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0208雑記草


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020801

 日本自動車連盟*1の今月の機関誌*2にはもう一つ*3興味深い記事が載っていた。

 燃料電池搭載の教材用模型自動車が日本で売られている*4という。販売は有限会社 テラリウム*5という会社で、1台58000円*6である。個人で買うには少し高い玩具であるが、どんな仕組みか実際に買って見てみたい気がする。写真を見ると非常に簡単そうな構造*7をしている。

 燃料電池の原理*8は水の電気分解の逆である。電気によって水は酸素と水素に分解できる。小学生の頃の理科の実験で、水に電気を通りやすくするため塩酸などを入れて実験した記憶がある。この分解の過程を何らかの方法で逆にすれば水素と酸素が化合して水になる時に電気を取り出すことが出来る。

 それにしてもこれを何故「燃料電池」と称するのか。水素と酸素から「燃料」という言葉は連想できない。確かに水素は酸素と結合して燃えるので「燃料」ではあるが、連想し難い。

 燃料電池は「fuel cell*9」の訳語である。発明したのはイギリスの裁判官であり科学者であったSir William Robert Grove*10である。1839年に発明*8した。グローブが発明した時は「燃料電池」とは呼んでいなかった。「gas voltaic battery*11」である。「ガス電池」であった。この方が解りやすい。

 1889年にLudwig Mond*12Charles Langer*13とによって「fuel cell」という言葉が作られた。彼らは空気と石炭ガス*14とを使った燃料電池を作ろうとした。石炭ガスだから燃料電池である。

 筆者が初めて「燃料電池」という言葉を知ったのはかなり前である。アポロ宇宙船には燃料電池が積み込まれていた*15というのを学習漫画*16で読んだことがあった。アポロ宇宙船を月まで運んだロケットの燃料*17水素と酸素*18である。その燃料の一部を使って発電するので「燃料電池」と呼ばれると勝手に思っていた。全くの勘違いであった。



*1 JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION
*2 eJAFMATE
*3 龍河洞
*4 AGN テラリウム、燃料電池で走るモデルカーを7月に発売
*5 Welcome to Terramart
*6 solarList
*7 shampooitem
*8 JGA/天然ガスで発電する燃料電池/原理は水の電気分解の逆
*9 fuel cell. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*10 Grove
*11 Fuel Cell Project: Grove Fuel Cell Drawing
*12 Mond
*13 Fuel Cell Today - Opening doors to fuel cells commercialisation
*14 2 石炭ガス化の歴史
*15 月まで行った燃料電池
*16 大きく見える太陽と月
*17 固体ロケットと液体ロケット
*18 大陽東洋酸素株式会社/身近なSAAN/ロケット燃料用水素

020802

 燃料電池*1の構造は非常に簡単そうである。水素ガスから電子を奪って水素イオンだけを通すような電解質を2枚の電極板で挟んでいる*2だけのようである。この図*3を見ると水素ガスが電極板の部分でイオンになっているように見えるが、実際は電解質の表面でイオンになっている。電極板は水素ガスがイオンになる時に出した電子を集めるだけの役目である。電極は炭素で出来ているらしい。

 従って電極板が普通の板になっていると水素ガスが電解質の表面に到達せずイオンとならないので、電極板には小さな穴が沢山開いているらしい。電極板が穴だらけだと今度は水素ガスが放出した電子を集めにくくなるのでこの辺りの釣り合いが難しいのかもしれない。

 燃料電池搭載の教材用模型自動車*4は水素を自分で作る様になっている。燃料電池に水を入れて電気を流す。燃料電池に水素と酸素を入れれば電気が生じるが、「燃料電池」と「水の電気分解」とはちょうど逆の反応なので水を入れて電気を流せば水素と酸素とが出てくる。

 出てきた水素や酸素をそのまま貯めておいて電流を流すのを止めて、モーターや電球をつなげてやると「燃料電池」の反応を起こしだして電気が発生するのだろう。実際にどういう操作で動くのかこの模型自動車を買ってみないと解らない。日本で買うと非常に高価*5なので、個人輸入*6するのも手かもしれない。EUR169*7なので日本で買うよりかなり安い*8

 この模型自動車は水素を作るために電気を流さなければならない。電気はどうするのか。家庭用電源を使ってもよいが、太陽電池を使っても出来る。日本では太陽電池と組み合わせられて*9売られている。

 太陽電池で電気を作って燃料電池でその電気を貯めるというのは、如何にも環境を意識した模型に思えるが、考えてみれば太陽電池で発電した電気をそのまま使ってモーターを動かすのと何ら変わらないではないか。燃料電池で充電することと今まである充電池*10を使って充電するのとどう違うのだろう。燃料電池を「発電機」として考えればいいのだろうか。酸素ガスは空気に含まれているから特に問題はないだろうが、水素ガスは作らなければならない*11だろう。そのためのエネルギーは燃料電池で得られるエネルギーよりも少なく済むのだろうか。

 何れにしろ人間が新しいことをすればエネルギーを余計に使ってしまうのは間違いない。「水」だとか「太陽」だとか、言葉の感覚だけで何か環境への負荷を減らしているつもりになってしまうが、人間が活動すれば環境に必ず負荷をかけてしまうことは忘れてはならない。本当に環境に良いことは人間の活動の一部もしくは全部を停止することしかないだろう。



*1 燃料電池
*2 Fuel Cells
*3 燃料電池の基本構成
*4 http://www.h-tec.com/pdf/Education_english.pdf
*5 燃料電池モデルカー
*6 ジェトロ-個人輸入情報ページ
*7 http://www.cixxx.de/shop/hyrunner.pdf
*8 asahi.com : 金融・経済 : 為替
*9 shohin
*10 電池
*11 http://www.iae.or.jp/DATA/TENBOU/1998-SEKITAN/siryou/z2-1.gif

020803

 地域の子供会*1が主催するキャンプに家の子供が参加する。参加するに当たって誓約書を書かなければならないらしい。

 誓約書を見てみると保護者の署名だけではなく、参加者本人の、つまり子供の署名も書かせるようになっていた。一昔、二昔前だったらこのようなことをしなければならないというのは考えられなかったが、今はそういうことをするらしい。

 誓約書にはキャンプ中に事故や病気が発生しても自分はキャンプの主旨を理解しているので、それに対する見舞金*2以外の責任は主催者には一切免除されている事を了承しているという様な事が書かれていた。

 一体どういう意味なのだろうか。この誓約書だけを読めば、主催者は無責任極まりない。主催者側は監督義務を一切放棄しているが、それでもいいかと確認しているような書き方である。いい筈はない。いくら無料奉仕*3でも一切の監督義務を免れることは出来ない。

 恐らく主催者側としてはもともとその子供が罹りやすい病気やキャンプ中全てには目が届かない状態での怪我など、常識的に考えても保護者からの言いがかりとしか思えないような訴えに対処するためだろう。しかしこれではそうではない善良な保護者の苦情も封じ込めてしまう書き方である。

 駐車場の看板によく「駐車場での事故には一切責任を負いません*4」と書いてある。これによって駐車場の管理者はそこで発生した事故に関して全ての責任を免れるわけではない*5。管理者の故意や過失が原因であれば事故に対して責任は発生する。このような看板を掲げるのは施錠など利用者の注意を喚起させるという意味もあるかもしれないが、善良な駐車場利用者の苦情も抑えるのも目的だろう。むしろその目的の方が大きいかもしれない。

 結局、このキャンプの誓約書の有効性を示す法的根拠は殆どないだろう。それに誓約書には主催者側の都合ばかりが記載されている。これでは不公平である。参加者の覚悟を明確にするのであれば主催者の監督義務はどこまでかを誓約書にちゃんと記載すべきだろう。例えば水遊びでの監督義務は半径○○メートル内に限るなど事細かく書くべきである。とはいっても全面的に責任が免除されることはあり得ない。いくら無料奉仕とは言え、それを全面的に認めさせることは公序良俗に反する*6

 注意を喚起するためにどうしても書きたいのだけど、キャンプ中の行事について全て細かく記載するのが面倒であれば、いっそのことこのような内容の誓約書を書かせないことである。参加に当たって主催者の指示に従うといった内容だけにすべきだ。そもそも誓約書とはそういうものであろう。

 そこで筆者はどうしたか。事故の責任免除の部分は無視することにして誓約書に署名をして子供をキャンプに行かせた。

 万一事故が発生したら損害賠償請求をする*7。主催者がどこまで監督責任を果たしたかを調査した上で請求をする。当然である。保護者が主催者を全面的に信頼し、主催者も最大限の注意努力を払った上で事故が起こったのならば、自然と早期に妥協点が見つかるだろう。そうであれば訴訟問題までは発展しない筈だ。

 つまり本来は主催者は監督することにおいて最大限の努力を前提としている筈なので「事故の責任免除」を記載した誓約書は初めから無いのと同じなのである。それにも拘わらず誓約書によって最初から一方的に妥協点を設定するような行為は、そうではなくても監督行為に怠慢があると思われても仕方がない。



*1 子ども会-WEB2002-TOP
*2 全国子ども会安全会
*3 ViVa! ボランティアネット
*4 駐車場に置いた車に傷が!
*5 身近な法律Q&A/消費者契約法<14>
*6 民 法
*7 安全管理

020804

 結局、自動車を買い換えて*1しまった。日本製の自動車で気に入った物がないので輸入車を買ってしまった。どう考えても高かったが、物欲が優先してしまいとうとう買ってしまった。

 セダン*2を買った。外形が重要なので普通のバンやワゴンは選択肢には一切無かった。ただし形がよければ*3選択肢になり得た。

 内装も重要である。国産車の内装で今回買った自動車に匹敵する雰囲気を醸し出している物はない。それぐらい気に入っている。

 早速慣らし運転を開始した。意味もなく自動車を乗り回すのは環境にとって良くない*4が、どうしても慣らし運転をしたい。何らかの理由を付けて自動車を運転する。

 取扱説明書には走行距離2000kmまでは慣らし運転である、と書いてあった。相当長い距離である。自動車を使って家族旅行でもして早めに慣らしを終わらせよう。



*1 ラジエターの故障(2)
*2 BMW Japan
*3 MRワゴン
*4 アイドリング伝説

020805

 今まで使っていた自動車*1はどうしたか。売却した。

 自動車買い取り専門店*2で下取り価格を見積もって貰ったら買い取りには「2〜3万円必要」と言われた。2〜3万円で我が家の自動車を買い取るのではなく、引き取るには手数料として2〜3万円を支払って欲しいというのだ。原因は登録年数10年、走行距離174,300km*3らしい。これでは中古商品として全く価値がないという。車検が1年近く残っているので代車として引き取ってくれないかと尋ねたら、代車は間に合っているし、もし代車が足りない状態でも引き取りは不可能と言われた。理由は走行距離が長過ぎるらしい。

 ラジエターを修理して*4走行には支障が全くない状態と勝手に思っている。しかしこれをもし代車として使用すれば、あてがわれた客としては「こんな距離数で大丈夫か」と考えてしまうし、実際に代車として使用してみないと判らないことであるが、路上でしょっちゅう故障しては信用にも関わる。そもそも筆者自身が自動車を買い換える理由の一つはいつまた致命的な故障が発生するか不安だったからである。今までの使用者がそう思っているのだから、全くの第三者にとって更に不安なのは当たり前かもしれない。

 駄目で元々と思い、近所の自動車鈑金屋さんに話をしてみた。欲しいという人を捜してくれるという。

 直ぐに電話がかかってきた。5千円で買い取りたいという。代車で使うらしい。代車で使ってくれるなら5千円でもいい。とにかく良く走るのでそのまま廃車は心苦しい。二つ返事で売ろうと思ったが、確認のために自動車税の処理について聞いてみた。廃車したり都道府県外に登録を変更すれば自動車税は還付される*5。今回は県内での単なる譲渡なので当事者で税金をどうするかを決めるしかない。既に本年度分の自動車税を支払っている*6ので、残りの月数の税金は新しい所有者に支払って貰わなければならない。つまりその分を私に支払えば新所有者は残りの税金を支払ったことになる。

 確認すると税金を含めて5千円ということであった。つまり税金は戻さないと言うのだ。聞かなければ言わないというのも気になったので売るのを断った。

 するとまた暫くして電話があった。税金は支払ってくれるという。それならば、ということで売ることにした。

 こういうやり取りがあったので名義変更が確実に行われるのか心配になってきた。名義変更を行わず放置されれば自動車税の請求が来年も筆者のところに来ることになる。件の鈑金屋さんに名義が変更されたら教えて欲しいと頼んだら、確実にやるので信用して欲しいという。信用も何も確認するだけである。むしろ進んで変更されたことを告げることが信用につながるのではないだろうか。どうも信用という言葉を履き違えている。

 仕方がないので3ヶ月ぐらい経過*7したら運輸局*8問い合わせる*9ことにしよう。



*1 corona.jpg
*2 車買取専門店アップル
*3 ラジエターの故障
*4 ラジエターの故障(2)
*5 愛知県総務部税務課
*6 自動車税
*7 自動車検査・登録ガイド
*8 中部運輸局トップページ
*9 自動車登録検査手続きのご案内

020806

 電話会社から利用請求が来た。普段は利用していない電話会社からであった。請求金額は8円。たったの8円である。

 どうしてこの請求が来たのかよく判らない。何かの拍子にマイライン*1として登録している電話会社以外の識別番号*2を押したのだろうか。市内通話で一回だけ使ったようだ。

 この「8円」を請求するために請求書の印刷、封筒の使用、そして郵送のための費用がかかっている。特に郵送費は大口の通常郵便*3でも8円以下にはならない。従って請求すると損をすることになる。

 請求金額が2000円に満たない場合は2ヶ月分をまとめて請求していると書いてあるが、請求金額が100円以上になるまで請求しない方がいいのではないだろうか。営利を追求しているはずの企業であるが、このような無駄を平気で行えるのは何かお役所的な感じがする。電話会社というのはそんな風なのだろうか。

 利用したのだから利用料を支払うのはやぶさかではない。しかし「8円」を払うためコンビニエンスストアにわざわざ出向くのが面倒である。これでは双方損をしている。



*1 マイライン/マイラインプラス
*2 00XY番号の指定状況
*3 利用者区分郵便物

020807

 余りにも暑いので、恨めしく思いながら昼中の青空をぼーっと眺めていたら、白い入道雲が目に入ってきた。まさに真夏の雲である。じっと見ていると刻々と形が変わっていく。

 ふと思ったのは「入道雲*1」という言い方はいつ出来たのだろうか、ということである。

 入道とは仏道に入り頭を剃って丸坊主にした人のことを指す。入道雲はもこもこと坊主頭のような丸い形をした雲が次々と湧き出てくるのでその名が付いたのだろうか。少なくとも「入道」という言葉が出来てから「入道雲」という言葉が出来たはずだから、日本に仏教が伝来する以前にはなかった言葉である。

 では仏教が伝来してからすぐさま出来た言葉だろうか。そうではないだろう。入道雲という言葉が出来たのは江戸中期から明治大正期ではないだろうか。

 入道雲の「入道」とは仏道に入った人そのものではなく、坊主頭の化け物を指していると思われる。雲の大きさとの対比から本当の入道ではなく化け物の入道だろう。

 化け物である「入道」が創造されたのはいつ頃だろう。妖怪が誰でも見られる形にしたのはその時代の絵師達だろう。妖怪は絵になって初めて具体化しその姿が一般化する。絵が大衆文化として広く伝搬するのは江戸時代以降の様な気がする。従って化け物の入道が一般化するのもその頃からだろう。

 妖怪の姿によく似た物があればそれもその絵を見た大衆によって妖怪化する。こうやって妖怪は多種多様化していくのではないだろうか。

 最初、化け物の入道は人間と等身大であった。海座頭*2火間虫入道*3加牟波理入道*4などはほぼ人間と同じ大きさである。次第に人間の倍程度の大きさの入道*5が出現し、更に山の向こうで湧き起こる雲からの連想で「大入道*6」が出来上がったかもしれない。

 そしてこの大入道*7から逆に「入道雲」という言葉が出来たような気がしてならない。どう考えても雲を見て坊さんを想像することは出来ない。もしかしたら「台湾坊主*8」という言葉と同時期に出来たのかもしれない。台湾坊主の由来は等圧線の形*9からなので、明らかに明治以降の言葉である。気象学*10において雲を分類するため、日本語の名前*11を色々付ける必要が出てきた。そこで「入道雲」という名前を作ったのかもしれない。



*1 雲の種類の説明
*2 海座頭(うみざとう)
*3 百鬼図譜「今昔百鬼拾遺霧之巻」ひまむしにゅうどう
*4 がんばり入道
*5 大入道 にっぽん妖怪地図 角川書店刊
*6 大太法師(だいだらぼっち)
*7 大入道(おおにゅうどう)
*8 高師小僧
*9 ミニ知識 気象−48 12月の歳時記
*10 天気図の記号
*11 茨城県自然博物館 雲のいろいろ

020808

 久しぶりにいいマーク*1を見つけた。「ASV*2」という未来の乗り物のマークである。Advanced Safety Vehicle*3の頭文字で日本語では「先進安全自動車*4」という。政府主導*5の開発計画であり自動車メーカや学識経験者が参加している。現在もこの開発計画が進行しているのかどうか判らない。

 「ASV」のマークは点対称になっている。「A」の横棒を取って「ΛSV」となっている。政府関係のマークにはあまりいい物がない*6が、これは結構気に入っている。他はグッドデザイン*7ぐらい。

 しかしサンマイクロシステムズのマーク*8にはかなわない。



*1 マーク
*2 4th WORLD CONGRESS on ITS -The first special session on ASV-
*3 ASV
*4 自動車総合安全情報
*5 自動車総合安全情報 ASV
*6 宇宙開発事業団ホームページ
*7 GOOD DESIGN AWARD
*8  Sun Microsystems

020809

 三瓶(さんぺい)*1というお笑いタレントを見ていてふと思ったのは、彼に人気があるのは福助*2に人気があるのと同じではないかということである。

 荒俣宏*3によると神の要件として「普通の人間とは何かしら違うところがはっきりしている」というのがあるらしい。普通の人と同じ形だけど「神様」というのは普通の人にとって受け入れ難い。超常的な力を発揮する神は普通と同じ形をしていると納得できない。それ故、七福神*4などは皆、異形である。神は異形と決まっているのでスーツ姿の神*5は「異形の神」と見てしまう。

 福の神として名高い福助も異常に頭が大きい。神になるにはやはり大きく変わったところが必要である。

 三瓶は自ら「他のデブとは違ったキャラを目指します*6」と語っている。やはり自分が尋常でないことを意識しているのだろう。この意識が外界に伝搬して異形の人としての神を彷彿とさせ民衆に好かれているのではないだろうか。

 恐らく彼の今やっている芸はすぐに飽きられてしまうだろう。それにその芸の発展性もあるようには思えない。彼が民衆の心に永く留まる道は「福の神」になることだ。例えば三瓶の写真を財布に入れておくと何故か「小銭」が増えるとか、*7の下に敷いておくと願いが叶うという噂が立てば、人気も長続きするだろう。

 そうなればまるで仙台四郎*2と同じである。三瓶と仙台四郎*8は顔もよく似ている。やはり三瓶は福の神になれるかもしれない。



*1 BACK-UP! 三瓶のページ
*2 お辞儀福助(2)
*3 SFWJ:member-ARAMATA-HIROSHI
*4 小江戸川越七福神
*5 ベルリン・天使の詩
*6 三瓶
*7 テンピュール(2)
*8 福の神 仙台四郎

020810

 どんな安い買い物でも領収書を貰うようにしている。ただし、領収書といっても金銭登録器*1で印字された物が殆どである。これが自動で出てこない時にわざわざ宛名を書いた領収書を発行して貰うことはしない。しかし自動的に出てくる場合には100円以下の買い物*2でも必ず領収書は貰う。

 目的は家計簿を付けるためである。しかし領収書が溜まるだけでなかなか家計簿を埋めることが出来ない。これは以前にも書いたが、自動で領収書を読み込んで家計簿を記入してくれる装置*3があると本当に便利である。

 光学的に領収書に印字された内容を読み取り、その内容に従って家計簿を付けてくれる*4と楽である。読み取り装置はこれ専用の方がいい。複写機のようにいちいち蓋を開け閉めして領収書を一枚ずつ読み込ませたり*5、領収書を読み取り機でなぞったりする*6のは面倒である。ファクシミリのように*7領収書を次から次へと読み込ませられるといい。

 光学的に領収書の内容を読み取ることは全く難しくはない*8と思うが、読み込んだ内容を解析するのは結構難しいのではないだろうか。

 金額しか書いてない領収書では読み取っても項目をコンピュータは分類しようがない。店の名前が書いてあれば、それから買い物の内容を思い出したり想像したりして家計簿に記入できるが、コンピュータにそんな芸当をさせるのは無理だろう。項目が書いてあっても省略されて「エンゼルパ*9」になっていたり、「オシグルマツミキ*10」のようにそのまま書いてあっても分類しにくい物もある。買った本人は判るが他人であるコンピュータはにはさっぱり判らないだろう。

 そこで領収書を一旦全部読み込ませておいて、パソコンのモニタ上にその領収書を一枚一枚表示させるのである。そして項目が書かれた部分にマウスを持っていくとその画面上に自動的に家計簿の分類項目が表示され、それで分類項目をクリックすると金額が入力されるようにする。こうすれば、パソコンで領収書は読み取れたが、自動的に全部「その他」に分類されてしまったということはなくなる。

 誰か作ってくれないだろうか*11。読みとり装置も合わせて2万円程度ならば買うかもしれない。



*1 NCR Japan/レジスター博物館
*2 8円の電話代請求
*3 お料理家計簿
*4 A.I.SOFT OCR WORLD
*5 キヤノン、USB 2.0対応のフラットベッドスキャナー『CanoScan D1250U2/D1250U2F』を発売
*6 ハンディスキャナー
*7 NEC Solutions|OCR
*8 PCLife:2001年10月号 - 特集1:スキャナー使いこなし
*9 エンゼルパイ
*10 【楽天市場】MACSweb
*11 Ukkari Mama's Cafe

020811

 今頃になると家の亀*1の甲羅が剥がれ出す。甲羅は甲板*2と呼ばれる板で構成されている。甲羅の周辺の甲板は縁甲板、真ん中は椎甲板、その両脇にある甲板は肋甲板と呼ばれる。甲羅は甲板単位で剥がれる。これはミドリガメ*3特有なのか家の亀特有なのかよく判らない。

 既に甲長が20cmを越えているので甲羅の剥がれ方も凄まじい。500円玉ぐらいの大きさの甲板が剥がれ落ちている。鼈甲*41みたいな感じである。「鼈甲」はスッポンの甲羅という意味*5だから、元々はタイマイの甲羅*6よりも鼈甲に近いかもしれない。小さい時は剥がれ落ちる甲板も人間の小指の爪程度であったのでそれ程気にならなかった。

 甲板一枚分がそっくり剥がれ落ちるので甲板に付着していた細かい藻はそれと一緒に剥がれ落ちてしまう。従って甲板が剥がれ落ちた部分は綺麗になっている。

 イシガメやクサガメのような他のヌマガメ*7もこのような剥がれ方をするのだろうか。蓑亀と呼ばれる亀がいる。亀の種類の名前ではなく甲羅にふさふさと水藻が生えてしまっている亀*8をそう呼ぶ。昔から吉兆として珍重*9されているらしい。このように藻が生えるには長い時間が必要である。家の亀のように毎年甲羅が剥がれ落ちていては藻は大きく成長しない。そうするとイシガメやヌマガメはミドリガメのようには甲羅が剥がれないのだろうか。

 どんなヌマガメでも堅い甲羅が成長するためには古い甲板は剥がれ落ちるしかないような気がする。ところが甲板が剥がれ落ちては何年間も藻が育たない。それとも成熟した亀は甲羅が成長しないので甲板が剥がれなくなるのだろうか。

 もしかしたら蓑亀に生えている藻は成長するのにそれ程時間がかからないかもしれない。だから毎年蓑亀は蓑を着替えているとも考えられる。これを詳しく研究した人はいるのか。南方熊楠*10研究していた*11みたいだ。



*1 亀の生涯
*2 縁甲板式/腹甲式
*3 ミドリガメ
*4 OSAWABEKKO
*5 生薬名・・・・鼈甲
*6 BEKKO WORLD
*7 ヌマガメ科3種とスッポン科1種の見分け方
*8 蓑亀(ミノガメ)
*9 Heian Jingu Shrine / 平安神宮
*10 南方熊楠記念館
*11 紀伊民報AGARA「普段着の南方熊楠」

020812

 観光地などに行くと売店でマリモを見かけることがある。阿寒湖*1とは関係がない場所でお土産として売られている。幼少の頃、土産物屋に売っているマリモは阿寒湖の特別天然記念物のマリモ*2と全く異なる種類の藻である、というのを何かの本か友達に聞いてそれをずっと信じていた。

 実はそうではなく土産用で売られているマリモ*3は養殖マリモと呼ばれているもので、藻自体は本物の阿寒湖に棲んでいるマリモと同じ*4ものらしい。

 それに阿寒湖のマリモが発見されたのは明治に入ってから*5というのも初めて知った。そもそも昔から阿寒湖周辺に住んでいる人たちは殆どいないので、その人達はマリモの存在を知っていても他に知れ渡ることがなかったのだろう。それにしても阿寒湖のマリモが発見*6されてから日本の他の湖*7でもマリモが棲息している事が判ってきたのだろうから、それまで北海道以外でもマリモ*8が知られてなかったというのは意外である。

 養殖マリモはマリモの捕獲が禁止されている阿寒湖の隣にあるシラルトロ湖*9で捕れるマリモを原料にして作られる*10らしい。従って阿寒湖のマリモと土産物マリモとの違いは天然か養殖かだけの違いである。田字草*11を「四つ葉のクローバー*12」としてキーホルダーなどにして売っていたが、これとは根本的に違ってお土産マリモは本物だったわけである。

 今までドブに生えるような藻を丸めた物だと信じ切っていたが、本物と同じものだということを知ってから俄然「土産物マリモ*13」が欲しくなってきた。



*1 マリモ発見100年記念事業計画
*2 微小藻の世界
*3 マリモの会のページ
*4 まりもとは?
*5 阿寒湖のマリモは、明治30年に当時の札幌農学校(現北海道大学)本科生であった 川上農学博士によって発見され「毬藻」と名付けられました。
*6 マリモ史
*7 マリモの生息地
*8 いろいろなマリモを紹介しています。
*9 No.30 釧路湿原(赤沼、塘路湖、達古武沼、遠矢採草地、シラルトロ湖などを含む)
*10 お土産マリモの作り方 天然のマリモを原料に
*11 デンジソウ(田字草)
*12 シロツメグサ
*13 サカタのタネ

020813

 新車の慣らし運転を兼ねて東京*1へ家族旅行に行った。泊まったホテル*2国会議事堂*3の近くだったので、国会議事堂を家族で見学した。

 国会議事堂をに行くためにこのホテルを選んだわけではない。とにかく新車の慣らし運転*4のために東京に行くことにした。妻が知人から東京に行くならいいホテルがあると言うことを聞いてきたのでそのホテルを予約した。インターネットで予約*5すると安くなると言うので今回初めてこれを使って予約した。そしてたまたまそのホテルの近くに国会議事堂があったので見学しようと言うことになったのである。

 見学は参議院で受け付けていた。衆議院では衆議院議員の紹介がないと見学出来なくなっている*6らしい。参議院で見学の申し込みをした。申込窓口*7は国会議事堂の裏手にあり、その場で申し込んで順番を待てば見学出来る。

 受付ロビーには小さな売店がありそこには国会、参議院グッズがたくさん売っていた。駅の売店の品物が全て国会、参議院グッズになっているようなものである。国会風呂敷、参議院巾着、そして 歴代首相漫像湯呑み*8もあった。この湯呑みはかつては高速道路のサービスエリア*9でよく見かけたが、最近は全く見られなくなった。その絶滅寸前の湯呑みが売っているのである。しかも「参議院」と書いてあるのでここでしか手に入らない。早速、購入した。子供が珍しく筆者と同じものが欲しいと言うので子供の分も買った。湯呑みではなく取っ手のついた方*10がいいというのでそちらにした。

 見学の道筋は国会議事堂の裏から入って正面に出て行く*11。最後に議事堂の真正面で警備員の人に家族の記念写真を撮ってもらった。



*1 東京都公式ホームページへようこそ!
*2 都市センターホテルへようこそ
*3 国会外景
*4 新車購入
*5 「旅の窓口」総合旅行予約システム
*6 参観手続
*7 傍聴・見学等のご案内
*8 首相漫像
*9 名入れ湯のみ
*10 manzocup.jpg
*11 kokkai.jpg

020814

 国会議事堂見学*1の後は長谷川町子美術館*2に行った。中では入場者全員を対象としたくじ引きをやっていた。はずれはアニメーション制作に使われたフィルムを利用した栞で、当籤すればセル画*3が貰えた。妻はセル画を当てた。

 長谷川町子美術館のある世田谷区を出て青梅市*4に移動し、岩蔵温泉*5で一泊した。

 青梅では吉川英治記念館*6玉堂美術館*7櫛かんざし美術館*8御岳美術館*9青梅きもの博物館*10の五博物館で青梅ミュージアム協議会*11を作っているらしい。

 最初に吉川英治記念館に行った。そもそも青梅に行った理由はこの吉川英治記念館に行くためであった。そして吉川英治記念館に行きたかったのは、ここの職員であるこのサイト*12主催者の方*13を訪ねたかったからであった。何の予告もなく突然行ったが、色々よくして頂いた。そしてこの方に協議会共通割引券を頂いた。割引券には各館の印を押す欄があり、これを三つ以上集めると記念品が貰えるというのでそれにつられてあと玉堂、櫛かんざしを見に行った。

 玉堂美術館とは日本画家の川合玉堂*14の美術館であった。館内に掲示してある玉堂の経歴を見ると出身は愛知県葉栗郡外割田(そとわりでん)村と書いてある。当時の葉栗郡といえば、筆者の実家とほぼ同じ郡ではないか。「ほぼ同じ」というのは筆者の実家はかつて葉栗郡の隣の丹羽(にわ)郡であったが、現在、葉栗郡の殆どは一宮市*15江南市*16となり、その後、丹羽郡のいくつかの村が一宮市に編入されたからである。その編入された村*17に実家がある。とにかく掲示を見た時は同じ市内出身だと思った。

 何の予備知識もなく訪ねた美術館で知った有名な日本画家の出身地が筆者と偶然同じというのは少し驚いた。

 しかしよく調べると愛知県葉栗郡外割田村というのは現在の葉栗郡木曽川町*18のことだった。一宮市の隣の町である。木曽川町のサイトには郷土画家として川合玉堂*19が紹介されている。

 因みに現在、葉栗郡にはこの木曽川町の一町しかない*20



*1 国会議事堂見学
*2 長谷川町子美術館のページ
*3 まんだらけセル画館
*4 世田谷区ホームページ・フロント
*5 OME CITY
*6 岩蔵温泉観光協会
*7 吉川英治記念館
*8 玉堂美術館
*9 櫛かんざし美術館
*10 御岳美術館
*11 Google 検索: 青梅きもの博物館
*12 おうめ商工ニュース8月号
*13 狛犬について私が知っている2、3の事柄
*14 自 己 紹 介
*15 先人21人の紹介(芸術・文化)
*16 一宮市公式ホームページ
*17 江南市
*18 木曽川町
*19 木曽川町役場
*20 郡

020815

 青梅の美術館巡り*1の後は青梅駅の近くの青梅鉄道公園*2に行った。

 公園内には沢山の機関車が展示してあった。11両*3もあるらしい。地方の児童公園内には古い電車や機関車が展示*4してあることが時々あるが、あっても1両か2両である。それが11両もある。それに公園の敷地も広くない*5そんな狭い土地*6に本物の機関車が鉄道模型を展示するかのように詰め込まれているのである。

 この展示の仕方が如何にも鉄道ファン*7が作った公園という感じがして非常に楽しかった。



*1 川合玉堂
*2 青梅鉄道公園
*3 実物展示物
*4 梅林公園
*5 マピオン地図 東京都青梅市勝沼2丁目付近
*6 青梅鉄道公園
*7 [レールファン] railfan.ne.jp

020816

 文章を書いていて時々思うことがある。雑記草は横書きなので外国語をそのままローマ字で表記することがよくある。

 例えば「English」と文中に表記することがある。これは日本語文の中に出てくる外国語なので、この表記の仕方を区別したいのだが、なかなか上手い表現方法がない。

 「英語表記」と言えばいいのか。本来日本語であるものを英語で表記する場合によく使われる表現である。会社名の英語表記*1だとか、団体名の英語表記*2など。しかし「English」を指して「英語表記」というのは随分と違和感がある。「English」は元々英語であるので敢えて英語表記というのは変である。誤解されているかもしれないので他の例で説明する。「apple」は元々「英語」そのもので英語という言語で使われる文字を使用して書かれている。これをわざわざ「英語表記」というのは何かぎこちない。日本語で使う文字で書かれた文章の中に「English」「apple」となっている部分を的確に表現したい。

 「ローマ字表記*3」はどうだろう。確かに「English」「apple」は日本文字で書かれた文中にローマ字で表記されているのだからいいかもしれない。しかし「eigo」「ringo」もローマ字表記だし、「ingurisshu」「appru」もローマ字表記である。これらの区別はどうすればよいか。「日本語のローマ字表記」ならば直ぐに「eigo」「ringo」というのが了解出来るが、「英語のローマ字表記」というのは判り難い。英語の表記はローマ字に決まっているからである。「英語の片仮名表記」であれば「イングリッシュ」「アップル」のことだとすぐ判る。「英語のローマ字表記」だと「eigo」と勘違いしてしまう。

 「アルファベット表記*4」はどうか。これはアルファベットという言葉の使い方が間違っているので問題外である。アルファベットとは表音文字の一覧表*5のことを指す。一般的にローマ字の一覧表のことを指す場合が多い。アルファベットは文字の種類を示しているわけではないので「アルファベット表記」はおかしい。片仮名表記という言葉はあるが「イロハ表記」というのがないのと同じである。

 「ローマ字綴りの英語(英単語)表記」というのはどうだろう。長すぎる。「英語表記」でいいような気がしてきた。



*1 会社組織の英語表記
*2 日本の大学名英語表記一覧
*3 PASSPORT_ヘボン式ローマ字綴方表
*4 Google 検索: アルファベット表記
*5 ローマ字

020817

 「影(かげ)*1」という言葉には様々な意味がある。

 一番よく用いられるのは光が当たったときその光が遮られて黒く見える部分、と言う意味であろう。日本語を学ぶ上でもこの意味を最初に憶える。その他に「噂をすれば影」のように実際に光が当たって影が出来ているのではなく「姿」という意味がある。漫画やテレビジョンドラマでは実際に影を作って登場させる場合もある。「影武者*2」のように「身代わり」という意味もある。「死の影」というように見えない物や人を暗示する場合もある。

 上の用法では、本体があって、そうではないその「写し」みたいな物、という大まかな意味がある。しかし「影」にはこれとは全く違う意味もある。「光」という意味がある。「星影*3(ほしかげ)」とか「月影(つきかげ)」とか、という使い方がある。「光」と「影」とは完全に対立する言葉として使われる場合もあれば、同じ意味として使われる場合もあるわけである。同じ言葉なのに全く反対の意味を表すというのは面白い。

 英語でも「影」のような名詞ではないが「cool*4」や「bad*5」など全く逆の意味に使っている。しかしこれは俗語なのでちゃんとした用法ではない。

 「影」と言えば「仮面の忍者赤影(飛騨の赤影)*6」である。さてこの「赤影」の「影」はどちらの意味であろう。「光あるところに影がある*7」の忍者だから光が遮られて出来る黒い「影」のことだろうか。しかしその「影」は昔から黒に決まっている。黒い「影」が「赤」「青」「白」「紅」という発想は可能だろうか。「影」を「光」と解すれば容易に考えつく。「黒影」という名の忍者も登場するので、もしかしたら本当に「影」を「光」としているのかもしれない。

 原作者横山光輝*8は、まず「仮面の忍者」を創造し、前作である「伊賀の影丸*9」の「影」を受け継いで赤い「影」を思いついたのではないだろうか。影丸の「影」は当然、光の対極としての「影」である。そうなると赤影*10の「影」を「光」と解してはいけないことになる。



*1 goo [国語辞典]: 影
*2 黒澤明の世界
*3 星影のワルツ
*4 cool. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*5 bad 1. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*6 仮面の忍者赤影
*7 時代劇専門チャンネル: 「サスケ」
*8 横山光輝の世界〜書籍バベルの塔手に入れました・・・〜
*9 伊賀の影丸
*10 60年代のテレビ 仮面の忍者・赤影

020818

 国会議事堂で取っ手の付いた首相漫像湯呑み*1を買った。通常、マグカップと称する。数十年前の筆者が幼少だったころは「マグカップ」という言葉は聞いたことはなかったが、今では当たり前に使う。昔は琺瑯(ほうろう)製の物*2が一般的だったような気がするが、最近はあまり見かけず、陶磁製の物*3ばかりである。

 「マグ」という言葉からマグネット磁石*4に何か関係あるのかと漠然と思っていた。「磁器」という言葉から磁石と同系の言葉かもしれないとも思っていた。

 調べてみると全然関係がなかった。そもそも綴りが違う。「マグ」は「mug」と書く。マグネットはmagnetである。mug*5はスカンジナビア語が語源らしい。それに「マグ」で「取っ手付きのコップ*6」だから、「被害を被る」「山のふもとの山麓」等と同様、重言*7であった。



*1 manzocup.jpg
*2 ほうろう
*3 マグカップ
*4 磁石と慈悲
*5 mug 1. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*6 goo [英和辞典]: mug
*7 goo [国語辞典]: 重言

020819

 弁護士の「弁」の字と弁理士の「弁」の字とは本来違う字であることを呉智英*1著作*2で初めて知った。

 弁護士*3とは法律事務を行うことを職務とする者のことで弁護士法*4に定める一定の資格を有している人である。

 弁理士*5は弁護士よりも知名度は低いが、同じように弁理士になるには*6弁理士法*7に定める一定の資格を有していなければなれない。弁護士の資格を持っていれば弁理士になることも出来る*8特許の出願などを代行*9するのが仕事である。

 現代は「弁護士」も「弁理士」も同じ「弁」という字を使うが、本来は「辯護士」「辨理士」であった。

 「辯」は二つの「辛」の間に「言」が入り込んでいる。「辛」の字は入れ墨*10を入れるための刃物の象形で「つらい」「つみ」の意味を表すらしい。「辛」が二つ並んだ漢字「辛辛(べん)」は罪から転じて罪人が互いに言い争っている様を表している。言い争いを「言(ことば)」で分けているのが「辯」で、言葉で分け入って道理を明らかにすることである。まさに辯護士の仕事である。

 「辨」は二つの「辛」の間に「リ」が入り込んでいる。この「リ」は立刀(りっとう)*11の「リ」で「刀」である。言い争っているのを刀で分ける。とにかくごちゃごちゃしている事柄を刀を使ってすぱっとさばく、処理をする。如何にも煩雑な特許出願をぱっぱとこなすのが「辨理士」である。

 現代ではどちらも「弁」を使うので「辯」と「辨」との使い分けを憶える必要はないが、弁護士の「辯」は「護」の「ごんべん」で「辯」、弁理士の「辨」は「理(り)」で「辨」となっていて憶えやすい。昔はこうやって憶えたのかもしれない。



*1 All about 呉智英(非Frame版)
*2 呉智英夫子全著作一覽
*3 【日弁連】 弁護士とは
*4 弁護士法
*5 日本弁理士会 Welcome to JPAA
*6 国家資格
*7 弁理士法
*8 弁理士法 第七条(資格)
*9 弁理士の仕事
*10 銭湯の刺青さん
*11 goo [国語辞典]: 立刀

020820

 自動車を洗う*1と必ずと言っていいくらい24時間以内に雨に降られる。今日は雨が降りそうもないな、と思いながら洗車をすると夕方に一雨ある。

 ワックスをかけたりするのは雨が降っても水をはじかせて錆を発生させないためなので、すぐに雨に降られても問題がないはずだが、ピカピカの状態が数時間しかないというのは誠に惜しい気がする。ワックスをかけずに単に洗車をした時は車体を綺麗にするためだけなので、その綺麗な状態が24時間程度しか保たないと言うのは何とも腹立たしい。

 どうして自動車を洗うとすぐに雨が降るのか。猫の顔洗い*2に似た現象なのだろうか。猫が顔を洗うと雨が降るという民間伝承がある。猫を飼ったことがないので、つぶさに猫の行動を観察したことがない。気圧の変化を読み取ることが出来るのか、湿度に敏感なのか。

 人間でも雲の状態、空気の湿り具合でもうすぐ雨が降るかどうかは何となく判る場合がある。猫の感覚が人間よりも鋭いというのは十分考えられる。何故、顔を洗うような仕草をするのかよく判らないが、とにかく雨が降りそうなことが猫にも判るのだろう。雨の間も猫は顔を洗い続けるのだろうか。気圧や湿度で顔を洗うなら雨の間はずっと顔を洗い続けている様な気がする。

 自動車を洗う場合、出来るだけ雨が降らない、降りそうにない天気を選んでいるつもりである。それなのに雨が降り出す。賭博などで大勝ちした時の記憶がずっと残っていて、大勝ちする直前のちょっとした出来事に因縁を付けて縁起をかついでいるようなものかもしれない。実際には縁起をかつぐことが出来る程、そういった事例は生じてないにも拘わらず、大勝ちした印象が大きいため因縁があると思いこんでしまう。

 洗車後の雨も苦労が水に流れる悔しさのあまり、毎回雨が降ると思いこんでしまっているのだろう。



*1 洗車道
*2 招猫倶楽部:招き猫の豆知識

020821

 近所に小学生向けの塾がある。そこは珠算*1習字*2一般学習*3の三種類の塾を経営している。

 看板もそれぞれの項目に対して三種類出している。その中の「習字」の看板で最近気付いたことがあった。

 「正しく美しい字の書き方を教えます。もうしつ、こうしつ指導します」とあった。「もうしつ、こうしつ」とは一体何か。「毛筆、硬筆」のことである。今までこの看板は何度も見ていたのであるが、習字塾の看板なので「もうしつ、こうしつ」を「もうひつ」「こうひつ」と勝手に了解していた。よく見たら「もうしつ、こうしつ」だった。

 名古屋弁で「ひ」と「し」とが入れ替わる例はよくある。質屋(しちや)が「ひちや」、七(しち)が「ひち」、布団を敷(し)くが「ふとんをひく」、潮干(しおひ)狩りが「ひおしがり」など。

 しかし「もうしつ、こうしつ」というのは初めて見た。「正しく美しい字の書き方」とあるが、これは字その物のことであって用法とは別なのだろう。この場合、果たしてこの習字塾で教えて貰っていいのだろうか。



*1 日本珠算連盟公式サイト
*2 財団法人日本習字教育財団のホームページへようこそ
*3 社団法人 全国学習塾協会のトップページ

020822

 複素数や虚数を学校で教えられた時、かなり驚いた*1記憶がある。

 それから何年かした後だと思う。更に四元数*2というのがあるというのを何かの本で知って驚いた。二つの実数と虚数単位*3i」を組み合わせて表すの数が複素数である。四元数は四つの実数と三つの虚数単位「i」「j」」「k」とを用いて表す。

 複素数における虚数単位「i」の定義はi*i=-1だったが、四元数の虚数単位ではi*i=-1、j*j=-1、k*k=-1、i*j=kj*k=ik*i=jj*i=-kk*j=-ii*k=-jとなっている。

 まさに複素数を超越した数という感じであった。その本に書いてあった四元数に関する短い解説を読んでみるとn次方程式の解は複素数で十分で、四元数の導入は必要ないと書いてあった。その解説を読んで、凄い数だけど何だか情けない数という印象だった。

 元々複素数が成り立った*4のは三次方程式の実数解を公式で求める上で何となく不都合であったことからであった。四元数はハミルトン*5が作った。数学の理論か何かを議論する上で不都合があったわけではなく、新しい数を作ろうとして作った*6ようである。

 四元数よりも凄い八元数*7と言うのもあるらしい。ケーリー*8という人が作った。虚数単位を七つ*9に増やした数である。この調子で十六元数や三十二元数も出来そうだが、基本的な演算は四種類*10しかないので「一元数」即ち実数、「二元数」即ち複素数、「四元数」、「八元数」の四種類しか出来ないのかもしれない。

 ところで筆者は「四元数」を「よんげんすう」と読んでいたが、「よん」は訓読みだから本当は「しげんすう」*11と読むべきである。「四次元*12」も「しじげん」と読んだ方がいいかもしれない。4WDはどうか。「よんだぶりゅでー*13」でいいだろう。



*1 数の存在
*2 Quaternion -- from MathWorld
*3 複素数(1)
*4 複素数(2)
*5 Hamilton, William Rowan
*6 Hamilton's Research on Quaternions
*7 超複素数の世界
*8 Cayley
*9 Octonion -- from MathWorld
*10 四則演算
*11 気付
*12 ドラえもん ワールド
*13 SUBARU−SUBARU 4WDの真実

020823

 小さな国に惹かれる。以前、シーランド公国*1というイギリス軍が第二次世界大戦中に作った海上の要塞跡を利用した国について書いた。領土は要塞の面積しかない*2のでバチカン市国よりも小さい。

 ただ、こういった海上の国家というのは簡単に作れる様な気がする。無人島でシーランド公国の様に独立宣言をすれば、諸外国に認められるかどうかは別として現代でも国家を作れそうである。これは国境線*3がないからそう考えられるのだろう。

 地続きの国境には地理的な必然性が全くないので、その境界は当事国同士の話し合いだけで決まっている筈である。隣接するする国々に対等の交渉能力があれば国境が存在し続けるが、なければない方の国家は吸収されて国境は消失してしまうのだろう。現代では突然、内陸で独立宣言して国境線を引くのは不可能である。

 そういった歴史の中で内陸に国境線を持つ小さな国というのは特異点というか特別な場所のような気がしてならない。飛び地に惹かれる*4のと似た感覚である。

 どれくらいの面積ならば「小さな国」といえるかは特にないが、ルクセンブルク大公国*5はそれ程小さい国という感覚はない。

 小さな国と言えば、バチカン市国*6モナコ公国*7サンマリノ共和国*8リヒテンシュタイン公国*9アンドラ公国*10である。

 アンドラは筆者が小学生の頃、地図帳*11で見つけた。当時は国境があるのに国名ではなく地名の様な書き方であった。この記事を書くに当たって調べてみると知らぬ間に独立国になっていた。1993年に「アンドラ公国*12」という独立国になった。独立前はフランス大統領とスペインのウルヘル司教*13との共同統治状態であった。しかもスペインの方は、ウルヘル司教の個人的な統治*14でスペイン政府が直接関与していたわけではないらしい。

 独立後もアンドラ公国の元首はフランス大統領とウルヘル司教*15となっている。

 元首*16が二人という歴史の特異点に相応しい小さな国である。



*1 シーランド公国
*2 Principality of Sealand, Historical Site through 5 June 2000
*3 境界
*4 飛び地
*5 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(ルクセンブルク大公国)-
*6 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(ヴァチカン市国)-
*7 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(モナコ公国)-
*8 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(サン・マリノ共和国)-
*9 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(リヒテンシュタイン公国)-
*10 外務省ホームページ(日本語)-各国インデックス(アンドラ公国)-
*11 帝国書院
*12 アンドラ公国(Principality of Andorra)
*13 セウ・デ・ウルヘル
*14 ようこそ、アンドラ公国 友好のページへ!!
*15 Andorra
*16 日本の元首

020824

 大阪ガス*1廃棄物となった樹脂製のガス配管*2を再利用する技術を開発した。配管材料であるポリエチレン*3とペットボトルの材料であるPETポリエチレンテレフタレート*4を混合してそれぞれの長所を引き出すようにする技術であるらしい。

 ポリエチレン*5とポリエチレンエテレフタレートとを混ぜ合わす技術はそれまで知られていなくて、それを2年半かけて開発したと言う。これによって、ポリエチレンの伸びとPETの強度という各々の長所を併せ持った新しい素材が出来上がった。

 その素材の名前は「マテリアル・リサイクル・コンパティビライズド・ハイパフォーマンス ポリマー樹脂*6」と言うらしい。略して「マリコン」と名付けられた。

 この技術は加藤真理子氏*7が中心となって開発されたようだ。「真理子」だから「マリコン」となったのだろう。元々の素材の名前が如何にも取って付けたような名前である。最初に「マテリアル(物質的な)」を持ってくるところが如何にも真理子の「マ」のため、と言う感じがする。再利用(リサイクル)するのは物質に決まっているのだから余分である。

 それにしてもこういう遊び*8が認められる会社は面白い。



*1 大阪ガス株式会社
*2 8.ポリエチレン管リサイクルシステム
*3 配水用ポリエチレン管協会
*4 PETボトルリサイクル推進協議会
*5 ポリエチレン配管システム
*6 2001年度の環境行動トピックス
*7 都市ガス機器・システム以外の新技術開発
*8 公の遊び

020825

 太陽の光をプリズムに通すと七色の光に分解出来る。光は波の性質を持っていて、その色によって波長が異なる*1。波長が違うとガラスに対する屈折率が少しずつ違ってくるので、色々な波長が混ざった光を分解することが出来る。光を分解した虹の状態*2をスペクトルという。スペクトルは波長に従って出来るので、更に意味を広げて電波や音の周波数の分布状態を示したものもスペクトル*3という。

 物質が暖められると光を発する。その光はその物質の種類に依らず、その光のスペクトルは温度によって変化するだけである。これを黒体輻射*4という。その物質の表面が全く光を反射しない黒体と言われる状態であればその物がどんな物であれスペクトルに現れるそれぞれの色の強さは一定の分布をしていて*5皆同じであるが、そうでない場合、スペクトルの分布が変化してくる。つまりある物質では赤い光が比較的強く、青い光が弱いというような事が起きる。

 太陽は核融合反応の熱によって相当高温*6になっている。太陽から出てくる光はその温度に対応したスペクトルに大体なっている。スペクトルを詳しく調べると七色のスペクトルの中に所々暗い線が出てくる*7。これは太陽が完全に黒体ではなく太陽の表面に含まれる色々な物質が、ある特定の波長の光を吸収するためにその部分だけ暗くなる。

 吸収する光の波長は太陽にあろうが地球にあろうが物質に特有なので、その暗い線のでき方観察すれば太陽の表面にどんな物質があるかが判る。更に物質は光を吸収しっぱなしではなく、吸収した光と同じ波長の光を放出する。太陽の内部からの光が強すぎるので太陽のスペクトルでは暗い線にしか見えないが、内部からの光が邪魔しなければ、物質が放出する特定の光がスペクトルの中に明るい線として見えてくる。

 皆既日食*8の時は太陽の光が遮断されてコロナ*9が観測出来るようになる。このスペクトルを分析することで太陽のコロナに含まれる物質を調べることができる。

 1868年イギリスのLockyer*10は皆既日食の時に現れるコロナのスペクトルを調べている*11うちに今まで知られていない明るい線を発見した。その光を発する主(ぬし)は太陽にしかない物質ということで、ギリシャ神話の太陽の神「Helios」に元素を表す接尾語「-ium」を付けてその未知の元素に「ヘリウム」と名付けた。

 その後、1895年にRamsay*12がウラン鉱から放射性の崩壊によって発生するガスが「ヘリウム」と同じ光を発するという事を突き止め、地球上にも「ヘリウム」があることが判った。ただし、当時は原子核の自然崩壊でヘリウム*13ができることは知られていなかった。

 ヘリウム*14にこういう話があることをつい最近知った。

 こういった話から「ヘリウムは太陽で発見された*15」という表現をする場合があるが、これは適切なのだろうか。

 発見*16というのは世の中で知られていない物を見つけだすことである。見つけたらそのものを万人が確認出来るようにしなければ他人には判らない。他人に判ってもらって初めて「発見」と言うだろう。「望遠鏡で火星を観察していたら河童の巣を発見した*17」と騒いでも、それは発見ではない。妄想である。例えそれが科学的論証によるものであってもそれは推測でしかない。それは地球上で河童*18が発見されていないからである。

 太陽には誰も行ったことがないので、そこにどういう物質があるかは想像するしかない。太陽の光のスペクトルを調べて「地球上で知られている物質が太陽にもあるようだ」という言い方ならば納得出来る。遠くから眺めているだけでそこに何かがあると言い切れるのだろうか。もし仮に未だに「ヘリウム」が地球上で発見されていなかったらどうだろう。「未知の元素ヘリウム」という言い方にしかならない筈である。これでは発見とは言えない。

 地球上で見つかって初めて「ヘリウム」と名付けられた物質は未知の物質ではなく、現実に存在が確認出来る物質になったのである。

 従って、「ヘリウムは地球で発見されたが、太陽に未知の物質として存在することも予め証明されていた」という表現が適当であろう。



*1 赤と紫
*2 ネイチャー★サーカス 言葉の救急箱
*3 スペクトラムファンのHP「ACT-SHOW」
*4 冷凍光線
*5 黒体輻射
*6 太陽
*7 APOD: 2000 August 15 - The Solar Spectrum
*8 Atsugi City Children's Science Center
*9 太陽コロナ
*10 J. Norman Lockyer
*11 Science Museum - Eclipse!
*12 Sir William Ramsay - Biography
*13 ソディ (Soddy,Frederick)
*14 ヘリウムのデータ
*15 Google 検索: 太陽 ヘリウム 発見
*16 発見
*17 Mars Global Surveyor MOC2-283 Release
*18 河童の正体

020826

 ウィリアム・モリス*1という人が描いた絵柄が気に入っている。モリス*2は100年ほど前にイギリスで活躍したデザイナー*3で、草や木など自然の物を題材とした布地や壁紙の模様が有名である。

 モリス*4がデザインした柳の模様入り布地を使ってカーテンやクッションのカバーを妻が作った*5

 絵柄がごちゃごちゃと書き込まれているが、全く鬱陶しいことがなく、むしろ見ていると落ち着くので不思議である。植物が題材だからだろうか。草むらや森を見ているとのと同じ感覚になってしまうのであろうか。幾何学模様ではなかなかこのような感覚にはならない気がする。

 日本にも昔から優れた模様*6はあるが、カーテンや壁紙には合わない。日本の模様*7風呂敷*8や暖簾、着物*9、手拭いなどにしか似合わない。



*1 The William Morris Gallery
*2 ウィリアム・モリス コレクション
*3 William Morris Society
*4 The William Morris Internet Archive : Works
*5 morris.jpg
*6 篆刻印鑑、はんこ用伝統模様・日本の草木デザイン
*7 衣裳の模様
*8 http://www.miyai-net.co.jp/photo/karakusa-a.html
*9 日 本 の 色 と 模 様

020827

 インターネット上で著作を公開する上で便利だと思うのは書いた内容をいつでも気が付いた時に訂正出来ることである。雑記草で過去に書いた文章*1の加筆、訂正が容易にできる。

 紙やCD-ROM*2などの電子媒体で配布した著作ではこうはいかない。訂正するには再度印刷をし直さなければならない。インターネット上ならばファイルを文字鍵盤入力で訂正するだけである。しかも訂正前の文章はなくなってしまう。

 逆に考えれば、紙等で公開する場合はインターネットのように簡単に訂正出来ないので、原稿の校正をしっかりやる。インターネット上ではいつでも直せるという頭があるから、文章の見直しなどがおろそかになりがちである。インターネットでは文書がファイルになっているので、ファイルを書き換えれば、それはあたかも最初からその文章であったかのようになる。恥ずかしい誤字、勘違い、間違いなど人知れず訂正することができる。筆者にとって誠に都合がいい。

 ところがそうではないことに気が付いた。インターネットアーカイブ*3の存在を忘れていた。ここ*4で過去にインターネット上で公開した文書を遡って見ることができる。

 例えば、URLを変更する*5前の雑記草が保存されている。リンク先もインターネットアーカイブで保存されているファイルになっている*6

 これでは訂正した跡が残ってしまう。別に文書を悪意を持って改竄したりするわけではないが、公開した文書を後でこっそり直すのは少し後ろめたい気もするのである。

 現在のURLでどこまで保存されているかどうかを見てみた。残っていない*7。何故か判らないが、現在の雑記草のURLを入力しても「保存されている文書はない」となる。更新頻度が高いためURLが存在していると判断され、インターネットアーカイブでの保存文書を公開せず、直接現存するURLを参照してもらうようにしているのだろうか。

 文書はインターネットアーカイブに保存されていることは間違いないが、取りあえず現状では訂正の跡は個人的にファイルを保存しない限り判らない。だからどうしたというわけではないが、何となくほっとした。



*1 目次
*2 軟體
*3 インターネットアーカイブ
*4 Internet Archive
*5 URLの変更
*6 インターネット上の雑記草
*7 Searching Page
*8 http://www.miyai-net.co.jp/photo/karakusa-a.html
*9 日 本 の 色 と 模 様

020828

 日本の名書家、書道の達人に「三筆(さんぴつ)」「三蹟」と呼ばれる人々がいる。

 「三筆」とは嵯峨(さが)天皇*1空海(くうかい)*2橘逸勢(たちばなのはやなり)*3のことである。この平安時代初期の三筆に倣って本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)*4近衛信尹(このえのぶただ)*5松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)*6の「寛永の三筆」、隠元*7(いんげん) 木庵(もくあん)、即非(そくひ)の「黄檗(おうばく)の三筆*8」、巻菱湖*9(まきりょうこ)*10貫名菘翁(ぬきなすうおう)*11市河米庵(いちかわべいあん)*12の「幕末の三筆」と呼ばれる人達もいる。

 「三蹟」とは小野道風(おののとうふう)*13藤原佐理(ふじわらのすけまさ)*14藤原行成(ひじわらのゆきなり)*15の三人である。

 これら三人衆とは全然分野は違うが、「幕末の三舟(さんしゅう)」と呼ばれる三人がいる。勝海舟*16山岡鐵舟*17高橋泥舟*18である。彼らは江戸城の無血開城での活躍で知られるだけではなく能書家としても知られている。

 この三舟の内、筆者の実家には高橋泥舟が書いたと言われている掛け軸がある。何と書いてあるのか誰も読めたことがないくらいの達筆である。落款には「泥舟」とあるので恐らく本物であろう。勝海舟*19山岡鐵舟*20ではなく、高橋泥舟*21というところが本物と思わせる。



*1 嵯峨天皇像
*2 国宝 弘法大師空海展 国宝弘法大師空海展から 祈りの美
*3 橘逸勢(たちばなのはやなり)と伊都内親王願文(いとないしんのうがんもん)
*4 光悦筆扁額
*5 伊勢物語 近衛信尹 詳しい解説
*6 あいおい損保 椿絵ギャラリー
*7 豆知識
*8 黄檗山萬福寺
*9 江戸の儒学者 その二
*10 書体への誘い2〜菱湖
*11 http://www.city.tokushima.tokushima.jp/johaku/meihin/img/10.jpg
*12 Kyoto National Museum
*13 小野道風
*14 藤原佐理(ふじわらのすけまさ)と離洛帖(りらくじょう)
*15 伝藤原行成「伊予切」
*16 ちくま小史
*17 木村屋總本店のホームページにようこそ
*18 高橋泥舟
*19 Gallery Scienceart
*20 書「四時行楽我輩亦 風月主人」 山岡鉄舟筆
*21 高橋泥舟

020829

 内田春菊*1が漫画の中で妊娠中にする腹帯*2の医学的根拠はない、と書いていた。筆者もそんなようなことを聞いたことがあった。安産のための腹帯の習慣は日本だけ*3、というのをどこかで読んだことがある。

 内田春菊は日本人の腹帯好きは着物を着て帯を付ける習慣からではないか、と書いていた。シャツやズボンを着ていても腹巻きをしてしまう*4のは帯の代わりと言うことである。

 幼児の昼寝の時に腹だけに掛ける薄っぺらな布団もこういう習慣から来ているのではないか、と書いていたが、これは違うと思う。帯に由来する単なる習慣ではない。

 筆者は胃腸が弱いので腹が少しでも冷えるとすぐ下痢をしてしまう。腹を出して寝るのと何か薄い手拭い一枚でも腹に掛けてあるのとでは全く違う。腹に何か掛けてあれば下痢を起こすことはない。幼児でも同様のことが言えるだろう。幼児にとって下痢は体の水分が相当失われる一大事なので、手足を保温するよりも大切なことだろう。ただしこれは仰向けに寝ている時の事であってうつ伏せに寝る習慣が付いている幼児にはあまり関係がないかもしれない。現に筆者の場合、うつ伏せに寝れば裸で寝ても下痢には殆どならない。

 更に女性の臍が見える*5と中年の男性が異様に喜ぶのは、普段は帯で隠れていた部分が白日の下に晒されるのが嬉しいからではないか、推測している。これも何か違うような気がする。帯をする風習があるからではなく、やはり普段は見られない部分でしかも場所が性器に近いという意味合いがあるのだと考えられる。

 確かデズモンド・モリス*6が成人女性の臍はすぐ近くにある性器の象徴という説を唱えていたと思う。海外でも臍に対してこういう見方をするので帯云々はあまり関係がないだろう。女性の臍が見えて嬉しいのは万国の男性にとって共通である。



*1 内田春菊プロフィー
*2 お腹帯、祈願
*3 日本助産師会静岡県支部 腹帯は必要でしょうか。
*4 男はつらいよ 第1作
*5 auto-ASCII24 【新聞ウォッチ】コンパニオン“ヘソ出し”禁止で、クルマから目が離せない
*6 Desmond Morris - INFORMATION PAGE

020830

 突然、ブックマーク*1の一部が消えてしまった。しかも最近ここ2、3ヶ月かけて集めたURLが全て消失してしまった。

 これは困った。復元もできないし、思い出そうにも全く思い出せない。消えたURLは50箇所ぐらいはある。いろいろ検索している時に「これは」と思って、記録したものだからその内容を忘れてしまったら永久に探すことができない。

 忘れるぐらいの内容ならばそれ程重要ではない、と諦めてしまえばいいかもしれない。しかし頭に残っているURLの内容に関しては再度検索をしなければならない。検索*2という作業はかなり時間がかかるので、これはかなり辛い。特に海外のサイト、それも英語以外の言語で書かれたサイトで適当な所を見つけるのは非常に面倒である。

 こういう事態に備えて、バックアップは常に怠ってはいけない。

 ああ、それにしても悔しい。



*1 栞
*2 情報の空洞化

020831

 ニキシー管という物がある。発光ダイオード*1液晶表示*2がまだ一般に広く製品化されていなかった頃、電卓の表示*3など数字の表示によく使われていた。

 放電を利用した真空管数字表示器で、駆動させるのに100V以上の電圧が必要だった。もともと100Vや200Vの家庭用電源を使うことを前提としたからそれぐらいの高電圧で動くようにしてあったのか、原理的にそれぐらいの電圧がないと駆動しないのか判らない。

 ただ、放電というのは電極と電極との距離とその形状と封入してあるガスの圧力とで決まる*4からもっと低い電圧で駆動出来るようにできたのかもしれない。

 ニキシー管の数字の色は橙色なので暖かみがある。真空管のヒータ*5と同じ感覚である。電子や電気関係の部品はどれも冷たい感じがするが、ニキシー管や真空管は違う。実際に熱を発しているからかもしれないが、トランジスタも熱を発するので熱が原因ではない。暖色*6で光るからだろう。

 どこかのサイトでニキシー管を使ったデジタル時計*7専門サイトの紹介があった。筆者の好みのページである。ニキシー管と木製の箱とを組み合わせた時計*8がいい。

 ニキシーはNixieと綴る。「Numerical Indicator eXperimental*9」の頭文字らしい。もともとは水の精という意味*10があるらしい。ぼうっと光るのが幻想的だからこういう名前になったのだろうか。

 筆者はnixieが「水の精」という意味であることを知らなかったので、ニキシーの綴りを知った時、全然関係ないNixon*11を思い出した。



*1 ドライバ付7セグメントLED表示器
*2 温度の専門頁
*3 http://www.hpmuseum.org/sharp.jpg
*4 ScienceWeb - Q&A
*5 真空管式カーオーディオ
*6 色彩の心理的効果 〜色彩の心理的効果〜
*7 Nixie Clock Gallery
*8 Nixie Clock and Nixie Wristwatch site
*9 NIXIE DISPLAYS
*10 goo [英和辞典]: nixie
*11 Richard M. Nixon



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