式*10である。これでは揃いとしての厳密に均衡が取れてない。日本限定というのが何となく気に入らない。針が少ない。このように針が沢山付いた時計*11が欲しい。
ということでまだ買っていないのである。
*1 シリコンの歯車
*2 ROLEX
*3 結婚記念日
*4 ケーシー高峰
*5 時計/omega
*6 This is the official Web site of Jacques Mayol
*7 (4)オメガ、夢は絶えず新鮮でこそ
*8 The official OMEGA web site
*9 Omega Collection - Seamaster ref. 2501.81.00
*10 Omega Collection - Seamaster ref. 2571.21.00(限定版の文字盤は紳士用に合わせて紺色)
*11 Omega Collection - Speedmaster ref. 3575.20.00
011022ひょんなことから気功に関する特許の出願*1を読んだ。中国で古くから発達した医療治療行為である気功の「気」の正体がよくわかっていないので、患者は元より気功師本人が指先からどれくらいの「気」を送ったのかが判らない。この発明ではそれを客観的に知ることができるそうである。
原理は「気功師の気を放出する手からは遠赤外線とマイクロ波が出ている」ので、その量を測れば「気」の量が判る、というものらしい。どうして正体がよく判らないのに遠赤外線などが出ている、と断言できるのか。「気」は別にあって遠赤外線は附随現象なのであろう。遠赤外線やマイクロ波は暖房や電子レンジで使われている様に「熱」に変化するので、変化した熱の量が判る様にすればよい。そのためには単純に温度計を使えばいいのだが、この発明者はペルチェ素子*2を利用している。ペルチェ素子は電気を流すと吸熱と放熱とを同時に行うことが出来るが、逆に温度差を与えてやると電気を発生する。「気」を送りペルチェ素子の一部分を暖めてやり、他の部分は出来るだけ温度を変化させないように工夫しておく。その時の温度差が大きければ大きい程発生する電流が多くなるので「気」の測定が出来る。
「気」の測定にペルチェ素子を用いた、というだけの発明なので特許にはならない*3だろう。それはさておき、このことから気功に関してその効力について科学的根拠を求めたいという心理は気功師本人もあるのかも知れない。
気功教室を主催しているサイト*4でも科学的検証について*5記述している。温度が上がっているとか、磁気が大きく変化するとか、光が出ているとか色々実験結果が掲載されている。
何のために科学的根拠を求めているのかというと、やはりその現象や効力について懐疑的な人々*6の発言などによって、本来ならば気功が十分効く筈の患者に対して効力が薄まってしまうのを防ぐためであろう。人間の体は電子回路や機械のように現在解っている科学理論通りには振る舞ってくれないので、何かの治療を施してその結果が良ければそれでいいのである。治療をする前に何故効くかを現代科学で説明されれば効果が増加する患者もいるかもしれないが、どうしてそれが効いたのか判っても患者は何も得にならない。気功師の方も気功の理論があるだろうから、それが判っても本来は「ああ、そうですか」という程度にしかならないだろう。
電磁波の強さとかの科学的根拠は気功には必要がない。気功に科学が必要であるとすれば、何をすればどういう結果が得られるかという「科学的な分析」が必要なだけだ。しかしそんなのは昔から行われているはずである。
*1 特許庁ホームページ 特開2001-153721
*2 ペルチェ素子
*3 特許・実用新案とは
*4 桃源気功
*5 桃源気功 科学的検証
*6 PEOPLE chase 大槻義彦
011023子供の勉強を見ていたら「々」の使い方についての設問があった。次のうち「々」を正しく使っているのを選びなさい。「新々」「言々」「山々」「だん々」「青々」この中で正しく使っているのは「山々」「青々」だけらしい。
「々*1」は漢字ではなく長音を表す「ー」や括弧と同じ記号である。記号の意味は「繰り返し」で漢字の場合だけで使われる。従って「だん々」だけが間違った用法で、他は正しい用法である。
解説を見たら「々」は全ての漢字に使われるのではないので気を付けよう、と書いてあったが、これは全くの間違いで、どの漢字に使ってどの漢字では使わないという制限は「々」にはない。「新々」「言々」という言葉があるかどうかとは別に用法としては間違っていない。
繰り返し記号なので繰り返す漢字が前にない時は「々」は使わない。改行で行の先頭に来てしまう時は「々」を使わずにその漢字を繰り返して書くことになる。「々」で気を付けなければならないのは漢字の繰り返しであること、行の先頭では使わないことの二点であると子供に説明した。そしてこの「山々」「青々」だけを正しい用法とすることは間違っていると説明した。
すると子供が「佐々木君はどうなるの?」と聞いてきた。佐々木の「々」を記号とすると名字の中に記号が入っている非常に変わった名字になってしまう。それに佐々木の「佐」で改行した時に行の先頭は「々」になるのだろうか。結局それに対して筆者は「佐々木は本来『佐佐木』だから問題ないはず」と答えてしまった。
実際、戸籍上はどうなっているのだろう。「佐々木」「佐々」「多々良」など通常「々」入りの名字はどう記載されているのだろうか。ついでに平仮名入りの名字を見たことがないが、本当に存在しないのだろうか。平仮名は女文字なので名字には用いられることがなかったのか。地名では「お茶の水」のように平仮名入りはある。
片仮名入りはある。「ノ*2」「ッ*3」が入った名字はあるような気がするが戸籍上はどう表記されているのだろう。ただし「が」と読む「ヶ*4」は片仮名の「ヶ」ではなく漢字の「个」の変形だから「ヶ*5」入りの名字は例外的存在ではない。
*1 「々」は、何と読むのでしょうか。これは漢字でしょうか。
*2 一ノ瀬 俊明
*3 New Industry Creation Hatchery Center(event)
*4 thとy
*5 About BB
011024タッチボンド*1を買ってしまった。買っただけでまだ使っていないが、とうとう手に入れたというか、衝動的に買ってしまったというか、とにかく手に入れたという感覚である。
最近は殆どテレビを見なくなってしまったが、たまたま電源を入れた時に映し出される番組が通信販売*2専門番組だと暫く見入ってしまう。こういう番組はそれ自体が広告なので番組放映の目的がはっきりしている。その商品を売るために考え抜かれた番組構成になっているので、大抵の垂れ流し番組よりも面白い場合が多い。雑誌や新聞などで記事よりも広告の方が面白い場合が多いのと同じである。
テレビショッピングで品物を買ってしまうと、まさに広告代理店の術中に陥ってしまった感じがしてならない。こういう番組を見て品物を買うのは自分で選んで買うのではなく「言葉巧みに買わされる」と思いこんでいるのでテレビショッピングで買ったことはない。
通常の店頭で購入した。結局はテレビショッピングに影響されて「買ってしまった」のであるから同じことと言えば同じことである。通常価格2200円のところが1980円だったというのも購入動機の一つである。
何故タッチボンドを手に入れたかったのか。この接着剤の発想が嬉しいのだ。布を「糊」で付けて修繕するという考え方が素晴らしい。普通の発想では糸と針で布は直すのであるが、乾くと水に溶けず、伸縮性のある接着剤を開発してそれを布の修繕に応用したのである。もしかしたら「乾くと水に溶けず、伸縮性のある接着剤」が出来たので、何に使えるかを考えたら布の修繕に使えるということになったのかも知れない。何れにしても発想の転換が気に入っている。
成分はポリイソプレン*3(天然ゴム合成)・水・アンモニアと書いてある。通常は水を最後に並べるような気がするが、成分比率の順番になっているのだろうか。
正式名称はTOUCH'N BOND*4らしい。「'N」はandの意味で、rock'n'rollと同じ用法である。「タッチャンボンド」では日本で売りにくいだろう。
*1 ボンド
*2 朝のショッピング・お昼のショッピング
*3 ゴム素材について-ポリイソプレンゴム-ゴムエラストマー事業部
*4 Home Page
011025無限大の記号「∞」を知った時、何とも不思議な気持ちになった憶えがある。どんな数でも表せないぐらい大きな数なのに、それを表す記号があるということがそれまで想像できなかった。そして初めてその無限大の記号を見た時「如何にも無限大」という感じにはとても思えなかった。どう見ても「8」の字が横になっているだけでどうしてこれが無限大なのかは直ぐに解らなかった。
学友にどうして「∞」が無限大を表すのかと聞いてみると「裏表のない、いつまで経っても終わりのないメビウスの帯*1があるだろう。これを横から見ると無限大の記号になっている。これが由来だ」と説明してくれた。他の学友は「地球を離れて宇宙をまっすぐ進んでいくと最後にはまた地球に戻ってくる。行っても行っても『8』の字の様に戻ってきてしまう。これを表したのが無限大の記号だ。『8』と区別するために横になっている」と解説してくれた。
その時はそんな説明を聞いて納得したような気がする。それ以降「∞」→「無限大」という短絡回路が頭の中に形成されたので無限大記号に関して何も疑問に抱かなくなったのだが、またふと疑問になってきた。
かつての学友達の説は今考えるとおかしい。メビウスの帯を横した絵が多いのは「∞」の記号があるからだろう。この絵のように*2縦に見てもメビウスの帯の性質は変わらない。従ってメビウスの帯が「∞」の由来とは考えられない。宇宙説は本当のところはよく判らないが、もし出発点に戻ってしまうならば、そのことをどうして「8」の字に例えられるのかが全く説明されていない。つまり由来の説明になっていないのである。
無限大の記号は17世紀にJohn Wallis*3という人が考案したらしい。1000を表す二つの0がくっついた「00」から「∞」*4を考えたという説、「最後の数」ということでギリシャ文字の最後の文字「ω」から作った*4という説、ギリシャ数字の1000を表す「M」から*5作ったという説などがある。
レムニスケート*6という曲線の形からという説*7もあるが、これは眉唾だろう。
*1 メビウスの帯
*2 Mobius Strip II
*3 John Wallis
*4 Math words page 11
*5 Earliest Uses of Symbols of Calculus
*6 磁力線の交点
*7 The previous history of mathematical notations
011026シェアウェア*1の代金をオンラインで支払った。シェアウェアとは一定に試用期間を設けてその間は無料で使用でき、その期間を過ぎて継続して使用する場合に代金を支払う必要のあるソフトウェアのことである。包装や流通、広告の費用が節減できるソフトウェアの販売方法で、使用者にとっても非常に便利なシステムである。使用者にとって最も便利な点はやはり「只」である程度使えるところだろう。
筆者はMacOS専用の画像編集ソフトGraphicConverter*2を数年にわたりタダで使用し続けていたが、つい最近代金を支払った。30ドルだった。このGraphicConverterは145種類*3もの画像ファイルを読み込むことが出来る。WindowsのBMPもMacで表示できる。ちょっとした修正ならPhotoShopを起動させるよりも手軽でいい。
支払いはクレジットカードを使ってオンラインで決済をした。GraphicConverterを制作している会社に直接支払うのではなく、オンライン決済専門会社が仲介となっているので、そこに支払った。
それはKagi*4という名前の米国の会社である。この会社の名前は日本語の「鍵(かぎ)」*5であるという。
コンピュータ関連業界で日本語が語源というのはそんなに多くはないだろう。その中で日本語が語源になっているというのは何となく嬉しい。かつてNiji*6という名のフランス製のシェアウェアがあった。日本語の虹が由来である。説明書には 「Ni」 は 「NIEce」の「ニ」, 「ji」 は「JIngle」の「ジ」と発音の仕方まで英語で書いてある。
心配なのはKagiの発音である。ちゃんと「カギ」と読まれているのだろうか。magi*7が「メイジャイ*8」と発音されるのと同様に「ケイジャイ*9」と発音されているのではないだろうか。
*1 フリーソフト、シェアウェアの基礎知識 - ソフトの種別について
*2 About GraphicConverter
*3 About GraphicConverter (Formats)
*4 Welcome to Kagi
*5 Key to growth - 2000-10-23 - San Francisco Business Times
*6 Niji Download Page
*7 magi. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
*8 http://www.bartleby.com/61/wavs/56/M0025600.wav
*9 Bachの読み方
011027天賞堂*1と言えば鉄道模型*2だと思っていたが、もともとは時計屋らしい。更に創業時は印刷業者*3だったようだ。天賞堂では昭和24年より鉄道模型の製造販売を開始し、現在に至っている。時計貴金属と鉄道模型というのはどちらも精密工作物という点でつながりがある。大人の趣味と子供の趣味でこれらを同じ店で売るというのは、一見違和感があるが、鉄道模型は子供から大人までの趣味であり、どちらも夢を売りさばくという点から言えば同根である。
その天賞堂で筆者の物欲を駆り立てる時計*4が売られている。天賞堂が企画し販売する限定生産の時計なので、実際の販売は今年の12月からであるが、現在予約を受け付けている。何故筆者の物欲を刺激するかというと、この時計*5には針が沢山付いていること、他の時計にはない珍しい機能が付いていることが理由である。
珍しい機能とはミニッツリピーター*6という機能である。この機能は音で現在の時間を知らせる機能で、時計の横のボタンを押すとチャイムが鳴って時を知らせる。デジタル時計の中には音声で時刻を知らせるもの*7もあるが、それとは違う。
夜光塗料が発明される*8前は夜中に時計の時刻を読みとるには照明が必要だったのがこのミニッツリピーターの発明*9のきっかけである。任意の時刻を音で知らせる機能を機械で作り上げるのは相当複雑な機構*9が必要になってくるだろう。時刻の知らせ方*10は二種類の音を組み合わせる。その音を鳴らす機構は二つの槌と二つの輪状になった鐘である。これを打ち鳴らすだけでも複雑そうである。一度鳴らすとゼンマイがかなり戻ってしまうのではないだろうか。音を聞く*11とそんな感じがする。
複雑すぎるが故、時計の値段は相当なものになる。1000万円以上*12が当たり前のようである。
天賞堂のミニッツリピーターは水晶振動子式の機械時計なのでその値段は百分の一である。それでも10万円以上する。海外の同じような時計*13でも10万円以上している。電池で動いているので電子的に時刻を読み取りそれを音にするのだろう。おそらく槌と鐘の組み合わせではなく、裏蓋の内側に装着された振動板で音を出して時刻を知らせる仕組みと思われる。いちいち槌を機械的に動かしていたら直ぐ電池が無くなってしまうだろう。
調べていく内に天賞堂のミニッツリピーターの素性が何となく解ってきた。この腕時計の中身はシチズン製*14ではないだろうか。意匠が殆ど同じである時計*15を見つけた。文字盤と針が違うだけ*16である。しかし雰囲気は天賞堂の方*5が圧倒的によい。
それにしても一体どんな音がするのであろうか。
*1 ようこそ天賞堂へ
*2 FTRAINM HOME PAGE
*3 天賞堂 会社案内
*4 天賞堂 時計 トップページ
*5 TENSHODO GRAND COMPLICATION
*6 時計Begin
*7 BEAMS
*8 コラム - 世界に誇れるネモトの技術
*9 Repeaters
*10 The minute-repeater
*11 http://www.tokeibegin.net/Special/sounds/09.aiff
*12 ミニッツリピーターは機械時計の最高峰です。
*13 Quartz minute repeater watch by Shellman and Company
*14 エクシードスーパースタンダード(ミニッツリピーター)
*15 【楽天市場】c-watch company
*16 http://www.rakuten.co.jp/c-watch/img1003123174.jpeg
011028珍しくテレビジョンで映画を見た。「ターミネーター2*1」だった。
この映画に元週刊プレイボーイ編集者の小峯隆生*2が出演している。登場してから数秒後にアーノルド・シュワルツネッガー*3扮するターミネータに射殺されてしまうが、演技もちゃんと入っている。
雑誌の編集者である小峯氏が何故この映画に出ることが出来たのか。
小峯氏がジェームス・キャメロン*4監督に直接交渉したのである。この様子はテレビジョン番組で放映された。その番組は確か11PM*5だった。筆者の記憶ではキャメロン監督が「ターミネータ*6」の続編を作る前か、作っている最中に来日した時、彼が11PMのスタジオを訪れた。小峯氏がインタビューをしたのか単なる番組の出演者だったのか記憶がはっきりしないが、彼はインタビューの最後に自分を映画に出させてくれと頼んだ。するとキャメロン監督は「今度の映画に出てもらおう」と答えたので、小峯氏は子供のようにはしゃいで喜んでいた。
この小峯氏の大胆な行動と喜び方が印象に残ったが、キャメロンの返事は番組内での台詞だと思っていた。それから暫くして「ターミネーター2」が劇場公開されたので見に行った。小峯氏が本当に出ていた。映画に使われたCGも素晴らしかったが、単なる台詞ではなく本当の約束であったことが判って非常に感激した。
*1 TERMINATOR 2:3D(TM)
*2 小峯 隆生のWEBサイトにようこそ。
*3 Schwarzenegger.com
*4 ジェームズ・キャメロン監督
*5 日本テレビ・ホームページ
*6 Terminator Movie Summary
011029おまけが366種類*1もある菓子を見つけた。明治製菓*2から発売されている。去年の7月から発売*3されているらしい。小さな熊のぬいぐるみのおまけである。手作りらしい。
店頭価格で98円だった。これが子供にとって安いのか高いのか感覚が麻痺しているのでよく判らないが、大人の目からすれば安い。小学生の息子には家事の手伝い1回あたり10円程度しか小遣いを与えないので、それから考えれば相当高価である。子供にとって高価でも、おまけを作っているのは大人である。この「大人が安いと思う」値段の菓子でそのおまけを作る大人を養う分が稼ぎ出せるということは凄いことである。もしかしたらこのおまけを作っている大人が住んでいる国では98円という値段はかなり高価なのかも知れない。そうだとすると何となく釈然としない。
366種類のおまけがある菓子というのは筆者が幼少の頃は考えられなかった。菓子のおまけというのはすぐ同じものが出てきて悔しい思いをするもの、と相場が決まっていた。この子供達の思いでその菓子の売り上げも伸びていたはずだった。従ってどんなおまけが入っているのか見えないようにするのが当たり前の様な気がしていた。
この366種類のおまけの菓子はどんなおまけが入っているのか判るようになっている。それでもかなり売れているらしい。ちょっと考えるとおまけの好き嫌いでおまけの在庫の偏りが出てきそうである。
おまけは全て同じ形で胴体の布の柄と手足のフェルト*4の色が違うだけなのでそれ程好き嫌いの偏りは出ないのであろう。
*1 365日のバースデーテディ
*2 Meiji Sweets & Foods homepage
*3 コムテックレポート01/06/11
*4 手づくりフェルト
011030「機」と「器」と「儀」の共通点は何か。すべて仕掛けを持った道具を表す漢字である。中国語から来た用法なのか日本独自の用法なのか定かではないが、読み方が三つともよく似ているので間違いやすい。特に「機」と「器」の使い分けが判りにくい。
「機」が付く言葉には「飛行機*1」「織機*2」「写真機*3」「発電機*4」などがある。これら機械には最新の技術が盛り込まれているものも多いのだが、こうやって並べてみるとかなり古くさい感じがする。「写真機」という言葉は最近は殆ど使われない。
「器」が付く言葉には「消火器」「小火器*5」「測定器」「受話器*6」「電熱器*7」「楽器*8」「分度器」などがある。「消化器」はこの場合、意味が少し違う。この「器」は生きるはたらきを受け持つものであって道具ではない。
「儀」が付く言葉には「地球儀*9」「水準儀*10」「四分儀*11」「六分儀*12」「八分儀*13」などがある。「儀」が付く道具は殆ど日常で使われることはない。「儀」は天文学や測量などで使う道具に付く漢字なので、普通これらの漢字が付いた装置を目にすることは殆どない。
「機」と「器」との違いは仕組みの複雑さにある。「機」は「器」よりも複雑な仕組みを持つ道具である。更に「機械」と「器械」との違いは動力を持つか持たないかである。しかしもともと動力を持たない「計測器」や「測定器」でも「機」を使っている。「計測機」「測定機」は本来は誤用なのであろう。最近の計測器の中には先端技術を応用した複雑怪奇な仕組みを持ったものも沢山あるので必ずしも「器」とは言えないのだろう。
*1 日本飛行機 HOME PAGE
*2 TOYOTA INDUSTRIES CORPORATION
*3 安原製作所ホームページ
*4 ヤマハ発電機 LINEUP
*5 豊和工業株式会社
*6 受話器のケーブルのからみはこれで解消しよう
*7 八光商事 & 八光電機製作所 HOME PAGE
*8 河合楽器 株式会社
*9 地球儀
*10 1級水準儀 PL1
*11 四分儀 Quadrant
*12 六 分 儀
*13 はちぶんぎ座
011031新聞の折り込み広告*1にまた面白いものがあった。冬にも使える「扇風機*2」である。冬用うちわ*3みたいなものかと思ったが、もっと鈍くさいものである。
扇風機で部屋の空気をかき混ぜて暖房効率を高めよう*4、というものではない。夏は普通の扇風機*5だが冬はセラミック遠赤外線ヒーターになるという。
季節が変わる毎に手入れをして保管するのが面倒なヒーターと扇風機とが一体化したので、いちいち片付けたり出したりする煩わしさから解放されるという謳い文句である。この商品の外観は一般の扇風機である。ヒーターとして使うためには扇風機の羽根を取り外し電熱器を取り付け、後ろの網の部分に反射板を取り付けなければならない。夏には電熱器と反射板の保管、冬には扇風機の羽根の保管が必要なので、全く「煩わしさ」から解放されていない。
更に反射板には「衛星放送用のパラボラアンテナ*6」の技術が応用されている書いてある。確かに放物面は衛星放送用のアンテナで使われているが、それは衛星放送技術で独自に培われた技術ではない。凹面鏡の技術であってこんなのは太古の昔からある*7技術である。
この商品は「特許取得」しているらしい。特許があるからと言っても、そんなことは購買者にとって何の利益もない。特許が取れたからその商品の性能が素晴らしいという保証は全くない。 広告に「特許取得」と書く理由は一体なんだろうか。
*1 ELGINの時計
*2 「機」「器」「儀」
*3 冬用うちわ
*4 VORNADO
*5 ナショナル・扇風機
*6 Welcome to MASPRO's Website
*7 Archimedes
昔、「TRON*1」という映画があった。1982年のディズニー映画でコンピュータグラフィックが多用された映画だった。コンピューターの中の出来事を擬人化した物語でコンピューター内部の世界の背景、乗り物の殆どはコンピュータグラフィックで描かれていた。当時のコンピュータグラフィック制作コストが現在のそれよりも遙かに高価であったためか遠景は大抵真っ暗の黒一色*2だった。
登場人物は全て実写で、それぞれの場面はコンピュータグラフィックスとの合成で作られていた。中にはこの場面*3のように一見コンピュータで作られているようにみえるが、登場人物の体に描かれた光る線や装置のランプ等は全て実写で撮影してから手作業で色付けをしたものもある。映画の最後に出てくる出演者や制作者など作品に関する字幕で、漢字で書かれた中国人か韓国人らしき名前が数十名出てくる。これらはこの色付け作業に携わった人々らしい。
音楽はWendy Carlos*4で、映画の中で出てくる戦車*5や二輪車*6などの意匠はSyd Mead*7が担当している。
映画の中では上記の二輪車を使ったゲーム*8が登場する。コンピュータの中の住民がその二輪車に乗って決められた領域を3、4台で走り回る。走り回る領域には座標が描かれており二輪車は直線または直角にしか曲がることが出来ない。速度の調整も出来ない。常に一定速度で走り続けなければならない。二輪車が走った後には「光の壁」が形成され、走行中避けきれずこれに衝突すると二輪車とそれに乗っていた本人は消滅してしまう。それと同時に消えた二輪車が形成した光の壁も消滅する。最後まで消滅せずに生き残った二輪車がゲームの勝者となる。
最近、ある雑誌でこのゲームをパソコン上で再現した「ゲーム」があることを知った。GLTron*9というゲームである。GLとはOpenGL*10のことでSGI*11が開発したコンピュータグラフィックスを描画するための仕組み*12である。これを使って映画で登場するゲームをパソコンの「ゲーム*13」に仕立て上げている。この素晴らしいゲームは只で楽しむことが出来る*14。
*1 The Tron Page
*2 http://www.tron-movie.com/tron.jpg
*3 http://www.tron-movie.com/images/clue.jpg
*4 CD購入
*5 The unofficial TRON web page - Images
*6 Lightcycle
*7 Welcome to Syd Mead 2001
*8 The unofficial TRON web page - Images
*9 The glTron Homepage
*10 OpenGL - High Performance 2D/3D Graphics
*11 SGI - OpenGL Overview
*12 OpenGL FAQ J
*13 The glTron Screenshots page
*14 The glTron Download page
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