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0310雑記草


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031001

 少し前にGoogleの計算機能について書いた*1。この記事について掲示板で少し反響があった。

 計算機なので出せる答えの上限が設定されている。その値は2の1024乗のようである。3^646.07206765717245389999…や5^441.0127954671544614999… が上限で、その値はやはり「2の1024乗」であることを読者の方に指摘して頂いた。そして1024乗は「2の10乗」である。

 コンピュータでの数値計算は「浮動小数点演算*2」という方法を採っている。「浮動小数点*3」とはコンピュータの内部で小数点付きの有理数を表す方法で、十進数で言えば「0.125×103」のように、「0.125」の数値を表す部分と「103」の桁を表す部分とで構成される。

 コンピュータの内部では二進数で計算*4するので「0.125」と「103」とがそれぞれ二進数で表されている。例えば二進数で「1101」ならば、これを十進数に直すと「23+22+20」で「13」となる。

 「0」と「1」としかないので、「0.125×103」とは直接表現できない。例えば「0 11111010000 0001」といった具合になる。最初の「0」は符号を表し、その次の「11111010000」が数値を表す部分でn桁目が1/2のn乗を表し、「0010」が桁を表す部分で2の何乗であるかを表す。

 符号は「0」は「+」、「1」は「-」とする。「11111010000」は n桁目が1/2のn乗なので「(1/2)+(1/2)2+(1/2)3+(1/2)4+(1/2)5+(1/2)7」となる。桁数を表す「0001」は十進数に直すと「1」となる。桁数は「-」も考えなければならないので、この場合は常に「8」からこの桁数を引くことと決めておく。「0001」の場合は「8 - 1 = 7」で2の7乗を表す。「1111」であれば、「8 - 15= -7」となり2の-7乗を示す。「8」は4桁の二進数で表すことが出来る最大の整数「1111(十進数で"15 = 8+4+2+1 = 24 - 1")」と「0」との丁度真ん中の数である。

 以上から「0 11111010000 0001」は[(1/2)+(1/2)2+(1/2)3+(1/2)4+(1/2)5+(1/2)7]×26 = 26+254+23+22+20 = 64+32+16+8+4+1 = 125 = 0.125×103となる。符号や数値部分と桁部分との配列の仕方などは取り決めなので実際のコンピュータの内部ではこれとは少し違った表現*5になっているらしい。

 数値の精度を上げるには桁数を増やせばいい。上の例では二進数で16桁を用いたが、64桁も用いる場合がある*6。この時、数値部分は52桁、桁数の部分は11桁に割り振られるらしい。

 二進数11桁で表せる最大の整数は211 - 1だから真ん中の数は「210」となる。ここで「2の10乗」が出てきた。従って桁数11桁で「2の-10乗」から「2の+10乗」まで表現できることになる。

 では表現できる最大数*7はどれくらいになるか。数値部分は52桁あってそれが全部「1」、そして桁数の部分が「2の+10乗」になった時が最大である。上の例の様に計算すると[(1/2)+(1/2)2+(1/2)3+・・・+(1/2)51+(1/2)52]×21024 = 21023+21022+21021+・・・+2973+2972 = 1.79769313×10308となる。これはほぼ「2の1024乗」である。

 実数ではここまで計算できた*8複素数*9計算でも絶対値は最大で「2の1024乗*10」、「0」に最も近い最小の数は「2の-1024乗*11」であった。



*1 Google電卓
*2 DOS/V POWER REPORT impress Q&A COLLECTION
*3 実体験から始める情報講座(kayakaya) 浮動小数点数
*4 計算機科学概論 http://www.is.titech.ac.jp/~sassa/keisankikagaku-gairon02/keisankigairon.ch2.pdf
*5 1.4.二進数による浮動小数点数
*6 IT用語辞典 : 倍精度実数
*7 KPのホームページ 浮動小数って何??
*8 Google 検索: 2^1023.999999999999147399999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999
*9 四元数
*10 Google 検索: (2+i)^882.025590934308
*11 Google 検索: (2+i)^(-882.99999999999926)

031002

 愛知万博*1が2005年に開催される。今更、日本で万博を開催しようという感覚が理解しがたい。公共投資によって建設業界の再生の為だけに開催するのだが、それを「万博」という形にするという感覚がずれている。現代では、こういう事業は社会基盤がしっかりしていない発展途上国で開催することで本当の意味がでてくる。

 万博では何のためにそれを開催するかを明確にしようとしている。「自然の叡智」を理解するためらしい。科学技術の発達で全地球的な規模で自然を脅かしている人類の活動を、自然と対話することにより見直そうというのだ。今から30年以上前に大阪で開催された万博*2の主題は「人類の進歩と調和*3」と人類中心の考え方であったが、今度は自然や地球が中心の考え方である。

 ところがその「自然の叡智」を理解するために新たに自然の一部を人類の都合のいいように作りかえなければならないらしい。森林や手付かずの山野を造成しなければいけないというのだ。完全な自家撞着になっている。これほどあからさまに矛盾している公共事業も珍しい。

 自然環境を破壊されて困るのは次世代である。人類だけではなく全ての生物にとってである。各種生物の存在目的は自己の種の持続とその拡散であろう。生物にとってこれを妨げられるのが一番困る。主題から考えれば、愛知万博で、人類で一番の主役となるのは子供達のはずである。子供に万博を趣旨を伝えないと全く意味がなくなる。ところが前述したようにあからさまに矛盾している。どう説明すればいいのか。

 会場建設予定地の森に住んでいた動物や虫の環境はどのように保証されたのか。植生はどのように保護されたのか。説明しようがない。

 一番致命的なのは万博のマスコット*4である。森の精という設定だが、彼らは一体どこに住んでいたのか。会場建設予定地以外に住んでいるのか。もしかしたら都会*5に住む「森の精」なのかも知れない。



*1 愛・地球博:愛知万博公式サイト - EXPO 2005 AICHI,JAPAN
*2 太陽の塔
*3 Time Capsule TIME CAPSULE EXPO'70
*4 マスコットキャラクターの紹介:愛・地球博
*5 名古屋市

031003

 テレビジョンの娯楽番組で「トリビアの泉*1」というのがある。視聴者から寄せられた雑学を出演者が品評する。目新しい雑学が一杯紹介されるの大変楽しい番組なので、筆者としては珍しく毎週見ている。毎週見ているテレビジョン番組は吉本新喜劇の中継*2ぐらいしかなかったが、最近はこの「トリビアの泉」とその後に続けて放映されているお笑い番組「水10!*3」、日曜日正午の「駐在さん*4」と増えてきた。

 「トリビア*5」とは英語で些細なことや雑学的な事柄という意味で、「トリビアの泉」というのは「トレビの泉*6」の洒落である。

 この番組で筆者にとって非常に興味深い雑学があった。それはガムテープを粘着面同士で貼り合わせ、それを引きはがすと引き離される瞬間に粘着剤の部分が青い光を放つというのである。この現象を「ガムテープバリバリ発光」と称していた。どうして光るのか非常に興味深い。

 番組の中で、専門家*7が「摩擦による発光」と説明していた。摩擦で光るならば静電気である。冬に暗闇でセーターを脱げば光るのが見えることがある。セーターが静電気を持つのは摩擦が原因だから、これを思い起こせばガムテープが光るのも判ったような気がしてくる。

 ところが少し考えてみれば分かるが、ガムテープを貼り合わせてそれを剥がす動作の中に「摩擦」は一切ない。「摩擦」というのは「物と物とが擦れ合う」ことをいう。「ガムテープバリバリ発光」には擦れ合うという動作はどう見てもない。これでは専門家の説明は説明になっていないことになる。一体これはどういうことなのだろうか。



*1 トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜
*2 shinkigeki
*3 水10!
*4 吉本コメディー「駐在さん」シリーズ、16年ぶり復活 6日から朝日放送で
*5 Cool Quiz! Trivia, Quizzes, Puzzles, Jokes, Useless Knowledge, FUN!
*6 プチ極楽ホテルの旅トップページ ローマ トレビの泉
*7 Web site of Hiratsuka Laboratory

031004

 ガムテープの粘着面を貼り合わせて、それを剥がすと剥がした部分が光を放つ。こういった現象がある。「トリビアの泉*1」というテレビジョン娯楽番組を見ていて初めて知った。

 番組に出演していたガムテープの発光の専門家*2は、この現象の説明を「摩擦による発光」と説明していた。セーターなどで摩擦によって発生した静電気の放電が見える場合があるので、なるほどと思ってしまうが、よく考えてみるとガムテープをくっつけたり剥がしたりする動作には摩擦など考えられない。どうして「摩擦」という言葉が専門家の口から出てきたのだろうか。

 この現象は専門用語で「トライボルミネッセンスtriboluminescence*3」と言われているらしい。「トライボ」とは摩擦を意味し、「ルミネッセンス」とは熱を伴わない発光という意味である。摩擦で発光する現象を指すが、セーターを脱ぐ時の静電気による発光とは区別される。

 セーターの発光は摩擦によって摩擦する物と物との間で電子が移動し蓄積され、それが元に戻る時に放電が起こりそれが光となって見える。一方、「トライボルミネッセンス」は物質を摩擦したり粉砕した時に加えられた力がその物質に一時的に蓄えられてそれが元に戻る時に光る現象*4を言うらしい。光る原因はやはり放電によるもので、物質その物が光るわけではない。物質内で電子の移動が生じて電気の偏りが発生し、それが元に戻ろうとして空気中を電子が移動する時、移動する電子が空気分子に衝突して空気分子が光っている*5のである。空気分子の他に、摩擦や粉砕によって物質から出てきた気体成分に電子が衝突して光っていることもあるらしい。

 「トライボルミネッセンス」はそのまま「摩擦発光*6」「摩擦ルミネッセンス*7」と訳される。専門家はこの言葉をそのまま説明に用いたのである。最初にトライボルミネッセンスという用語は摩擦で光る現象を指す言葉として出来たのだが、様々な実験によって物理的な力によって物質が発光する同じような現象全般を指すようになったのだろう。従って「トライボルミネッセンス」は摩擦という言葉が入っていても必ずしも「摩擦」が関与する訳ではなくなった。

 一般の人は「トライボルミネッセンス」とか「摩擦発光」という用語は知らないので「ガムテープバリバリ発光」の説明には「摩擦」という言葉は必要がない。用語自体の言葉の意味とそれを示す現象とが食い違っているので「摩擦」という言葉を使って説明されると筆者のようにむしろ混乱する。引き剥がす時の力によって粘着剤の中の電子が移動して部分的に蓄積しそれが元に戻る時に空中で放電して発光する、というような説明の方が誤解がない。



*1 ガムテープの発光
*2 Web site of Hiratsuka Laboratory
*3 Rockhounding Arkansas, table of contents Experiments with rocks and minerals
*4 らくらく化学実験_ガムテープばりばり発光
*5 宇宙の雷
*6 Google 検索: "摩擦発光"
*7 宝石鉱物小事典/摩擦ルミネセンス/トリボルミネセンス

031005

 新聞を読んでいたら、こんな表現があった。「直截(ちょくさい)的」と書いてあった。「直截*1」とは「まわりくどくない」という意味で、「直截的表現」といえば、「直接的な表現」という意味になる。

 「直截」は「ちょくせつ」と読む。「ちょくさい」と間違えるのは「截」を「載」「栽」「裁」の類推で「さい」と読むとからである。「截」には「さい」という読みはない。

 それをこの新聞はわざわざ振り仮名を振って「直截(ちょくさい)*2」と書いていた。一体どういうつもりなのだろうか。わざわざ振り仮名を付けるのなら「ちょくせつ」とするべきであろう。

 この新聞は「歌音(かのん)」と題するコラムを掲載していた。以前に「歌音」は通常「かのん」と読めない*3、という記事を書いたことがある。この記事を書くきっかけになったのもこの新聞だった。

 文字を商売に使っているのならもう少し気を使ってもいいような気がする。



*1 【国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書
*2 chokusai.jpg
*3 カノン

031006

 「直截」は「ちょくせつ」*1、「消耗」は「しょうこう」、「膏肓」は「こうこう」、「早急」は「さっきゅう」と読むのだと力説すると、言葉というのは生き物なのだから変化して当たり前、そんな細かいことを言っても仕方がない、と言う人が時々いる。

 こういう人に限って本来の読みを知らない場合が多い。つまり「言葉は生き物*2」という表現を自分の無学の言い訳に使っているのである。

 もともと「言葉は生き物」という表現は、新語や死語を生物の生死に喩えたのだろう。上の言い訳ではそこに用法などの変化も含めてしまっている。「変化」を生き物に喩える例はあるのだろうか。生物は進化したり退化したりするが、その変化は緩慢すぎて目に見えない。従って「変化」の例えとして「生物」は相応しくない。

 「生物(なまもの)」ならば変化の例えとして成り立つかもしれない。一般的になまものは腐るものだから、言葉が死んでいく喩えとしてはいいかもしれない。が、単なる読み方や用法の変化を「なまもの」と表現するのはやはりおかしい。

 「なまもの」と同じように「生き物」も年を重ねれば変化していくので、これを言葉の変化に喩えているのだ、という考え方があるかもしれない。しかしどうして文法の変化や漢字の読みかえ等の変化を生き物の経年変化に喩えることが出来るのだろうか。生物は大抵必ず死ぬ。生物の成長は必ず死に向かっている。言葉の変化は死に向かっているのだろうか。むしろ変化する言葉は生き続けている。

 漢字の読み方が変化することを言おうとして「言葉は生き物」という表現は用いるのは、もともとの読み方も知らなかった上に言い訳にもなっていないのである。



*1 直截
*2 Google 検索: 言葉は生き物

031007

 金木犀*1の花が咲いてもいい時期なのだが、去年、友人に貰った金木犀*2には花が付いていない。

 周りの金木犀は花を付けて匂いを放っているのだが、貰った金木犀は全然花を付けていない。あまり日が当たらない所に植えたので、花を付ける余裕がなかったのだろうか。

 去年に金木犀の記事を書いた時、ある読者の方*3から金木犀の酒があるという情報を頂いた。中国の酒で、金木犀の花を漬け込んだもののようだ。「桂花陳酒*4」というらしい。

 梅酒のように簡単に作ることができる*5ようだ。筆者は酒をあまり飲まないが、梅酒*6は幼少の頃から好きなので、興味がある。

 作る前に金木犀の酒はどんな味なのか「桂花陳酒*7」を買って確かめてみなければならない。



*1 キンモクセイ(金木犀)
*2 金木犀
*3 Now,I'm Here.
*4 News Release - 桂花陳酒<麗紅(リーホン)> 新発売
*5 裕の鉢物園芸 金木犀酒
*6 チョーヤ梅酒株式会社
*7 桂花陳酒 アルコール15% ショッピングのキュリオシティ もりもと

031008

 あと一ヶ月もすれば亀の冬眠の季節である。古参のミドリガメ、イシガメ、ウンキョウは去年、冬眠に成功している*1ので今年も冬眠させる。新参のクサガメ*2は、大きさからすると今年生まれたばかりの幼亀である。幼亀は冬眠を失敗して死ぬ確率が高いと言われているが、充分栄養を摂っているようなので一緒に冬眠させるつもりだ。

 冬眠に失敗する原因は何だろう。冬眠は非常に体力を使うからと、よく説明してある。亀はもともと変温動物で自分の体温を一定に保つ機能がない。哺乳類が冬眠する*3のとは違って、爬虫類である亀は周囲の温度が下がれば活発に動くことが出来なくなるから冬眠するのではないのだろうか。

 気温が数℃しかなくても動き回ることは出来る*4ことを去年知った。一昨年の暮れの引越*5で冬眠から起こされてしまった一匹のイシガメの犠牲によって判った。体が動かないから冬眠するのではなく、むしろ自発的に冬眠状態にしているようだ。何れにしろ冬眠中に「体力を使う」という説明は何となく違和感がある。

 冬眠していても生きているのだから新陳代謝は行っている。冬眠中は餌を食べることが出来ないので、体内に蓄積した栄養だけで生きることになる。体力を使うと言うよりも、栄養の補給がないため、十分な栄養の蓄積がないと餓死するという説明の方がしっくりくる。

 それにしても冬眠中にそんなに体力を使うことがあるのだろうか。捕食できないので体力を使わないように冬眠しているのだから、餓死なんてあり得るのだろうか。

 わずかでも新陳代謝をしているということは酸素を使っていると言うことである。水中で冬眠するイシガメなどは、冬眠中は肺呼吸ではなく皮膚呼吸*6をしている。普段は肺呼吸でないと生きていけないのに、冬眠中は皮膚呼吸で充分生きていける程度の代謝しかしていないのである。

 もしかすると冬眠の失敗は「餓死」というよりも「窒息」ではないだろうか。幼亀は皮膚呼吸が出来る皮膚の面積が成長した亀よりも小さい。だから窒息しやすいのかも知れない。

 と一瞬思ったが、違う。体格が小さくなった時、表面積の小さくなる程度は体積の小さくなる程度よりも小さい*7。例えば半径1の球が半径1/10になった時、球の体積は1/100だが、表面積は1/10にしかならない。成長した亀が皮膚呼吸で充分生きていけるのなら、幼亀の皮膚の面積で幼亀の代謝を維持するのは十分である。逆に言えば成長した亀の方が皮膚呼吸に関しては不利ということになる。

 やはり「餓死」ということなのだろう。



*1 亀の冬眠明け
*2 クサガメ(3)
*3 冬眠する哺乳類
*4 イシガメが死んだ
*5 亀の引っ越し
*6 亀の冬眠
*7 Micro-mechanisms division Yasuhisa ANDO マイクロトライボロジー

031009

 近所のスーパーマーケットにパンツ*1を買いに行った。売り場にはパンツを穿いた下半身だけのマネキンが数個飾ってあった。男性用の下着をわざわざマネキンに穿かせてスーパーマットで売るというのは少し前は考えられなかった。大人の玩具*2店などでビキニ型*3のパンツを飾るのに使われていたぐらいであったが、普通の下着を売る明るい場所にも進出してきたようだ。ただしスポーツ用品店などには水着用の見本として昔からあったような気がする。

 この下半身だけのマネキンは「トルソー*4」と呼ばれているらしい。「トルソー」とは下半身だけのマネキンを指すわけではなく、手足がないマネキン全般を指すらしい。そういえば「トルソー」という言葉はギリシャ彫刻*5の関係で聞いたことがあるような気がする。「トルソーtorso*6」とは元々イタリア語で「茎」という意味らしい。

 売り場に飾ってあったトルソーの中にニット製のトランクス*7を穿いた物があった。ニットなので体の線が出やすい。トルソーの外形もしっかり出ていた。

 そのトルソーの股間にはしっかりと「*8」らしき形まで浮き出ていた。筆者の物より*9もかなり大きい。

 男性用の下着の装着見本でここまで再現する必要があるのだろうか。こんもりとした股間を見てこのパンツを買おうと思う人や買い与えようと思う人はどれくらいいるのだろう。そもそも男性下着の装着見本は全く必要ないような気がする。恋人や妻に自分のパンツ姿を積極的にご披露したいなら必要かも知れないが、そんな奇特な人は滅多にいないだろう。披露するにしても、店で他人の「こんもり具合」の見本を見ても仕方がない。大体自分の大きさは自分で想像できる。

 女性用の下着で外国人の装着例を眺めて、自分もその下着を着ければ同じような姿になれるという幻想でその下着の購入を決める場合があるかもしれない。しかし男性にとって下着を装着した状態はそれ程重要ではなく、下着を脱いだ時の方が重要なのである。男性の場合、その下着を着けると「大きく見えるから」というのは購入動機にならない。男性用パンツを買い求める女性にとっても、相手がパンツを装着した時の「珍」の収まり具合がどうなるかは全く問題にしていないだろう。

 装着した時の外観も目的の一つである男性用水着の場合は「こんもり具合」の見本が必要かもしれない。しかし下着は男性の場合、装着した状態の外観が目的ではない。下着売り場のトルソーの「珍」は男性女性どちらから見ても気色悪いと感じるだけのような気がする。



*1 Hanes: Underwear, Socks, Panties, Bras, Tshirts, Baby Clothing, Cotton, Bedding
*2 Google 検索: 大人の玩具
*3 ビキニ
*4 キングマネキン - ディスプレー用品の全て
*5 Sculpture Gallery presents Classic Greek Sculpture
*6 torso. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*7 www.uniqlo.com ■プリントニットトランクス(ワンポイント)
*8 天下の奇祭
*9 金玉

031010

 ガムテープを貼り合わせて剥がすと光る*1という話しを先日書いた。この現象は「トライボルミネッセンス*2」と呼ばれる。

 この現象はガムテープだけではないらしい。砂糖*3石英など*4でも起こるようだ。火打ち石*5このトライボルミネッセンスが原理であるようなことが書いてあるページ*2があったが、これは違うだろう。火打ち石の火花は摩擦熱による火花である。石と鉄とを擦り合わせた時の削れた鉄が摩擦熱で燃えて火花となって飛ぶのである。石と石とを擦り合わせても火花が出る*6。この場合、石どちらかの石に含まれる酸化しやすい成分が擦り合わせた時の摩擦熱で燃えるのだろう。そういえば幼少の頃に何時間もかけて石と石とをぶつけ合わせて火打ち石を探したことがあった。

 アメリカの穴あきの丸いハッカ飴*7潰すとよく光る*8らしい。

 飴の中の砂糖の結晶*9が割れる寸前、加えた力によって結晶を構成する原子の分布に不釣り合いが生じ*10、そのまま結晶が割れると割れた片方が電子が余分に、もう片方は電子が足りなくなる。これは静電気が生じた状態*11である。

 割れた瞬間から飴に加えられた力は解消されてしまう。電子が余分な破片と電子が過剰な破片との距離がごく近いので、すぐに電子が元に戻ろうとして空気中を飛び越えていく。この時、空気の分子に電子が衝突して光が放出されるが、電子の量がそれ程多くないのでその光は弱すぎて見えないらしい。

 空気に多く含まれる窒素分子に電子が衝突すると目に見える光の他に紫外線が出るという。紫外線は見ることが出来ない。この紫外線を飴の中のハッカの成分が吸収して光を発している*12のだという。

 飴が割れる時、第一段階で「砂糖の結晶の中の電子の過不足を解消するために電子の移動が起こる」、第二段階で「電子が空気中を移動する時、窒素分子に衝突して、窒素分子は紫外線を放出する」、そして第三段階では「飴に含まれるハッカの成分が紫外線を吸収して目に見える光を放出する」という過程を経て光ると考えられている*13

 光るハッカ飴のハッカの成分は「wintergreen*14」という木から採れるものらしい。これ以外のハッカ*15でも光るのだろうか。カルミン*16はどうだろう。



*1 ガムテープの発光(2)
*2 らくらく化学実験_ガムテープばりばり発光
*3 WintOGreen Lifesavers SCIENTIFIC EXPERIMENTS AT HOME:WINTERGREEN CANDY AND OTHER TRIBOLUMINESCENT MATERIALS
*4 Mineral Gallery - Pleochroism, Phosphorescence and other light effects
*5 ●開運なびホーム● 火打ち石
*6 らくらく化学実験 つれづれ化学草子 火打ち石の巻 日本書紀
*7 Lifesaver Wintergreen
*8 Lewie's Fluorescent Mineral Page Triboluminescence
*9 理科教材教具 砂糖の大結晶
*10 トルマリン大調査! 圧電効果の解説(「物理学辞典」(物理学辞典編集委員会))
*11  電気のプラスマイナス(3)
*12 VIDEO LECTURE DEMONSTRATIONS 7B13.05 TRIBOLUMINESCENCE
*13 The Straight Dope: Why do wintergreen Life Savers spark when crunched?
*14 桐原 春子(ハーブ研究家)HERBAL・LIFEPLANT A TREE PLANT LOVE
*15 Wintergreen
*16 明治製菓:商品カタログ カルミン

031011

 筆者にとって自動車の燃費向上*1は永遠のテーマなので、自動車雑誌などを読む時は燃費に関連する記事や広告が気になる。

 広告で凄いのを見つけた。エンジンの周りに装着するだけで半永久的にエンジンの出力が改善されるのが体感できるというのである。「体感」であって測定結果が変わるかどうかは定かではないが、「効果が体感できない時は返品が可能」だから良心的な販売方法である。

 「Power Accelater*2」という名前のホースバンド*3みたいな商品である。「加速装置」という意味なら「アクセラレーターaccelerator」であるが、これの名前は「アクセレーターaccelater」である。英語には「accelater」という単語はない。それに「~するもの」を意味する「~er」を「~ate」で終わる動詞に付ける場合、「~ater」ではなく「~ator」になる。

 何が凄いのかというと、何故そんな体感が得られるのかの説明が凄いのである。「金属原子結合の歪みエネルギーを用いたダランベール・パラドックスの応用」とある。さらっと読んだだけでは何を説明しようとしている文言なのかさっぱり理解できないが、よく考えながら読んでみても解らない。

 このようにそれぞれ畑違いの専門的な用語を違和感なく自然に文章に織り込むのは、芸術的である。この広告を作成する際はかなり文案を練ったに違いない。その証拠に「著作権法により広告文書の無断転載は禁止されている」と但し書きまでついている。

 確かに金属を曲げれば金属結合の歪みは発生しているであろう。ホースバンドを締めればどこかに歪みは発生している。それとダランベールがどう関係してくるのだろう。

 「ダランベールのパラドックス*4」というのは、「理想的な流体は粘性がない」として流体中の物体の挙動を計算すると「その物体は何ら力を受けない」という結果が出てしまい、流体を理想化してしまうと計算結果が実際の現象と大きくかけ離れて無意味になるという説明らしい。このダランベールとはあの百科全書のダランベール*5である。

 単なる計算結果と現実とが大きく異なるという説明である「ダランベールのパラドックス」を応用するというのは一体どういうことなのか。そしてそれと金属原子の結合の歪みとをどのように組み合わせると「体感」できるのだろうか。

 広告の写真を見るとのバンドの部分には「Power Accelater」という文字が一杯刻印されている。広告文案とこの刻印との組み合わせをまじないやお守り*6の一種と考えれば、物理的な意味はともかく「体感」は十分得られると考えられる。



*1 燃費向上
*2 株式会社パワーハウスアクセル--パワーアップ!添加剤,潤滑油 Newパワー・テクノロジー Power Accelater
*3 Airdraft-Fasners ステンレスホースバンド,クランプ,ターボクランプ
*4 TARUTA's House. 飛行機が飛ぶわけ―――「ベルヌーイの定理」説をめぐる論争を解く (1)
*5 相互参照
*6 二枚のお札

031012

 漢和辞典のCD-ROM版*1が出た。白川静*2「字通」のCD-ROM版*3である。

 筆者としては「大漢和辞典*4」のCD-ROMを早く出版して欲しいと思っている。書籍の方の大漢和辞典*5も欲しいが、CD-ROM版でもいい。両方あるといいが、まだ書籍も買えていないのだから両方はとても買えない。書籍はぺらぺらめくって眺めることが出来るので、面白い漢字を探索するには非常に都合がよい。CD-ROMは置き場所に困らない。大漢和のCD-ROMが出てくればまた悩みが増えてしまうだろう。

 大漢和のCD-ROMはいつ出るのだろうか。出版社はCD-ROM化を考えている*6ようだが、いつになるかは解らない。相当、先のようである。是非、Macでも使えるようなCD-ROMにして頂きたい。



*1 平凡社 CD-ROM版 字通
*2 OBSERAI Home Page 白川静
*3 CD-ROM版 字通
*4 座右の銘
*5 『大漢和辞典』記念室
*6 CD-ROM化の予定はありますか?

031013

 川柳スロット*1を改造した。番号が自動的に付けられるようにした。今度は最近の200句まで表示されるようにした。それ以降は古い句から削除される。

 更に五七五のそれぞれの語句を今までの200語句以上から250以上にした。これで組み合わせは1600万以上になった。

 それではお楽しみ下さい*2



*1 川柳スロット
*2 川柳スロット

031014

 キーホルダとして発光するものが欲しくなってきた。発光するものといえば懐中電灯である。懐中電灯といえば、アメリカの懐中電灯Maglite*1一番小さいの*2が良さそうだが、実際にキーホルダにするには少し大きい。長さが8cmもあるのでポケットに入れるにはやはり大きい。

 Magliteは大雑把に言えば三つの部品で構成されている*3。豆電球の部分、電池を入れる筒、後ろの蓋である。殆どがアルミニウムで出来ている。電池を入れる筒は全てアルミニウムなのでこの部分を2/3を切り落としてネジ山を内側に切ってやれば、小さいMagliteが出来上がる。

 通常の大きさのものは単四電池一本を使用するが、短くすると単四電池は使えなくなる。そこでボタン電池*4を使う。ボタン電池は電気の容量が単四電池よりも少ないので、豆電球*5の代わりに、発光ダイオード(LED)*6を使うようにするといいだろう。

 こんな事を考えていたら、実際にそれを商売にしている*7ところがあった。Magliteの豆電球を発光ダイオードと入れ替える*8キットが色々な所*9から販売されている。個人のページで改造を紹介しているところ*10もいくつかある。

 ただし、Magliteの胴体を切るというという発想はないようだ。そもそも形が変わってしまうので、Magliteではなくなってしまう、という感覚があるからかも知れない。単に懐中電灯を改造するのとはわけが違う。Magliteだから改造して使ってみたいと思うのであろう。

 しかし筆者はもう少し短いMagliteが欲しいのである。



*1 懐中電灯
*2 Single-Cell AAA
*3 Maglite® Solitaire® Single-Cell AAA Flashlight > Anatomy
*4 BF:電池の種類と特徴(アルカリボタン電池)
*5 Replacement Lamps > Accessories
*6 NICHIA Corporation 砲弾型発光ダイオード LAMP Type LED
*7 久留米のアウトドアショップ・ヤングマツモト LEDライト
*8 防犯・護身・防災用品:AAA防犯ショップ ミニ・マグライトAA用 オパレック ニュー・ビーム LEDモジュール
*9 Google 検索: MAG ライト LED
*10 Google 検索: ソリテール 改造

031015

 短いMaglite*1のことを考えていたら、発光ダイオードを使った小さな光るキーホルダーを店頭で見つけたのでついつい買ってしまった。プラスチック製である。1000円だった。

 透明のプラスチックで出来ており、電池などが透けて見える。発光ダイオードの輝度はかなり高く、真っ暗の中で鍵穴を照らすには十分な明るさである。光の色は白色の物を選んだ。CR1620*2という硬貨型のリチウム電池が二枚重ねられて、電池の電極には発光ダイオードのリード線が接触しているのが見える。

 大きさは大体五十円玉ぐらいで、重さは電池を含んで6gと書いてあった。

 衝動的に買ってしまったが、よくよく見ると*3がどうも気に入らない。そもそも透明なのがいけない。色の付いたプラスチックの方がいい。同じ性能で殆ど同じ構造と考えられるこのキーホルダ*4よりは数段にましな意匠をしているが、どうもいけない。発光ダイオードの部分がぴょこんと飛び出ているのが駄目だ。

 色々調べていたら、もう少し形が洗練されていて、しかも不透明なプラスチックで出来ているキーホルダ*5をweb上で見つけた。これが本家のようである。これとの差別化で透明になっているのだろうか。本家では特許を取得*6している。請求項*7をよく読まないと判らないが、透明にするだけで特許を回避できるとはとても考えられない。

 本家の意匠もそれ程気に入っているわけではない。印籠*8を物凄く小さくしたような形がいい。



*1 マグライトの改造
*2 Yahoo!ショッピング - ナショナル リチウムコイン CR1620
*3 商品詳細 スターライトミニ
*4 National商品カタログ 集光形 リチウムキーライト(リチウム電池CR1620 2個用) BF-971P:商品概要
*5 New Water Resistant Photon Micro-Light!
*6 United States Patent: 6,190,018
*7 産学連携キーワード辞典 請求項
*8 unomatudou.co.jp 漆器 卯之松堂(うのまつどう)−漆器の事ならおまかせ下さい!− 印籠

031016

 「日常の物理事典*1」「続 日常の物理事典*1」という本を買った。これはある読者の方から薦められた本である。日常の疑問を物理の物理の目で解明する事典のようだ。雑記草の姿勢と非常によく似ている。

 この事典の著者は近角聰信(ちかずみそうしん)という物理学者*2だから本格的な内容である。物理の玄人が書いているのだが、内容は平易に書かれているので、非常に判りやすい。

 「塩が塩を呼ぶ*3」「旗のはためき*4」「浮沈子*5」「永久ごま*6」など雑記草の記事と同じ様な話題が沢山載っている。この事典を読んだことがある人が雑記草を読めば、雑記草の記事の元はこれらの事典ではないかと思われるかも知れない。今まではこの事典の存在を知らずに書いていたが、今後はこれを参考にして記事を書いていくことになるだろう。

 物理現象の説明というのは一般に認められている学説に従えば、誰が説明しても同じ様な内容になるので、なかなか独創的な読み物にはなりにくい。そうなると着眼点の違いが独創性につながるのだが、着眼点を変えることは簡単ではない。独創性を出すのは本当に難しい。

 出版社は各種の事典や辞典で有名な東京堂出版*7である。水木しげるの「妖怪事典*8」もこの東京堂出版から出ている。こういう大して売れない本を出版してくれる会社の存在は本当に嬉しい。

 「日常の数学事典*1」というのもあった。これも面白そうである。



*1 Amazon.co.jp: アマゾンへようこそ!
*2 <書籍紹介> 物性科学入門(近角聰信 著)
*3 呼び塩の原理
*4 アポロ計画の疑惑
*5 ガリレオ温度計(2)
*6 永久ゴマ
*7 読書人の東京堂書店 東京堂出版出版物
*8 水木自慢

031017

 日常の物理事典*1を読んでいたら、食品包装用ラップフィルム*2がくっつく原理が載っていた。

 静電気でくっついているらしい。ラップフィルムは高分子で出来ている。高分子*3というのは、一定の形をした分子の塊がいくつもつながって出来ている大きな分子のことである。高分子だからというわけではないが、分子の構造からその分子の中で電気的にプラスに偏った部分とマイナスに偏った部分とが出てくる。

 ラップフィルムを形作っている中では、分子の中のプラスマイナスは他の分子のプラスマイナスと互いに結合しあっているが、ラップの最表面ではこのプラスマイナスが結合する相手がいないため露出してしまっている。

 これが他の物体に付着すると、その物体の中の電子が引き寄せられたり離れたりしてラップフィルムのむき出しになっているプラスやマイナスの部分と逆の電気が発生してくっつき合うというのである。つまりラップフィルムのプラスの部分が他の物体に触れるとその部分に電子を引き寄せマイナスになるので強く引き合い、逆にラップフィルムのマイナスの部分が他の物質に接触するとその物質の中で電子が反発して逃げ、残ったプラスイオンと強く引き合うというのである。

 筆者は全く違う原理でくっついていると思っていた。ロールから引き出したばかりのラップフィルムは非常にきれいなので空気中の水の分子が瞬間的にフィルム一面に付着して、その水分子が接着剤のような働きをして他の物体とくっつくと考えていた。丁度、二枚の板ガラスを濡らして合わせるとそれらを引き剥がすのに苦労する状態を想像していた。

 ラップフィルムのくっつき方を見るとどうしても静電気*4ではなく、何か接着剤が付いているような感じがしてならない。これを確かめるには湿度の違いでラップフィルムの付着力が大きく変化するかどうかを実験してみればよい。乾燥した冬は何となくラップフィルムの付き方が少し弱いような気がする。



*1 日常の物理事典
*2 Google 検索: 食品包装用ラップ
*3 後藤富雄 What is polymer ?
*4 佐賀県立宇宙科学館公式ページ 静電気

031018

 最近、「バカ本」に凝っている。バカボン*1ではない。「バカ」という文字の入った題名の本を見つけるとついつい買ってしまう。筆者自身が「バカ」だと他人から思われたり、自分でそうは思いたくないので、他人の言う「バカ」を知って、それは自分のことを言われているのかどうか確かめたいのである。

 手許には「バカの壁*2」「バカのための読書術*3」「まれに見るバカ*4」「やっぱりバカが増えている*5」の四冊の新書がある。

 「バカ*6」というのは、相対的な表現である。較べる物があって初めて「バカ」かそうでないかと言うことが出来る。何か「バカ」という基準があってそれに基づいて書かれている。その基準は本の著者の思いが基になっているのだが、共感する部分があるとついその思いが絶対的な基準であると錯覚してしまう。「バカ」そのものが居る*7のように思い込んでしまう。

 相対的な「表現」であるにもかかわらず、「バカ」というのが絶対的な事柄や存在であると本気で考えてしまうのも、そう考えない人からすればその人は「バカ」になるだろう。もしかしたら「絶対的なバカ」というものの定義はこれなのかも知れない。「バカ、バカという奴が一番バカ」というのはこのことなのだろう。



*1 これでいいのだ!
*2 Mainichi INTERACTIVE くらし・娯楽 今週の本棚 バカの壁
*3 紀伊國屋書店:バカのための読書術
*4 紀伊國屋書店:まれに見るバカ
*5 イーエスブックス 〜本を通して人々がつながる、世界が広がるサイト〜
*6 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書
*7 読書のおと(内田百けん作品のページ) ●「間抜けの実在に関する文献」●

031019

 二歳になる一番下の娘*1が最近、手を振りながら「シーユー」と言いだした。最初に聞いたのは彼女が部屋を出ていく時であった。

 一緒にDVDか何かを見ていて、娘は他の事がしたくなったのか部屋を出ていった。出ていく時に「バイバイ」と言いながら手を振った後、何やら一言しゃべって出ていった。「シーユー」と聞こえたのだが、すぐに何のことかは判らなかった。はたと英語の「See you」だと気付いた。

 妻に聞くとよく言っているらしい。どうもテレビジョンを見て憶えたようだ。筆者の嫌いな番組の一つである「英語であそぼ*2」などでも見て憶えたのだろうか。まずは日本語をしっかり学ばなければならないのに余分な言葉を憶えている。そう言えば「バイバイ」も英語であった。

 考えてみると日本の幼児が最初に憶える別れの挨拶が英語の「バイバイ」というのは物凄く奇異であるような気がする。日本の経済の高度成長期にテレビジョンが普及して一気にこういう事になったのだろうか。幼児が最初に学ぶ基本的な挨拶に外来語を使うというのは他の言語ではあまり例がないと思われる。該当する自国語があるにも拘わらず、わざわざ外来語を使う*3のは、自国語を馬鹿にしているような気がしてならない。

 無意識にこういうことをやっているのならば、何となく外来種のミドリガメ*4アメリカザリガニ*5が日本の動植物の生態系を破壊しているような感じでもある。もう少し日本語のあり方を考えなければならない。



*1 エックス線CT
*2 キッズワールド
*3 印度人もびっくり
*4 クサガメ
*5 ザリガニと稲

031020

 先日、Magliteの改造*1について書いた。Magliteの豆電球を発光ダイオードと入れ替える改造は沢山あるが、Magliteの胴体を切断して全体の長さを短くする発想はない様だ、と書いた。

 その後、調べていたら短くする改造を紹介しているページ*2を見つけた。元の長さのもの*3と較べると結構小さい。

 ただし、Magliteの一番小さい型*4を切断するというのは見つからなかった。

 Magliteの一番小さな型の豆電球を発光ダイオードに変更する場合、電池や電流制限の抵抗*5の関係で、詰め物が必要*6になる。電池と同じ太さの筒の上下に電極を付けて、その中に電流制限用抵抗を入れる*7などの工夫をしている改造が殆どである。

 調べていたら簡単に改造する方法を紹介しているページ*8を見つけた。詰め物の代わりにばねを使う。電流制限用の抵抗はばねの中に半田付けする。ばねの一方に絶縁板付けて、抵抗のもう片一方の線を絶縁板の真ん中から出す。これで上記の工夫と同じ効果が得られる。

 更に簡単な改造*9が載っていた。ばねの代わりにボルトとナットを使う。これだけで終わりである。ボルトとナットとが電流制限用の抵抗の代わりになるのだろう。

 あとは胴体を切断してねじを切るだけで、短いMagliteが出来上がる。



*1 マグライトの改造
*2 SILVER LEGACY HOME PAGE MAG2D MiniMini-5w
*3 Maglite® D-Cell Flashlight > Anatomy
*4 Single-Cell AAA
*5 電子工作のページ ■LED
*6 ガシャポンHG SHOP GYOTEN マグライト ソリテール 白色LED 改造キット
*7 RUU's HomePage (RUUの趣味のページ) マグライトの改造
*8 Flashlight Reviews and LED Modifications Maglight Solitaire LED Mod 2
*9 Flashlight Reviews and LED Modifications Solitaire LED Mod

031021

 今月18、19,20日に気が置けない仲間と石垣島*1に行った。男ばかり四人である。

 一人は一足先に現地に渡っていた。彼の目的は蝶採集*2である。昆虫採集をみんなで揃ってと言うのは無理だから、合流する前に採集を済ませてしまうつもりだったようだ。私の目的は遺構探訪*3である。あとの二人は純粋に観光であった。18日の夕方にホテルで合流することになっている。

 昆虫採集と違って遺構探訪は観光も兼ねることが可能なので、あとの二人には少し付き合ってもらった。

 初日は石垣島の最北端にある戦時中の遺構を見に行った。昼に石垣空港*4に到着したら、すぐにレンタカーを借りて最北端*5に向かった。

 事前にインターネットで石垣島の戦争遺跡を調べておいた。最北端の平久保崎灯台*6の近くには砲台の跡がある*7と言うことであった。

 岬の一番高いところにその遺構はあった。コンクリート製の八角形の遺構*8である。

 この後に見に行ったヤエヤマヤシ群落*9の売店で偶然手に入れた「八重山の戦争*10」という本によると、八角形の遺構は砲台ではなく、旧海軍の見張所であった。



*1 おーりとーり 石垣市
*2 蝶の数え方
*3 遺構探訪
*4 ishigakiair.jpg
*5 マピオン - 「沖縄県石垣市字平久保」付近地図
*6 hirakubotoudai.jpg
*7 Google 検索: 平久保 砲台
*8 hirakuboikou.jpg
*9 「米原のヤエヤマヤシ群落」 〜CityDO! 宮古島・石垣島特集(沖縄)〜
*10 やいまねっと 八重山の戦争

031022

 二日目*1西表島*2に行った。

 西表島には星の砂の海岸があるという。星の砂と言えば小さな瓶に詰められて水族館などの土産物屋でよく売っている。昔から「星の砂」と言われていたわけではないと思う。25年ぐらい前に星の砂が流行した*3ような気がする。同じような時期に愛国から幸福行きの切符*4も流行っていた。この時の地方ブームで「星の砂」という言葉が出来たのではないだろうか。

 海岸の砂が全部「星の砂」になっている「星砂の浜*5」が西表島にあるというので、そこに行くことにした。石垣島から船で西表島に渡り*6レンタカーを借りて、その浜まで行った。バスが運行しているが、本数が少ないのでレンタカーにした。それに遺構*7を探すにはレンタカーの方が都合がよい。

 星砂の浜に着くまでは頭の中では、海岸の砂が全て星の砂、と言う状態を想像していた。

 砂浜の砂を拾って見てみると、確かに星の砂がある。しかし手のひらの中でよく探さないとない。星の形をした砂粒は思ったよりも少ない。少し離れた場所に行くと星の砂が多くなるところもあるが、想像していたような全部が全部「星の砂」ということではなかった。

 折角、来たのだから、星の砂を持ち帰ることにした。500ミリリットルペットボトル一杯に詰め込んで持ってきた。沢山持ってきたつもりだったが、家で水洗いして乾燥させて他の瓶に入れ直したら*8かなり目減りしていた。



*1 石垣島(1)
*2 西表島
*3 Angel Stage - Gallery 03 - Angel Stage
*4 幸福駅 : 旅の窓口
*5 八重山諸島の自然 星砂の浜(名勝地)
*6 エアー琉球 石垣島発 西表島観光
*7 遺構探訪
*8 starsand.jpg

031023

 西表島の星砂の浜で星の砂を採ってきた*1浜の入り口の出店*2ではおばさんが星の砂などを売っていた。

 この写真の小さい方の瓶*3はその店で買った。100円だった。この小さい瓶の方は全部「星の砂」である。

 海岸の砂には少ししか星の砂がない*4のに、どうして瓶一杯の星の砂があるのだろうか。あばさんに聞いてみると、砂を選り分けているのだという。選り分け作業の途中の砂を入れた白い箱を後ろから取りだして見せてくれた。店が暇な時に手で選り分けているのだという。

 大粒の星の砂は「太陽の砂」という名前で売っていた。これは200円だった。これは選り分けるのではなく、生きた星の砂を直接採取して乾燥させて作るらしい。

 生きた「星の砂」とは有孔虫*5のことである。有孔虫は殻をもったアメーバ*6で、星の砂はその殻*7である。有孔虫というのは以前から聞いたことがあったが、どんな生き物かは知らなかった。有孔虫の名前の由来は殻に穴が沢山空いている*8かららしい。

 この有孔虫は海藻などにくっついているらしい。これを集めて「太陽の砂」を乾燥させて作るという。引き潮の時の「星砂の浜」の砂の殆どが「星の砂」になっている*9らしい。筆者らが訪れたときは少ししか含まれていなかったので、満ち潮だったのかもしれない。

 「星の砂」と「太陽の砂」とでは種類が違うという話し*10もある。前者は「バキュロジプシナBaculogipsina*11」という名の有孔虫で、後者は「カルカリナCalcarina *12」という名前の虫らしい。100円で買った瓶の中味をよく見ると大きめの砂粒とカルカリナ*13も混ざっている。

 驚いたことに星の砂で出来た島がある*14らしい。鳩間島*15という西表島の北にある。今度、西表島に行ったときはこの島にも行かなければならない。



*1 石垣島(2)
*2 kiosk.jpg
*3 starsand.jpg
*4 sand.jpg
*5 Image Quest 3-D Stock Library and Wildlife photography Star Sand
*6 阿嘉島臨海研究所 星砂の生物学 Biology of star sands,Baculogypsina sphaerulata(Foraminifera)
*7 課題研究の指導(理科)サンゴ礁生物を用いた教材の開発−有孔虫(ホシズナなど)による二酸化炭素の取り込みの理解を通して−
*8 Gallery of 3-D Images Starsand
*9 旅人の部屋めいん 西表島 星砂の浜(いりおもてじま ほしずなのはま)
*10 Gen-yu's Files 愛の星砂
*11 原生生物図鑑メニュー Sarcodia: Rhizopoda: Foraminifera
*12 原生生物図鑑メニュー Sarcodia: Rhizopoda: Foraminifera Rotaliina亜目
*13 Selected Examples of Biologica's Projects Examples of Foraminifera
*14 八重山諸島の自然 バキュロジプシナ(固有動物)
*15 八重山諸島の自然 鳩間島

031024

 西表島の星砂の浜でペットボトルに星の砂を入れていた時*1、地元の初老の男性が何か一所懸命拾っていた。地元の人が拾っているならば「星の砂*2」ではない筈だ。あれだけ一所懸命拾っているのだから何か金目になるものだろうと思い、聞いてみた。

 貝を拾っているという。小さな緑色をした貝である。滅多に落ちてはいない。目を凝らしたり上辺の砂を払い除けたりすると見つかる。大きさが大きくても5mm程度の小さな貝である。男性はこれを沢山集めていた。

 何に使うのかは特に聞かなかった。きれいなので自分も探してみた。何個か見つけてペットボトルの中に入れた*3

 仲間に「グラム当たり数千円で売買されている貝が落ちているらしい」と冗談交じりに話したら、一瞬色めいたがすぐに冗談だということがばれた。

 浜辺の入り口にあった出店のおばさん*4に緑色の貝のことを聞いてみたら「拾っていたのはうちの旦那だ。瓶の中に入れる貝を拾っている」というので少しびっくりした。冗談になっていなかった。

 緑色の貝は「クサイロカノコ*5」という名前の貝であった。学名名は「Smaragdia rangiana*6」というらしい。星の砂と同じように海藻にくっついて生活している*7ようだ。

 インターネット上でこの小さな貝殻は販売されている。ここでは1個$0.5*8である。こちらでは10個$5*9のようだ。「グラム当たり数千円」というのもそれ程大袈裟な値段ではなかった。



*1 石垣島(2)
*2 MHNN - Catalogue - La Grande Illusion
*3 greenshell.jpg
*4 ikiosk.jpg
*5 Memory of far sea.. Shell Date Base kusairokanoko.jpg
*6 Sea Shells Smaragdia rangiana
*7 貝の博物誌 3.貝類の生息環境 海藻上
*8 Femorale NERITIDAE - Smaragdia rangiana (Recluz, 1842)
*9 WWW.SPECIMENSHELLS.NET Smaragdia rangiana

031025

 西表島*1で、生きている「カツオノエボシ*2」を初めて見た。烏帽子の部分が3cmぐらいの小さなものであった。浜に打ち上げられている物は何度か見たことがあるような気がするが、海を泳いでいるのを見たのは初めてだった。

 カツオノエボシ*3は一匹のクラゲのような形をしているが、実は何匹もの個体が集まって「カツオノエボシ*4」の形をしている。これを群体*5というらしい。

 正確に言うとクラゲでないようだ。ヒドロ虫の仲間*6らしい。ヒドロ虫とはヒドラの仲間*7と言うことだろう。分類は人間の決め事なのでヒドラだろうがクラゲだろうが、まぁどっちでもいい。とにかく見た目は一匹のクラゲだが、何匹かが合体しているのである。

 四種類の個体で構成*8されているらしい。

 烏帽子の部分の個体、触手の個体、食物を食べる個体、生殖を担当する個体の四種類である。烏帽子の中に入っている気体は一酸化炭素らしい。

 日本語の名前は「鰹の烏帽子*9」で変わっているが、英語名も変わっている。「Portuguese Man-Of-War*10」で「ポルトガルの軍艦」という意味である。「Man-Of-War*11」と略される場合もある。「Bluebottle*12」とも言うらしい。



*1 石垣島(2)
*2 katsuonoeboshi.jpg
*3 危険な生き物解説・カツオノエボシ
*4 カツオノエボシ
*5 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書
*6 信大教育理科坂口研のページ ここでは、ヒドラとミズクラゲを紹介しています。
*7 Micrographia: Fresh Water Hydrozoa. An introduction to Hydra with photomicrographs.
*8 Chem 377 Fall 2003 Index Quick facts on Physalia Physalis
*9 冠・烏帽子
*10 Physalia physalis (Portuguese Man-Of -War): Narrative
*11 man-of-war. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*12 Explore Australian Museum Online The Bluebottle or Portuguese Man-of-War

031026

 西表島*1で、「鈴石」というのを買った。鈴石というのは見た目は赤茶色の普通の石だが、手に持って振るとからから音がする。西表島では畑などから産出するらしい。

 石垣島旅行の二日目の朝、石垣島から船で西表島に渡った。ちょっと立ち寄った港の売店*2でその鈴石が一個1000円で売っていた。初めて見る面白い石なのでついつい買ってしまった。

 大きさは4cmぐらいの小さな石*3である。振るとかすかに音がする。

 これを買った後、レンタカーを借りて星砂の浜*4に向かった。星砂の浜の出店*5でも、この石を売っていた。朝買った石よりも大きくて良く鳴る石が1000円で売っていたので、また買ってしまった。今度は10cmぐらいの大きさ*6である。おまけで一つ石を貰った*7。これも朝買った物より良く音がする。

 朝買った鈴石には沢山ひびが入っている*3ので、何だか簡単に割れそうである。試しに手で捻ってみたら割れてしまった。

 鈴石の中身はこんな風になっていた*8。石の空洞の中にぎっしりと土みたいな物が詰まっている。何となくゆで卵の黄身を割ったような感じである。実際の鈴*9のように小石が入っているのとばかり思っていた。

 鈴石は「褐鉄鉱(かってっこう)*10」という鉱物の一種らしい。鈴石のでき方ははっきり判っていないらしい*11が、土の中の粘土や砂の塊の周りに鉄分が堆積*12してできるようだ。

 植物の根っこに出来た高師小僧(たかしこぞう)*13に似ている。高師小僧*14は根っこの周りに鉄分が堆積して出来た竹輪のような石である。これも褐鉄鉱らしい。豊橋の高師原*15というところで多く産出するのでこの名前が付いた。

 ちなみに豊橋は竹輪の名産地*16であるが、それとこれとは特に関係はないと思われる。



*1 石垣島(2) 星の砂
*2 ヤシガニNET・西表島「アクセスの大原港」
*3 suzuishi01.jpg
*4 石垣島(3) 有孔虫
*5 kiosk.jpg
*6 suzuishi02.jpg
*7 suzuishi03.jpg
*8 suzuishi0101.jpg
*9 額 賽銭箱 鈴 提灯掛台 suzu_set_L.jpg
*10 九州大学所蔵標本紹介 56. 褐鉄鉱
*11 The world of finding 鈴石
*12 rakia TOP リモナイト(Limonite)褐鉄鉱
*13 高師小僧
*14 高師小僧
*15 マピオン - 「愛知県豊橋市高師町」付近地図
*16 ヤマサちくわ株式会社

031027

 西表島で「鈴石」を買った*1。振ると中でからからと音がする珍しい石である。

 水石というのもあった。「みずいし」と読む。水石(すいせき)*2というと盆に載せて盆栽*3みたいに鑑賞する自然石を指すが、「みずいし」は振ると中でちゃぽちゃぽ音がする石のことである。

 石の中に水が入っているというのも不思議である。一体どうやって出来るのであろう。

 鈴石は土の中の粘土の塊などの周りに水分中の鉄分が堆積して出来るのではないかといわれている。鈴石を割ってみると中から土か砂の塊が出てくる*4

 この鈴石が土の中である程度出来上がった時、何かのきっかけで鈴石にひび*5が入って、中に水が入っていく。すると鈴石の芯の粘土の塊は水で形が崩れてしまい、ひびから少しずつ流れ出す。しかしひびの隙間はごく狭いのでだんだん目詰まりをしだす。更に水にはもともと鉄分が多く含まれているので隙間に鉄分が堆積して、ついに鈴石のひびは完全に埋められてしまう。

 鈴石の中にあった粘土は水に溶けてひびから外に出ていくのもあれば、鈴石の内側で鉄分と一緒に堆積してしまうのもある。ひびが埋められてからも閉じこめられた中の水に鉄分がなくなるまで堆積が続き、最後には鈴石の中には水だけが残ってしまう。もしかしたら芯の粘土は沢山残っていて泥水になっているのかも知れない。こうやって水石が出来るのではないだろうか。

 そういえば、鈴石を買った出店*6のおばさんが鈴石が鳴らなくなったら天日でよく乾かすとまた鳴るようになると教えてくれた。これを聞いた時一体どういうことなのか判らなかったが、考えてみれば、中の土が湿ると鳴らなくなり、乾けば鳴り出すということなのである。大抵の鈴石には目に見えないひびがあって水分が出入りしているのであろう。



*1 石垣島(6) 鈴石
*2 自然科学のとびら9巻1号―生命の星・地球博物館
*3 豆盆栽
*4 suzuishi0101.jpg
*5 suzuishi01.jpg
*6 kiosk.jpg

031028

 西表島にも砲台跡*1があるらしい。要塞*2跡もあるという。

 四人で探しに行った。「八重山の戦争*3」という本に掲載されている地図を頼りに、砲台跡の近く*4まで辿り着いた。短い時間では、もうこれ以上探すことが出来ないので、辺りで野良仕事をしている人に聞いてみた。

 もう少し奥に入ったところに鉄塔があるからその隣に砲台の跡があると言うことであった。砲台は藪の中にあるから分かりにくいかも知れないと言われたが、筆者は何度も砲台跡を見ているので行けば大体判ると思いながら探しに行った。

 しばらく道を歩いていくと鉄塔が見えてきた。この鉄塔がそうに違いない。そしてその横には笹藪が生い茂っていた。隙間から見ると何となく地面が凹んでいるように見える。こんな様な砲台*5が藪の中に埋もれているような気がしてならない。「八重山の戦争」に掲載されている西表島の砲台跡の小さな写真もこんなような様子である。

 間違いない。目の前の藪の中に砲台跡があるのは間違いないのであるが、そこに入ることは出来なかった。ハブ*6が恐ろしくてとても藪の中には入れない。残念ではあったが、諦めた。今度行く時は長靴を用意するなどハブ対策をしっかりしなくてはならない。

 西表の要塞は船浮*7内離(うちばなり)島と外離(ふかばなり)島*8にある。今回は到底行く時間がなかったが、次の機会には何とかして行ってみたい。



*1 石垣島(1)
*2 要塞探訪
*3 八重山の戦争
*4 マピオン - 「沖縄県八重山郡竹富町字西表」付近地図
*5 遺構探訪 武山砲台(その1)
*6 ハブの館
*7 まちなみ:沖縄の風景と人と文化 まちなみ:西表島
*8 マピオン - 「」付近地図

031029

 三日目*1竹富島*2に行った。

 水牛が牽く車に乗って*3島内の観光*4をした後、戦争遺跡を探しに行った。

 ここでは筆者一人で探しに行った。他の三人は先日の西表島の砲台跡*5のようにまた徒労に終わることを嫌がって付いてきてくれなかった。

 竹富島の南の海岸*6に銃眼(じゅうがん)が残っていると「八重山の戦争*7」に書いてあった。

 銃眼*8とは城の壁などに見られる小さな穴で、そこから鉄砲や機関銃を出して敵を狙い撃つ*9ためのものである。こういった銃眼は太平洋戦争時には様々なところに設けられた*10ようだ。

 竹富島の銃眼は海岸沿いの岩に作られていた。上陸する米軍兵を迎え撃つために作ったらしい。

  貸し自転車で近くまで行き*11、自転車を止めてそこから海岸を南に暫く歩いていくと銃眼を見つけることが出来た*12。穴の裏側に行ってみたかったが、やはりハブ*13が怖いので止めた。



*1 石垣島(1)
*2 全国竹富島文化協会
*3 ushi.jpg
*4 水牛車観光(沖縄県>離島>小浜島・西表島・竹富島)の「見る」スポット情報/イサイズじゃらん全国観光スポットガイド
*5 石垣島(8) 西表島の砲台跡
*6 マピオン - 「沖縄県八重山郡竹富町字竹富」付近地図
*7 八重山の戦争
*8 岡山城本丸探訪 9. 月見櫓脇の銃眼石
*9 甦る鶴ヶ城 干飯櫓の復元
*10 Soldier's Guide to the Japanese Army HOME Soldier's Guide to the Japanese Army 50 タラワの弾薬庫の銃眼
*11 マピオン - 「沖縄県八重山郡竹富町字竹富」付近地図
*12 juugan.jpg
*13 ハブの館

031030

 石垣島で初めて「すくがらす*1」というのを食べた。「すく」というのはアイゴ*2、「からす」というのは塩辛という意味らしい。一般に豆腐の上に乗せて食べる。

 すこぶる美味かったのでお土産物屋で瓶詰めのすくがらす*3を買った。

 沖縄銘菓、乾燥梅干しのスッパイマン*4も買ってきた。沖縄限定販売の辛口スッパイマン*5である。

 砂肝ジャーキー*6も買ってきた。大きい袋の物*7を10個程度買ってしまった。

 すくがらすを食べてみると物凄く塩辛い。無茶苦茶辛い。少しずつしか食べられない。瓶の中には小さな魚がぎっしり詰まっているので、なかなかなくならない。それにひきかえスッパイマンと砂肝ジャーキーとは一瞬にして子供達に食べられてしまった。



*1 東海漬物ホームページ 第2回 南国の風に誘われて 〜「琉球の珍味」〜
*2 アイゴ
*3 【楽天市場】うちなーむん(沖縄県産品)shop:すくがらす
*4 乾燥梅干し
*5 ピリ辛一番(沖縄限定販売)
*6 砂肝ジャーキー
*7 砂肝ジャーキー唐辛子味・胡椒味 沖縄特産品・健康商品販売 *琉球しょっぷ*

031031

 「星の砂*1」のことを調べていた時にこんなページ*2を見つけた。フランス語で書いてある。竹富島*3の「星砂の浜*4」の星の砂が掲載されている。

 このページで「砂」をフランス語では「le sable」と言うことを知った。発音は「サーブル」である。

 この写真*5を眺めていてふと思ったのは、「サブレ*6」の語源はこの「le sable」ではないかということである。「sable」は「サブレ」と無理矢理読もうとすれば読める。

 サブレはフランス語で「un sablé」だから「砂 sable」と殆ど同じである。

 調べてみると菓子のサブレの語源は「砂」*7を意味するフランス語であるということが書いてある。フランス語で菓子のサブレは「sablé」だから、日本語の「サブレ」の語源は「砂 sable(サーブル)」ではなく「サブレ sablé(サブレ)」とするのが適切だろう。「サブレー」と伸ばすことがあるのは「sablé」の綴り字の最後の「e」に「'」が付いているから長音の記号と勘違いしたのかも知れない*8

 そしてサクサクとした食感がその由来*9であると多くのページで書かれている*10

 「砂のような食感」が由来というのは変な話である。そもそも砂を喜んで食べる人は滅多にいない。砂を口に入れれば、じゃりじゃりして気持ち悪くなる*11のが普通である。そんな変な感じが菓子の名前*12の由来というのは考えにくい。

 やはり筆者が写真*5を見て連想したように色や表面の様子が砂丘や砂浜に似ているのが由来ではないだろうか。それにフランス語の「sablé」には「砂をまいた」という意味があるので、やはり食感とは関係ないような気がする。



*1 石垣島(2) 星の砂
*2 Muséum histoire naturelle de Neuchâtel MHNN - Catalogue - La Grande Illusion
*3 石垣島(9) 竹富島の銃眼
*4 ちゅら海 八重山諸島
*5 Muséum histoire naturelle de Neuchâtel MHNN - Catalogue - La Grande Illusion livresable.jpg
*6 豊島屋:鳩サブレー,sun sun navi((株)豊島屋)
*7 マダムTOMATO:サブレ
*8 シトロエン
*9 生活eye.net サブレの語源
*10 Google 検索: サブレ 食感 砂 sable
*11 砂の女 - goo 映画
*12 DESOBRY s.a. Biscuit sablé



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