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0510雑記草


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051001

 先々月にパソコン用のモニタを買った。それまで使っていたモニタはケーブルを修理してから全く問題は発生していなかった*1が、買い換えた。パソコン屋を覗いたら一万円弱で売っていたので衝動的に買ってしまった。ただし中古品である。更にブラウン管式のモニタである。

 今まで17インチ型のブラウン管であったが、今度は19インチになった。表示面積が一回り大きくなった。以前から買い換えるにしても液晶ではなくブラウン管が欲しかった*2。ところがブラウン管式の新品を店頭で見ることは殆どできなくなっている。そういった状況で丁度いいモニタを見つけることができたのだった。ナナオ*3FlexScan T761*4という機種である。

 家でパソコンにつないでみると画面の右端の色がおかしい。変な色になっている。磁石を近づけた時のような色をしている。端の方なので使用には殆ど影響しないが、やはり気になる。地磁気の影響*5でこういったことが起こる場合がある。地磁気補正機能*6を使って調整してみたが、なかなか直らない。

 モニタの右側には筆立て*7が置いてある。その中には鉄製のはさみ*8が入っている。これを画面に近づけると色がずれてしまう。これの所為かと思い筆立ての位置を変えてみたが、大して良くならない。モニタの右側80cmぐらい離れたところにスピーカ*9が置いてある。このスピーカはかなり古い*10。今でも生産されているが、発売当時は映像機器と音響機器を組み合わせて使用することが一般的ではなかったため、スピーカをブラウン管のすぐそばに置くということを想定していなかった。スピーカは磁石の塊が入っているのでブラウン管に影響を及ぼす。最近のスピーカは防磁型*11といって磁力線が外に漏れないようになっている物が多い。スピーカをモニタから離すと色ずれが少なくなるが、完全にはなくならない。使用に差し支えのないちょっとしたモニタの色ずれでスピーカの配置を変えるのは嫌だ。色ずれは我慢することにした。

 二月後の現在、色ずれが殆どでなくなっている。筆立てやスピーカの配置は変わっていない。一体何が起こったのか。変わったのは部屋の温度ぐらいか。買ったのは真夏だったが、今はかなり涼しくなってきた。温度で何が変わるか。ブラウン管の内部の部品は金属でできているので、これが部屋の温度によって*12膨張して精密な寸法*13がずれてしまうのかも知れない。来年の夏にまた色がおかしくなったら、原因は室温である。



*1 モニタケーブル
*2 「教えて!コンピューター」 (モニター選び編)
*3 株式会社 ナナオ
*4 CRTモニター出荷完了製品のご案内 FlexScan T761
*5 ナナオ、コストパフォーマンスの高い19インチCRTディスプレイを発売
*6 TDK Techno Magazine|じしゃく忍法帳/第23回「方位磁石とナビゲーションシステム」の巻
*7 耳カップ earcup.jpg
*8 マイノリティ・リポートのはさみ
*9 電球とスピーカー
*10 Bose®: 101MM
*11 バスレフ型ミニタワースピーカー
*12 液晶Q&A CRT(ブラウン管)と比べてはっきりくっきり見えるのはなぜ?
*13 高精細AGピッチ

051002

 体温計*1は何故目盛りが35度から42度*2になっているのか。数多ある雑学のページには人体を構成する蛋白質は42度以上になると変質して生命を維持できなくなるから*3、と書いてある。最高温度はそれ以上になると死んでしまうという上限だが、35度の方はこれ以上低い平熱はないという42度と比較すると何とも生ぬるい理由である。

 体温が35度になっても直ぐ死ぬわけではない*4らしい。一方、高温の場合、人体は何とかして42度以下にしようと自発的な作用が働くので、42度以上になることは殆ど例がない*5らしい。

 体温計はもともと体温の絶対値を測ると言うよりも、平熱からの上昇度合いを測るのが目的だろう。日頃自分の平熱を把握*6しておき、体が不調な時に体温計で体温がどれだけ上昇したかを見る。体温計は、平熱よりもどれだけ上がったかという使い方であって、「平熱よりもどれだけ下がったか」という使い方はしない。従って35度以下の平熱の人は滅多にいないからそれ以下の目盛りは必要ない。高い方は、自発的には42度以上に体温が上昇しないからそれ以上必要ないことになる。

 42度以上になると死んでしまうというのならば、目盛りの上限を41.5度ぐらいにして緊迫度を表してもよさそうである。体温計の目盛りを読んだら「42度で既に死んでいた」では体温計の意味はない。死なないために体温計を使うのである。ということは人は42度で死ぬので目盛りがないのではなく、滅多に42度以上にならないからと考えた方がすっきりする。それにしても昔から*742度までしか目盛りがなかったのだろうか。



*1 体温計
*2 lt3.jpg
*3 体温計に42度までしか目盛りがないのはどうして?|熱の不思議|探検キッズ
*4 B-1-5.低体温症
*5 平成14年度健康指標プロジェクト講演会要旨
*6 テルモ ヘルスケア情報局[健康情報]−[基礎体温の知識]−[基礎体温とは?]
*7 テルモ ヘルスケア情報局[健康情報]−[体温計の歴史]−[初めての水銀体温計]

051003

 水銀式の体温計*1はなぜ上がりっぱなしになっているか。水銀溜の近くが極端に細くなって*2いて膨張した水銀が戻りにくくなっているようにしてあるらしい。それにしてもなぜ体温計には水銀なのか。アルコール温度計*3でもいいような気がする。

 アルコール類では駄目らしい。水銀は表面張力が強い。表面張力*4とは、液体を構成する分子が互いに強く引き合って表面を丸くしようとする力である。つまりで凸凹の表面にはなりたがらず、できるだけぬぺっとした表面になろうとする。水銀はこの力が非常に強いので管の太さが変化*5すると凸凹を嫌って途切れてしまう*6。アルコールや水は水銀よりも表面張力が弱いのでちょっとやそっとの凸凹には従ってしまう。またアルコールや水の分子に含まれる水素原子はガラスを構成する酸素原子*7強く引き合う*8ので、ガラス管の中に入っているとなかなか途切れない。

 体温を測定するために体温計を*9に入れて温度が上昇している時は、水銀が膨張して水銀溜まりからどんどん押し出されていくので管が極端に細くなっていたり曲がっていても*10途切れることはない。水銀と体温とが大体同じ温度になった頃、脇から体温計を取り出す。その瞬間から水銀の温度はどんどん冷えて室温に戻ろうとする。水銀が収縮するので押し出された管内の水銀は互いに引き合って水銀溜まりに戻ろうとするが、表面で引き合う力の方が強いので細く曲がった部分*11で水銀が途切れてしまう。途切れれば管に残った水銀はそれ以上動かなくなるのでその時の体温を指し示したままになる。

 最近は電子式の体温計が普及してきたので水銀式の体温計を殆ど見なくなった。水銀は有毒*12であるということと電子式体温計の値段が下がったということが理由になっているだろう。電子式は電池が必要だが、水銀式は割らなければ半永久的に使える。割れなければ有毒も何もないのだが、ガラス製品なのでどうしても割れる場合がある。そこで水銀を使わなければ毒性の心配はない。

 アルコール類ならばいいかもしれないが、上述したように水銀でないと体温計にならない。水銀でなくとも表面張力が水銀並みの液体で無毒な物質を使えばいい。

 水銀の代わりに無害なガリウム*13を使った体温計*14がある。ガリウムの融点は29.8℃*15なので体温ぐらいの温度で液体になっている。この融点の低さを利用している。ガリウムは体温では融けるが、室温では固まってしまう。そこでガリウムに人体に無害な他の元素を混ぜて固まる温度を室温以下*16にしているようだ。

 電池を使わず無害ならガリウム体温計*17が普及しても良さそうだが、今まで見たことも聞いたこともない。



*1 体温計(2)
*2 テルモ ヘルスケア情報局[健康情報]−[体温計の歴史]−[水銀体温計豆知識]
*3 TDK Science Museum:温度と温度計の科学史
*4 表面張力
*5 Stock photography picture of constriction in a clinical thermometer
*6 AOS 3 Lecture Screens
*7 ccse055.gif
*8 「自己組織化&自己集合」-ナノエレクトロニクス 表面張力による造形
*9 恐怖の報酬
*10 Clinical-thermometer.jpg
*11 ガラス製温度計の種類と使用方法・注意点 留点温度計
*12 1.水銀と環境
*13 ガリウム
*14 Non mercury Glass Basal Thermometer. Free Shipping :: Education by Design Store
*15 ガリウム - Wikipedia
*16 Galinstan: Information From Answers.com
*17 Allmed.net :: Catalog :: Diagnostics :: Thermometers :: Gerathermョ Non-Mercury Glass

051004

 庭になっているひょうたん*1を収穫する時期が近づいている。まだひょうたんの蔓や葉っぱがまだまだ青いので今すぐではないが、もうそろそろである。急いで収穫するとひょうたんが未熟のために皮の固いちゃんとしたひょうたんができないことになる。蔓や葉っぱが完全に枯れるまで待って収穫すれば確実である。

 収穫したらひょうたんを加工する*2。ひょうたんの中には種と実が詰まっているのでこれを取り出さなければ容器としてのひょうたんが完成しない。中身をどろどろに溶かしててっぺんに開けた小さな口から出す。中身を溶かすにはひょうたんを水に漬けて腐らせる。実は液状になるが種はそのままである。種は口から根気よく取り出す。

 ひょうたんを腐らせると物凄い匂い*3がする。どうしようもなく臭い。住宅密集地でひょうたんを腐らせれば苦情が殺到するのは明らかである。ひょうたんを収穫するまでにこの問題を解決しておかなければならない。

 解決するとは言ってもひょうたんを腐らせれば肥桶*4をひっくり返したぐらい臭いのだからどうしようもない。近所に予め「ひょうたんを腐らせるので覚悟してくれ」とはなかなか言えない。色々調べてみると臭いを出さずに中身をどろどろにする方法があることが判った。ある酵素を使うと臭いが全く出ないらしい。

 その酵素はヤクルト薬品工業で開発*5された。需要があまりないような薬品の開発によく着手したものである。おそらく会社役員にひょうたん栽培を趣味にしていた人がいたに違いない。サカタのタネが販売*6している。一箱50g入りで価格は2000円である。結構高い。



*1 ひょうたん(4)
*2 ひょうたん展覧会
*3 ひょうたん
*4 肥桶
*5 Iヤクルト薬品工業株式会社
*6 ひょうたんごっこ

051005

 「ひょうたんごっこ*1」を買った。これはひょうたんの中身をどろどろに溶かす酵素*2である。通常、ひょうたんを加工する場合、中身を腐らせることによってどろどろにして抜いてしまうが、この腐らせた中身の臭いが堪らなく臭い。ところがこの「ひょうたんごっこ」という酵素を使うと臭いが全く出さずに中身をどろどろに溶かすことができるらしい。

 この「ひょうたんごっこ」は特許商品がある。登録番号は「2761831」だ。早速どんな酵素が使われているのかを特許庁の特許電子図書館*3で調べた。

 「セルラーゼ*4」と「ヘミセルラーゼ*5」とを使うようだ。更に「ペクチナーゼ*6」を前者二つの酵素から作った液に加えるとその濃度がある程度低くても中身を溶かす効果が得られるらしい。何だかよく解らないが、とにかく臭いも出さずに食物組織を溶かしてしまうようだ。凄い発明である。発明したのは農業生物資源研究所*7の大槻義昭氏だった。ひょうたん栽培が趣味なのだろう。そうでなければこんな薬品の発明は思い付かない。

 素晴らしいのは発明の内容だけではない。ひょうたんごっこの箱の意匠*8がいい。ひょうたんの周りには何やら唐草模様*9のような模様がうっすらと描かれている。これはひょうたんのつる*10を描いているのである。こういう細かい心遣いが気に入った。



*1 ヤクルト薬品工業株式会社
*2 ひょうたん(6)
*3 特許電子図書館 - トップページ
*4 セルラーゼ - Wikipedia
*5 製パン用酵素/天野エンザイム(アマノエンザイム)
*6 てんさいを原料とするアルコール発酵化技術の開発
*7 独立行政法人農業生物資源研究所
*8 hyoutangokko.jpg
*9 karakusa.jpg
*10 hyoutan_turu.jpg

051006

 最近、近所で子供が遊ぶ姿というのを見る機会が少ないような気がする。筆者が幼少の頃の子供と現代の子供とでは生活様式が大きく違うというのもある。また筆者自身が大人になったので子供の活動時間とずれているからそう思えるだけかも知れない。人口統計で子供が減っているのは明白*1である。

 子供が減っている原因は色々あるが、一組の夫婦が作る子供の数も昔に比べて減ってきているのだろう。子供を何人作るかは、夫婦それぞれの事情がある。筆者の場合は、結婚当初は四人のつもりであったが、諸般*2の事情で三人になった。これ以上は作らない。息子一人の下に娘二人の構成である。

 三人以上儲ける夫婦は少なくなっているだろう。三人の子供を連れて歩く夫婦がいると珍しいと思って見てしまう。そしてその子供の構成に興味が沸く。

 「女女女」もしくは「男男男」だと、男の子もしくは女の子が欲しかったけど結局授からず、四人目まではとても無理だと断念したという経緯が見えてくる。「女女男」「男男女」だと、「やれやれ三人目でやっと」という感じである。

 「女男女」「女男男」「男女男」「男女女」という組み合わせは少ないと思われる。もともと一人か二人と考えている夫婦が多いので、子供が「女男」「男女」となればそれ以上は必要ない。従って「女男女」「女男男」「男女男」「男女女」は、とにかく子供が三人欲しい夫婦か予定外にできてしまった場合しかないので、この組み合わせは少数派になる。

 特に「女女女」の父親がひ弱な感じだと「あぁ、後継ぎで苦労なさったのだな」と勝手に思ってしまう。



*1 少子化情報ホームページ
*2 Fryderyk Chopin

051007

 夜遅くにバスに乗ろうとして停留所に行ったら、出たすぐ後だった。次のバスの時刻までには丁度一時間ある。次のバスは終バスである。時間を潰すためにすぐ近くの百貨店*1に入った。閉店時刻まで間がなかったが、何もせずぼうっとしているよりはましなので店内をうろつくことにした。

 書店*2の横に様々な万華鏡*3を置いている小さな店を見つけた。入ってみると店内の商品が全部万華鏡の様に思えた。店員に聞いてみると、万華鏡専門店だという。万華鏡の専門店というのは初めてだった。

 閉店間際の所為か客は筆者しかいない。店員は丁寧に次から次へと店内の様々な万華鏡について説明をしてくれた。「お客様は幸運です」と言われた。休日だったら店内がごった返して今日のようにゆっくり万華鏡を覗くことは不可能だという。

 店内に展示してあった万華鏡*4の殆どを見せて貰った。万華鏡は鏡を三枚三角形に組み合わせたもの*5が主流と思っていたが、鏡に組み合わせ方は様々な種類がある*6ようだ。様々な模様を作り出すガラスの欠片などを箱にそのまま入れるのではなく粘度の高い油の中に浸すことによって欠片をゆっくり動かすのもある。むしろこの形式の万華鏡が殆どだった。中にはしゃぼん玉の虹模様*7を利用したものもあった。

 気に入った万華鏡があった。覗いて見える画像も外観もいい。ただし値段は八万円もする。あとでインターネットで調べるために店員に作者名を聞いておいた。

 その作者が運営するサイト*8があった。気に入った万華鏡*9の写真もあった。油に浸した欠片を入れる箱の写真もあった。様々な色の光を反射させるもの*10と透過して色を出すものとが上手く組み合わせて幻想的な模様を作り出す。この文章を書いているうちにどんどん欲しくなってきた*11

 熱心に万華鏡を覗いていたら百貨店の閉店時刻を過ぎてしまった。いつの間にかエレベータやエスカレータが停止してしまって外に出られない。終バスの時刻が近づいている。近くにいた別の店員に警備係員を呼んでもらい、出口まで誘導して貰った。



*1 LACHIC ラシック
*2 旭屋倶楽部>>あなたの町の、旭屋書店>>名古屋ラシック店
*3 1分間の悦楽 万華鏡の世界
*4 日本万華鏡倶楽部
*5 簡単!万華鏡の作り方:おやこの時間
*6 万華鏡の歴史と種類:おやこの時間
*7 Yahoo!きっず - 夏休み特集2005
*8 Kaleidovisions
*9 Object Chambers
*10 日本コーバン株式会社:ホログラムフィルム
*11 物欲の整理

051008

 毎朝炊いたご飯*1仏壇に供える*2。備えたご飯を名古屋地方で「おぼくさま」という。この言い方はこの地方だけなのか、ある宗派*3の言い方かは判らない。漢字では「御佛供様」と書くらしい。夕食頃に仏壇から下げる。おぼくさまを下げるのは子供の仕事だ。

 一日中仏壇に供えてあったので「おぼくさま」の表面は乾燥して固くなっている。捨てるのは勿体ない。それに供え物を捨てるのは以ての外だ。そうはいっても固くなったご飯を食べるのは辛い。

 そこで考え出されたのは「おぼくさまを食べると頭が良くなる」である。これによって乾燥した供え物は子供の胃袋に収まる。何でもかんでも勿体ないとするのは窮屈になり易い。これは今も昔も同じだろう。だからこういった工夫が必要だが、現代は情報が氾濫しているので、そういったことを信じ込ませるのはなかなか難しい。

 ところが地球規模でこういった工夫がなされ出した。地球温暖化問題である。因果関係はよく判っていない*4が、何らかの活動をすると問題が解決する*5らしい。



*1 仏具のいろいろ
*2 純金 仏飯器(単品)
*3 五十六億七千万
*4 地球温暖化(5)
*5 環境問題と借金

051009

 カバ*1は英語で「hippopotamus*2」という。いや、hippopotamusを日本語で「カバ*3」といった方が正しい。最近、このことに気付いた。

 今までhippopotamusを「ヒッポポ タマス」と読むものだと思い込んでいた。「ヒッポポ」と「タマス」との間で切れると思っていたのである。ふとしたきっかけで正しい発音方法*4を聞いた。「ヒッポ ポタマス*5」だった。そうなると語源が気になる。hippopotamusはギリシャ語由来のラテン語であるらしい。語源はギリシャ語の「馬hippos + 河potamus」である。初めて知った。

 従ってhippopotamus(河の馬)を日本語に直訳して「河馬(カバ)」ということになる。明治期にできた言葉だろう。因みに明治時代の国語辞書である大槻文彦*6の「言海*7」に動物のカバは掲載されていない。



*1 Hippopotamus amphibius (hippopotamus)
*2 hippopotamus. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*3 かば 1 【河馬】 - goo 辞書
*4 02041364.wav
*5 H0213600.wav
*6 大槻文彦「言海」について
*7 [言海原稿] / [大槻文彦]

051010

 以前から「にかわ」が何なのかよく解らなかった。昔からある接着剤というのは聞いたことがあったが、実際に使ったことも「これがにかわだ」と説明されたこともない。語源は「煮皮(にかわ)」ということを小学生か中学生の頃に習った。国語の授業で「にかわ」という言葉が出てきて、動物の皮を煮詰めて作る昔の接着剤、と説明されたと思う。どういうわけか兎の白い毛皮を鍋で煮詰める様子を想像して、こんな物がどろどろの水飴のようになるのかと甚だ疑問に思っていた。

 膠(にかわ*1)とはゼラチン*2のことだった。ゼラチンなら好物だし見たこともある。膠には色々な種類*3があって、その中には兎の皮を原料とした膠もあった。「兎の白い毛皮」という思い込みは、おそらく授業でウサギ膠*4を例にして説明したからだろう。皮がそのまま膠になるのではなく、煮汁から抽出*5する。皮そのものがどろどろに変化して出来上がるのではなさそうだ。



*1 にかわとは
*2 ゼラチンミュージアム | ゼラチンの歴史
*3 膠(にかわ)
*4 ウサギ膠
*5 ゼラチンミュージアム | ゼラチンができるまで

051011

 ひょうたん*1を収穫した。結局、採れた数は九つだった。思ったよりも少なかった。

 臭いを出さずに中身を抜くために購入した「ひょたんごっこ*2」という薬品を早速使う。ひょうたんの中身はどろどろに腐らせて口から外に出す。このどろどろに融けたものが想像を絶するほど臭いらしい。住宅密集地では、ひょうたんの中身抜きはとてもできない作業である。薬品を使えば少々面倒だが臭いは全く出ないらしい。

 手順書*3通り、ひょうたんのへたの部分に孔を開ける。お湯に溶かした薬品がひょうたんの中でよく浸透するようにに孔から棒を突っ込んでひょうたんの内部をかき混ぜて空間を作る。棒を突っ込む作業で力を入れすぎてひょうたんの皮を突き破ってしまった。完全に熟成していれば皮は相当固くなっているので簡単には破れないのだが、破れたひょうたんは遅めに生ったために皮が薄かったのだろう。

 薬品を入れても肥溜めのような臭いは確かにしない。ただひょうたん独特の臭いはする。中身が抜ければ表皮の除去に移る。表皮は水に漬けておけば軟らかくなって簡単に剥けるらしい。



*1 ひょうたん(6)
*2 ひょうたん(7)
*3 ひょうたんごっこ

051012

 デジタルカメラを買った。ただ、物欲の筆頭となっているGR digital*1ではない。このカメラの発売は今月21日であるので、まだ手に入らない。

 二日後に去年と同様に気のおけない仲間達と石垣島に行く*2ので、これのために購入した。従来のカメラ*3を使えば間に合うはずである。今までそうしてきた。ところがズームが欲しくなってきたのである。GR1は28mmで単焦点*4なので、遠くの物を大きく写すために近寄るのには限界が出てくる。結局、望遠で写しても大抵はろくな写真が撮れないのだが、大きく撮りたい欲望をその瞬間抑えることになる。特に旅先ではよくそういう衝動に駆られるのだが、近寄ることができなければ我慢して小さく写真に収めることになる。

 そこでズーム付きのデジタルカメラを買うことにした。フィルム式の一眼レフ*5もズームレンズも家にあるが、大きくてかさばる。そこで小さくて携行性のいいカメラにした。

 リコーのGX8*6というズームレンズ付きのデジタルカメラを考えていたが、少し大きめであること4万円近いという値段とで候補から外れてしまった。乾電池が使える*7と言う条件で他を探したところキヤノンのPowerShot A520*8というズームレンズ付きカメラがあった。値段は2万円程度である。しかもレンズが広角側でF2.6と明るい。乾電池が使える条件で検索した数種類のカメラの内、このカメラの実写例映像*9が最も綺麗に見えた。これを買った。

 旅行では従来のカメラと今回買ったデジタルカメラとの両方を持っていくことにする。かさばるが、仕方がない。ここぞという場面はフィルム式のGR1*10で撮りたいのである。



*1 GR digital
*2 今年二回目の石垣島・西表島
*3 GR1v(2)
*4 GR1v
*5 ビッグミニ
*6 デジタルカメラ(6)
*7 デジタルカメラ(5)
*8 キヤノン:PowerShot A520/510
*9 キヤノン:PowerShot A520/510|実写サンプル
*10 Ricoh Camera Website GR1s

051013

 アンガールズ*1という漫才コンビ*2がいる。「Ungirls」という意味らしい。「不少女」「非少女」か。

 昔、「反処女エマニエル*3夫人」という小説か映画*4があったが、これを思い出した。内容は全く知らないが、この題名が何とも気になっていた憶えがある。「処女に対抗する」とは一体どういう意味なのか。いやらしさがない。得体の知れない言葉使いでむしろ幻滅してしまっていた。フランス語で「Emmanuelle*5 l'antivierge」と言ったらしい。antiviergeを訳せば反処女になる。

 アンガールズを見ると「フランツ・フェルディナンド*6」というロックグループを何故か思い出す。声や風貌が何となく似ている*7のだろうか。



*1 ワタナベエンターテインメント
*2 麒麟
*3 エマニエル
*4 Emmanuelle 2 (1975)
*5 Amazon.co.jp:DVD: エマニエル夫人(無修正版)EMMANUELLE
*6 Franz Ferdinand
*7 Franz Ferdinand: Official Site

051014

 今年も気の置けない仲間達と石垣島*1に向かった。今年は石垣島と沖縄本島に宿泊する。石垣島からは波照間島*2まで日帰りで足を伸ばす予定になっているが、台風が南大東島*3北大東島*4に停滞しているので天候の如何によっては西表島に変更するかも知れない。今回の目的も遺構探訪*5蝶捕り*6、シュノーケリングなどである。

 中部国際空港*7から飛行機で飛び立った。那覇空港で石垣島行きの飛行機に乗り換える。台風が来ているので、雲に特異な様子はないかと期待しながら窓から外を眺めていた。すると遙か遠くに変わった形の雲が出てきた。早速、購入したばかりのデジタルカメラ*8でその雲を写した。これがその雲の写真*9である。遠くに半球状の雲がぽっかりと浮いている。筆者が座っていた座席は石垣島に向かって右側だから、中国の方向にその雲はあった。台風は左側なので近ければ台風と何らかの関係がありそうだが、遠くに見えるので台風と直接関係はないだろう。近くの雲の大きさと比べるとかなり大きな雲である。一体どんな気象状態なのだろうか。見ているうちの件の雲は小さくなって見えなくなった。

 石垣島に近づくと雨が降っている様子だった。丁度、時間帯が真昼頃なので太陽が頭上にある。とすれば眼下に虹が見えるかも知れない。「虹を見下ろす」というのは滅多にないのでわくわくしながらカメラを構えていた。果たせるかな虹が見えた。その様子も何とか撮影できた*10。飛行機は着陸態勢に入って電子機器であるデジタルカメラの使用を止められていたので、フィルム式カメラのGR1v*11で撮影した。

 更に飛行機の高度が下がっていくと大気がかなり湿っているためなのか、いつも当たり前に起こっている現象なのか判らないが、翼から雲の筋が発生しだした*12カルマン渦*13のようなものも発生している。翼の上を流れる空気の圧力が急激に変化して空気の温度が低下*14して雲が発生しているのだろうか。そうならば翼全体で雲が発生してもいいはずだが、フラップ*15の端だけというのは不思議である。

 石垣空港に到着すると雨は上がっていた。滑走路を走行している時に去年は時間切れで辿り着くことができなかった掩体壕*16一瞬見えた*17掩体壕*18とは戦時中に作られた戦闘機を爆撃から守る防空壕である。

 台風が心配だが、まずまずの出だしである。



*1 今年二回目の石垣島・西表島
*2 美ら島物語 波照間島情報
*3 南大東島ホームページ
*4 古来の伝説 うふあがり島 北大東
*5 遺構探訪
*6 今年二回目の石垣島・西表島(7)
*7 中部国際空港の見学
*8 デジタルカメラ(8)
*9 IMG_0047.jpg
*10 0510140004.jpg
*11 GR1v(3)
*12 0510140007.jpg
*13 カルマン渦
*14 空気で湯を沸かす給湯器
*15 高揚力装置 - Wikipedia フラップ
*16 今年二回目の石垣島・西表島(10)
*17 0510140009.jpg
*18 小牧飛行場(その1)

051015

 石垣島*1に昼頃着いた。第一日目の午後は石垣島の観光である。レンタカーを借りて島内を回る。まず観音埼灯台*2に向かった。設置してある説明看板を読むとこの灯台*3は昭和二十八年に米軍によって建設されたと書かれていた。

 何故ここ*4に行ったか。ここには戦争遺跡*5があるからである。資料*6によれば銃眼*7の跡があるらしい。行けばすぐ判るような感じで書いてあったが、なかなか見つからなかった。それらしき物があったが、草で覆われてはっきりしない。確信できぬまま写真を撮ったのであった*8

 こういった遺跡を探していると何でもかんでも「戦争遺跡」に見えてしまう。これ*9は灯台の下の入り江にあったコンクリート製の構造物である。戦争関連なのか灯台関連なのかよく判らないが、取りあえず撮影してきた。柱が根元でおれたような感じなので何となく曰く因縁ありそうなのである。

 観音埼灯台の後は、唐人墓*10八重山民俗圓*11と一般的な名所巡りをした。民俗圓ではそこで働くおばさん*12飼っているハブ*13を見せてもらった。生きているハブを間近で見るのは初めてだった。ハブは菓子*14海苔*15の透明容器に入っていた。

 第一日目の最後は、仲間の一人が蝶捕り目的*16なので、山中の目当てとしている捕獲場所に行った。その辺りを自動車で走っていると突然白いパラボラアンテナ*17が現れた。国立天文台の施設*18だった。門が開いていたので勝手に入っていったら、事務所の中から職員の方が出てきた。見学させて欲しいと言うと快く了承して頂けて、更に事務所から施設の案内冊子を持ってきてそれを我々に配りながら施設の説明もしてくれた。嬉しくなってもっと詳しい説明を求める*19と、自分は天文台の専門職員ではないので詳しくは判らないと言う。この施設を一人で留守番しているらしい。こういったやり取りをしている内に、突如パラボラアンテナが大きく方向を変えだした。職員の方が我々のためにサービスで動かしてくれたと思って尋ねたら自動運転されているとのことだった。

 これで第一日目は終わった。二日目は皆で検討した結果、波照間島ではなく西表島へ行ってピナイサーラの滝*20まで山歩きすることになった。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島
*2 IMG_0054.jpg
*3 琉球観音埼灯台
*4 Yahoo!地図情報
*5 遺構探訪
*6 シリーズ八重山に立つNo.1八重山の戦
*7 石垣島(9) 竹富島の銃眼
*8 IMG_0055.jpg
*9 IMG_0053.jpg
*10 日本人が知らない石垣島に残る唐人墓
*11 石垣島の観光名所 八重山民俗園
*12 0510140016.jpg
*13 IMG_0065.jpg
*14 【 20円 紋次郎いか 】
*15 R14-13.jpg
*16 今年二回目の石垣島・西表島(8) 100_0064.jpg
*17 IMG_0076.jpg
*18 石垣島局(国立天文台)−観測局情報
*19 「干渉計」と「VLBI」
*20 ピナイサーラの滝 沖縄観光情報 Webサイト:真南風プラス (財)沖縄観光コンベンションビューロー

051016

 石垣島*1の二日目は西表島で山歩きをすることにした。河口から川上に向かって歩いて「ピナイサーラの滝*2」の滝口まで昇るのである。滝口まで昇ると言っても滝に沿って直接昇るのではなく、山道を歩いて行く。

 宿泊している宿からすぐ近くの離島桟橋と呼ばれる小さな港から八時出航の連絡船に乗って西表島に向かった。天気は曇。昼からは晴れる予報だった。西表島の港でレンタカーを借りて島に一本しかない舗装道路*3を走って船浦湾*4に着いた。船浦湾にはピナイサーラの滝があるヒナイ川が流れ込んでいる。このヒナイ川に沿って歩くのである。大体十時頃になっていた。湾の西側*5に自動車を止めてそこから歩き出した。小雨がぱらついてきた。

 干潮で湾内*6は十分歩けるようになっている。本土ではなかなか見ることのない自然に生えるマングローブの幼木*7を珍しがりながら河口までは砂浜を歩いていく*8。因みにマングローブとは汽水域*9に生育する木本植物*10の群落を指す。ジャングルとかタイガ*11といった言葉と同類なので「マングローブの幼木」という表現はおかしい。本来は「ヒルギ*12の幼木」である。

 ヒナイ川の河口に近づくと霧でけぶって見えなかった滝がはるか遠くに見えてきた*13。ここからマングローブの中に入っていく*14。この場合の「マングローブ」の使い方は間違っていない。地面はどす黒く泥と砂とが混ざったような状態*15だった。そこに足を踏み入れていく。色から想像する通り、どぶのような臭いがする。自然の中でもどぶは発生するようだ。ヒルギの根元にはキバウミニナ*16という殻高が10cm程度もある貝がうじゃうじゃいた*17。普通に見られるカワニナ*18は2、3cm程度なので、大きなこの貝は少し気色悪い。それに意外と速く動き回る*19。これがまた気色悪い。

 マングローブを抜けると湿原に出た。すると先頭を歩いていた仲間が奇声を発した。何が起こったのかと思い駆け寄ってみると「ハブがおる」と叫んだ。湿原の中に我々のような観光客によって作られた道の真ん中にハブがとぐろをまいて鎮座ましましていた*20。真っ昼間は活動しないと聞いていたので、かなり衝撃的だった。つまり以降の行程でもハブに出くわす可能性が大いにあるということになる。

 蛇をまたいで道を進む勇気はないので、暫くその場で蛇を見ていたら草むらの中に消えていった。沖縄の蛇は全部ハブと決めつけていたが、あの蛇は本当にハブなのだろうか。頭が三角形をしていること、図鑑に載っているサキシマハブ*21というハブにそっくりであることを勘案するとハブだったのだろう。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島(2)
*2 ピナイサーラの滝 観光&レジャーガイド - goo 沖縄
*3 沖縄 地図でみる 西表島地図
*4 No.497 船浦湾と流入河川
*5 マピオン - 「沖縄県八重山郡竹富町字上原」付近地図
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*9 汽水域 - Wikipedia
*10 苺と西瓜
*11 豊かな緑を取り戻そう
*12 ヒルギ
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*16 キバウミニナ
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*18 水生生物図鑑_カワニナ
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*21 4-2.八重山諸島のヘビの特徴

051017

 ハブ*1に注意しながら先に進んだ。湿原の次は雑木林*2である。地面はぬかって滑りやすい。案の定、仲間の一人が転んだ。

 暫く歩くと大きな川*3があった。ヒナイ川である。この川に沿って道がある。これに従って歩く。途中にサキシマスオウノキ*4があった。なぜこんな板状の根っこになるのだろう。何らかの理由があるはずだ。少し考えて解らなかったので、考えるのを止めた。滝に近づくと山道になってきた。結構急な道である。

 滝口には丁度昼頃に着いた。滝から船浦湾を望む*5真下を見るとこんな感じ*6である。落差が50m以上*7あるらしい。風が強いのと恐怖感とで立っていられないのでこのように腹這い*8になって滝壺を覗き込んだ。

 滝口にある岩は砂岩のような比較的軟らかそうだった。浦内川の滝*9と同じで甌穴(おうけつ)*10がいくつかあった。川底の凹みに石が入り、水の流れによってその石が回転し凹みを削り徐々に凹みを深くして垂直な穴を作る*11。これによってできた穴を甌穴という。岩を水の流れで削るのだから一朝一夕にできるわけではない。大きい甌穴*12何百年、何千年とかかるのだろう*13。とはいっても軟らかそうな岩ならすぐにできそうである。

 小さな甌穴を見つけた。穴の直径が10cmぐらい*14である。しかも底には3cm程度の丸い石*15まで残っていた。これ程小さな甌穴は初めてだ。しかも丸い石が入っている。甌穴はいつでもでき始める可能性があるので、小さいのがあっても何ら不思議ではない。岩の自然な浸食現象を連続写真で撮影することはあまりにも時間がかかりすぎて不可能だろうが、大小の甌穴を見ているとそれが実現できているような感じがして非常に面白い。それにしてもこんな持ち運ぶのに手頃な甌穴の丸石が残っているのは奇跡かも知れない。今までの観光客の道徳心がよっぽど優れていたのか、こんな石に誰も興味を持たなかったのかのどちらかだろう。

 あまり長居をしていると帰りが遅くなる。弁当を食べ、戻ることにした。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島(3)
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*7 ピナイサーラの滝 沖縄観光情報 Webサイト:真南風プラス (財)沖縄観光コンベンションビューロー
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*9 今年二回目の石垣島・西表島(6)
*10 甌穴
*11 〜川をめぐることば〜ポットホール
*12 ポットホール
*13 文化百選 五島編/ポットホール
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051018

 ピナイサーラの滝*1を後にして、同じ道を辿って出発点に向かった。帰り道はマーフィーの法則*2通りで行きよりも時間がかからない気がする。実際、下りであることと道が解っていることで歩く速度が速くなっている。少し気持ちに余裕が出てきたのか道端の小さな生き物などに気付くことができる。

 サキシママルハネクワガタらしきクワガタ*3オニヤンマの産卵*4などが見られた。期待していたセマルハコガメには出会うことができなかった*5。やはり天然記念物*6だけあってなかなか見ることができない。

 行きにハブと出会った湿原*7を抜けると船浦湾に出る。船浦湾は更に潮が引いていた*8。満潮の心配はなかった。浜にはミナミコメツキガニ*9大きなオカヤドカリ*10シオマネキ*11などがいた。

 ここで凄い発見をした。「鈴石*12」を大量に発見した。おそらくこの辺りの礫はすべて鈴石ではないかと思われる。鈴石とは、手にとって振ると中でころころと音が鳴る石*13のことである。石の中に空洞があってそこに砂の塊が入っている*14

 この写真*15のように鈴石らしき焦げ茶色をした石がごろごろしている。その中の石を二、三拾ってきた。これは割れて中身が抜けている状態*16で、これは詰まっている状態*17である。それぞれ10cm、5cm程度の大きさである。中身の状態は買った鈴石とよく似ている*18

 ただ、ここではちゃんと鳴る鈴石を見つけることができなかった。満潮になれば海水に浸かってしまうのでここの石はいつもも湿った状態である。鈴石の表面から水分が浸透して中が湿ると砂の塊がべたついて音が鳴らなくなると言う。これを解決するには天日に干すと良い、と鈴石の売店のおばさん*19に教えて貰った。つまりここの鈴石の中身は乾く間もないのでどれも鳴らないと思われる。

 帰りに日本最南端の温泉「西表島温泉*20」につかって、石垣島に戻った。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島(4)
*2 Murphy Laws Site - Murphy Laws
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*5 今年二回目の石垣島・西表島(10)
*6 Yahoo!きっず図鑑 - ずかんカード - 爬虫類 セマルハコガメ
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*12 鈴石と水石
*13 奇石博物館の収蔵品 鈴石(鳴石)、禹余粮(うよりょう)
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*18 鈴石と水石 suzuishi0102.jpg
*19 石垣島(6) 鈴石
*20 美ら島物語 西表島温泉

051019

 「石垣島・西表島・沖縄本島*1」の三日目*2は石垣島でシュノーケリング*3を楽しむことになっている。

 店で申込を済ませたあと、船に乗って*4最初に潜る場所に向かった。今回も海の中で写真が撮れるようにカメラをビニール袋*5の中に入れて持っていった。今までの石垣島ではこのビニール袋カメラは殆ど威力を発揮することができなかった*6。今回はどうだろう。中に入れていったカメラはフィルム式のカメラにした。持っていったデジタルカメラでは飛び出るレンズが邪魔をして上手くビニール袋*7に入れられなかった。

 説明員の方の話*8を聞いてから、潜った。珊瑚礁で戯れる魚たちが綺麗だ。去年はスキューバダイビング*9で潜ったが、潜ることが精一杯で魚をじっくり見られなかった。自然のままの熱帯魚が沢山いるので、嬉しくなってシャッターをバシャバシャ切った。暫くの間、ここで練習してから別の場所に移る。記念撮影*10をしてこの場を離れた。

 次の場所も珊瑚礁が綺麗で、色鮮やかな見たこともない生き物*11が沢山いた。ウミヘビ*12もいた。ウミヘビ*13を自然の状態で見るのは初めてだった。今回の旅行は蛇に縁がある。一日目二日目*14ともに蛇に出会った。

 海中観察を存分に楽しんだ。船で港に戻る途中、突然、店の主人が船を旋回させた。一体どうしたのかと思っていたら海面に何か袋のような物*15が浮いているのが見えた。どこかで見たことがある袋だと思っていたら、仲間の一人の所有物であった。強い風で船から吹き飛ばされたのである。憑いていないなぁ、と笑っていたら、彼に自分の財布を預けているのに気付いた。憑いていないのは自分もだった。鞄の中に入っていた彼の携帯電話やデジタルカメラ*16は全て動作不能になった。筆者は財布だけだったが、財布の中に入っていた紙製のカードや革製の財布そのものが海水でくにゃくにゃになってしまった。

 この後、本日中に沖縄本島に飛行機で移動することになっている。空港に行く途中、石垣島でもなかなか手に入らない「石垣島ラー油*17」を、製造販売元であるペンギン食堂*18へ買いに行った。食堂とは言っても屋号のみが残っているだけで、現在は食堂経営をしていない。石垣島旅行の度にこのラー油を探していたがなかなか見つけられなかった。二階にある事務所に入るととその見つけられなかったラー油が山積みになっている。製造販売元だから当たり前なのだが、おぉと感心してしまった。感心したからと言うわけではないが、各自二、三個購入した。仲間の話では、このラー油はすこぶる美味しいらしい。

 飛行機で沖縄本島に向かい石垣島を後にした。

 海中での写真撮影はどうだったか。現像をしてみるとどれも手ぶれかピンぼけ*19で上手く写っていなかった。水中撮影用のちゃんとした機材を揃えればもっと上手く撮れるのだろうが、魚などの撮影だけなら図鑑を買った方が安上がりである。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島
*2 石垣島・西表島・沖縄本島(5)
*3 石垣島ダイビング マリンショップtaitai
*4 0510160002.jpg
*5 カメラの防水ケース
*6 今年二回目の石垣島・西表島
*7 AQUAPAC 410/デジカメ用防水パック(小型) /輸入サーフギア専門店SurfGear.jp
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*9 今年二回目の石垣島・西表島(9)
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*13 石垣島・西表島・沖縄本島(2) IMG_0065.jpg
*14 石垣島・西表島・沖縄本島(3) IMG_0096.jpg
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*17 石垣島ラー油HP
*18 購入方法
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051020

 石垣島から沖縄本島に移動した*1。宿泊先に荷物を置いて夕飯を食べに出掛けた。向かった先は「花笠食堂*2」である。散々道に迷ったあげく辿り着いた。三年前にこの食堂で*3豚の足を煮込んだ「てびち定食*4」を食べて非常に美味しかったので、皆を連れて行ったのである。

 今回もてびち定食*5を頼んだ。仲間の内、二人は豚の足を気味悪がって別の物を食べた。久々に食べたてびちの味は変わっていなかった。   

 明日四日目は島内の観光である。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島(6)
*2 てびち
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051021

 「石垣島・西表島・沖縄本島*1」旅行の最終日は沖縄本島内観光である。レンタカーを借りて廻る。午前中はグスク*2巡りとなった。グスクとは「城」のような遺構*3であるが、その役割などははっきり解っていない*4らしい。グスク周辺は緑が多く、グスクの部分は丁度空が開けている。こういう場所は蝶が集まりやすいので蝶好きの仲間*5がこれらを廻ることを提案したのである。筆者を含めた他の三人は特に希望がなかったのでそれに従った。

 最初に知念村の「斎場御嶽*6」に向かった。ここは二年前の四月に一人で訪れたことがある。この時は家族旅行で沖縄に行ったのだが、斎場御嶽へは一人*7で訪れた。ここには砲台跡があるからだ。現地で地元の人に砲台とハブとについて尋ねたら、砲台跡は確かにあるハブはこの季節はまだ大丈夫だということだったので雑木林の中をどんどん入って砲台の撮影*8をしてきた。

 今回は偶然、蝶捕りの目的地と合致した。砲台跡があるところと蝶が集まるところとは雑木林の中で空が開けているので大抵一致しているのである。斎場御嶽は世界遺産に指定*9されているので砲台周辺は開発されずに二年前半の状態を保っていた。今回はハブが怖くて中には入れなかった*10

 次は知念城*11に行った。ここでは村の教育委員会による発掘作業*12が行われていた。こんなあからさまで立派な遺構*13なのに、なぜ今頃発掘をしているのだろうもっと昔に調査されても不思議ではない。そんな疑問を現場で指揮をしていた教育委員会の方に尋ねると「今までそこまでの経済的余裕*14がなかったのです」と言われた。

 ここの次は玉城*15たまぐすく*16)城跡、糸数*17いとかず*18)城址と廻った。糸数では本州などでは見られないアフリカマイマイ*19足を入れたら全長10cm以上はあるオオジョロウグモ*20が見られた。

 午前中はグスク三昧*21で、午後は鍾乳洞*22に行った。ここにはハブ博物公園*23もある。今回の旅行は蛇尽くしだ。毎日蛇を見た*24ことになる。ついでに初めてセマルハコガメ*25を見ることができた。天然の状態でないと自分にとって意味はないが、まぁ、取りあえず初めて見ることができた。



*1 石垣島・西表島・沖縄本島(7)
*2 [ グスク及び関連遺産群 ]
*3 遺構探訪
*4 [ グスク及び関連遺産群 ]
*5 今年二回目の石垣島・西表島(8) 100_0064.jpg
*6 国指定史跡 斎場御嶽
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*9 美ら島物語 世界遺産特集 斎場御嶽
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*13 知念城跡見取り図
*14 ようこそ沖縄担当部局のホームページへ
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*18 玉城村ホームページ/歴史・文化/グスクロード・糸数城跡
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*21 玉城村ホームページ/歴史・文化/グスクロード
*22 沖縄の歴史・文化・自然を体験できるテーマパーク「おきなわワールド-文化王国・玉泉洞」
*23 沖縄の毒蛇ハブのことなら!ハブ博物公園
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051022

 GR digital*1の発売が昨日から開始された。GR digitalとは*2愛用*3リコーのカメラGR1*4のデジタル版である。理想に近いデジタルカメラだが、値段が少し高い。現時点で7万2千円程度はする。

 よく考えてみると筆者にとってデジタルカメラは本当に必要なのだろうか。先週デジタルカメラ*5を買った。旅先*6では大活躍だった。撮影した直後に映像をある程度確認できるのが便利である。それにその場で簡単に消去ができるので気兼ねなくシャッタを切ることができる。フィルム式カメラではフィルムが勿体ないと思えてしまう。大して高い物ではないのでどんどんシャッタを切ればいいと思うが、そうするためにはフィルムも沢山携行しなければならない。デジタルカメラならば五百円玉程度の大きさしかないメモリカード*7でいい。

 フィルムで撮影した後にスキャナ*8で映像を電子化しているので、デジタルカメラならば最初から電子化されている。この点も楽でいい。こう考えていくとむしろフィルム式のカメラの方が要らないような気がしてくる。

 ところが電子データしかないのとフィルムとして残すのとを比較すると何となくフィルムに残しておきたいと思ってしまう。印画紙に焼き付けてしまえば電子データもフィルムも要らないといえば要らない。筆者はスライド用*9フィルム*10での撮影が殆どなので、フィルムそのものが映像記録の主体となっている。だから電子データよりもフィルムと考えているのだろう。とはいっても電子データでそれ用の映写機*11を使えば大写しはできる。

 電子データは突然読めなくなる場合がある*12。これが怖いからだろうか。フィルムは火事などにあわなければ数十年程度は大丈夫である。かびが生えることがあるが保管方法さえきちんとしていれば問題ない。たとえかびが生えても映像は見られる。

 デジタルカメラの購入、GR digitalの発売を機会に方針を転換するかもしれない。



*1 製品情報 / GR DIGITAL | Ricoh Japan
*2 GR DIGITAL
*3 GR1s
*4 製品情報 / GR DIGITAL | Ricoh Japan GRについて
*5 デジタルカメラ(8)
*6 石垣島・西表島・沖縄本島
*7 IT用語辞典 e-Words : メモリカードとは 【memory card】 ─ 意味・解説
*8 スキャナを買った
*9 映写スクリーン
*10 FUJIFILM:Professional Products Guide-リバーサルフィルム (中感度)
*11 プロジェクターガイド
*12 CD-Rの信頼性

051023

 「そうはいかの金玉」という地口*1というか駄洒落がある。「そうはいかない」と「いかの金玉」が掛けてある。共通なのは「いか」の二文字だから、掛けことばとしてはすれすれである。それにしても「いかの金玉」とは一体何なのか。

 いかの金玉が何を指しているのかが解らないのではない。いかの金玉はイカの内臓か器官*2だろう。web上を検索してみるとカラストンビ*3が入っているイカの口*4の周りが球状になっているので、それを金玉と表現したのだ、と書いているページが多い。この器官は「口球*5」と呼ばれるらしい。足の付け根に付いている丸い物だから「金玉*6」と言っても違和感はない。

 そのいかの金玉が何故「そうはいかない」で出てくるのか。他の地口を考えてみると「その手は桑名の焼き蛤*7」「恐れ入谷の鬼子母神*8」「どんどんよくなる法華の太鼓*9」とかかる言葉に因む代表的な物事が続いている。そうなるとこの駄洒落が成立した時にはイカと言えば金玉だったのか。江戸時代の川柳に「金玉も入れなと女房烏賊を買い」というのがあるらしい。出典がはっきりしないので本当にあるのかどうか判らない。本当だとすると江戸時代でも魚屋でイカは開かれて売られていたのか、わざわざ「金玉をくれ」と言うぐらいだから珍重され、現代と同じでうなぎの肝*10たらこ*11のように一まとめにして売られていたのだろう。

 「いかの金玉→美味い」と「そんなに巧くはいかない」とを掛け合わせて地口ができあがったと考えられる。となると「そうはいかの金玉」ではなく「そうは巧くいかの金玉」が本来の形になるはずだ。

 しかし何かしっくり来ない。「そうはいかの金玉」は否定語なのである。いかの金玉が不味い物の代表であればこの考え方ですんなり納得できる。ところがイカの口は不味くはない*12

 「そうはいかぬ」の「いかぬ」に終助詞の「の」が付いて「いかぬの」になり、語調を整えるため「ぬの」の部分を「の」だけに短縮して更に四文字の言葉を付け加えて七文字にする。イカに関わる四文字言葉なら何でもいいのだが「きんたま」が当時の感覚に一番合っていたのだろう。「いかのしょうべん」でもいいし「いかのふんどし」でもよかったのではないか。それにしても一体この地口はいつ頃どういう由来でできたのだろうか。



*1 ナセル
*2 イカの開き
*3 顎板の各部位名称と特徴
*4 イカの体
*5 テーマ イカの解剖
*6 重力を感じる
*7 桑名市物産振興協会/桑名の特産品
*8 入谷散歩道
*9 法華の太鼓
*10 厳選したうなぎの肝 きも煮 鰻の佃煮セット
*11 たらこ
*12 矢野っち・魚ちゃんのおまけコーナー 好き嫌いキング・魚ちゃんの不思議な好み!? 11月25日放送 #608「イカ」

051024

 ひょうたんの中身抜き*が大体できた。まだ少しは残っているかも知れないが、中を何度も洗えば全部抜けるだろう。種はまだ中に入っている。これも根気よく取り出すことにする。中身が大体抜けたので、次は表皮取りである。水に一週間ほど漬けておけば皮が軟らかくなって、プラスチックの定規などで擦れば上手く剥けると本に書いてあった。

 水の中に付けておけば残っている中身も十分どろどろになって完全に仕上げることができるだろう。

 結局、この段階で残ったひょうたんは六つになった。残りは皮が薄くしかも未熟成だったので壊れてしまった。やはり実をつける時期が遅かったのである。来年はもっと早めに種を蒔かなければならない*



*1 ひょうたん(8)
*2 ひょうたん

051025

 テニス*1のネットの真ん中は、何故地面から引っ張っているのか。これは硬式テニスだけの話で、日本で考案された軟式のテニス*2では引っ張らない*3

 ネットの端の高さ*4は1.07m、ネットの真ん中の高さは0.914mにする。軟式のテニスではネットの高さは1.07mで水平に張ることになっている。何とも中途半端な数値だが、これはテニス発祥の地ヨーロッパでの当時の度量衡制度をそのまま受け継いでいるので仕方がない。1.07mは3フィート6インチ、0.914mは3フィートである。3や6も半端なような気がするが、1ヤードは3フィート、1フィートは12インチ*5なので「1.07mは1ヤードと0.5フィート」「0.914mは1ヤード」だからそれほど半端とは言えない。

 それでは何故わざわざ真ん中を低くしているのだろう。これはテニスの変遷に関係があるらしい。現代のテニスは「ローン(芝生の)テニス(Lawn Tennis*6)」と呼ばれ、1870年代*7、それまで室内競技*8として楽しまれていた「テニス(Real Tennis*9)」から考案*10された。

「テニス」のネットを見ると中央が垂れ下がっている*11古いテニスの絵*12でも垂れ下がっている。これ*13これ*14もそうだ。真っ直ぐ水平にするつもりは全くない*15ように見える。中には真っ直ぐにしているような絵*16もある。

 「ローンテニス」の考案者はこのネットの垂れ下がり状態を踏襲したのだろう。当初は真ん中を地面に引っ張るという事はしないで、「テニス*17」と同じように高さを規定していただけだったかも知れない。

 ネットの弛みはネットの重さと両端で引っ張る力*18とで決まる。そこでどんなネットでも一律に垂れ下がり方を規定できるように紐で地面から引っ張る*19と言う方法を思い付いたのだろう。

 ネットの真ん中を押し下げる必然性があるのか疑問であったが、これで何となく納得できた。



*1 テニスの得点(2)
*2 (財)日本ソフトテニス連盟〜JAPAN SOFT TENNIS ASSOCIATION〜
*3 ソフトテニスハンドブック
*4 SportsClick : テニス
*5 計量単位
*6 Wimbledon - The Official Web Site of The All England Lawn Tennis Club
*7 Wimbledon - The Official Web Site of The All England Lawn Tennis Club History
*8 ITF Tennis - Technical - History
*9 Real Tennis History
*10 Major Walter Clopton Wingfield, 1997 Enshrinee: International Tennis Hall of Fame
*11 Service and Chases
*12 paume2.jpg
*13 La Web del Tenis: Historia del Tenis
*14 gr_jeudepaumestrasbourg1680.jpg
*15 le-jeune_miroir_368.gif
*16 jeu_de_paume_court-lg.jpg
*17 Real Tennis Game
*18 カテナリー曲線
*19 wimbledon

051026

 マニ車*1と呼ばれる物がある。マニ輪とも呼ばれる。チベット仏教*2で使われる仏具で、円筒形をしていてその円筒の表面には経文が書かれている*3中にも経文が入っている*4らしい。経文が複写されたマイクロフィルム*5が入っているのもあるようだ。その円筒は手でくるくる回わすことができる。

 マニ車の大きさは、手に持てる小型の物*6から人間の背丈以上の大きなもの*7まで様々である。マニ車は日本にも導入されている。愛知県にある野外民族博物館「リトルワールド*8」のネパール寺院*9にもある。知多半島にある源義朝を祀った野間大坊*10にも大きなマニ車が設置*11してある。野間大坊の方は古くからあるわけではない。数十年前にはマニ車などなかった。

 マニ車を回すと書いてある経文を読んだことになるらしい。一回回せば経文を一回読んだことになる。非常に便利でありがたい道具なのである。どんな宗教でも現世や来世で利益を得るためには多少なりとも自分の犠牲を払わなければならないのが普通だろう。念仏を唱えるとか礼拝に行くとか自分の人生の一部を信仰に捧げなければならない。マニ車は回すだけで経文を読んだことになるが、回すという行為が犠牲なのである。

 ところが更に犠牲を最小限に抑える工夫がなされ便利になっているのを雑誌*12で知った。水力で回るマニ車*13もあるらしい。マニ車の下に水車*14が付いていて水の勢いでマニ車が回転するようになっている。川の流れがある限り回り続ける*15。他に走馬燈のように蝋燭や電球の熱で回る*16もの、風力で動くもの*17電気モータで動くもの*18、その電源を太陽電池で賄う*19ものもある。

 デジタルマニ車*20もある。このようにモニタ画面上でマニ車が回っている*21。またパソコンの中で高速回転しているハードディスクに経文を保存しておけば、マニ車を回すのと同じ効果があると考えることができるようだ。

 ハードディスク上の電子化された経文のデータは経文と言えるのだろうか。ハードディスク上の猥褻文書や画像が猥褻物と言えるかどうかの議論*22に似ている。本来の画像に復元できる状態であれば*23、データはそれその物と言えるかも知れない。ただ、ハードディスク上にある有体物は経文ではなく磁性体であり、経文の画像としてもしくは文字としての情報が磁性体の物性の変化を信号として置き換えて記録*24されているだけである。

 マニ車を回すという行為は、経文を回すことを読経の代わりにするという便利な考え方である。読経とは、経文に含まれる情報を信仰対象に対して自ら発することだろう。経文自体を回すことを読経の代わりとしたのだから、経文を自分の手で回したり、水力などで回していても自分が回しているつもりになることが読経となる。従って有体物である経文自体を回すことに意味がある。

 こう考えるとハードディスク上の情報は単なる信号の羅列なので、それがいくら高速回転していても経文を回していることにならないのではないか。つまり経文をハードディスクに記録しておくだけではマニ車効果が得られない。どうすればよいか。やはりモニタ画面上にでマニ車を回転させなければならないだろう。こうすれば経文を回しているつもりになれる。水力などの他力マニ車と同じである。この「つもり」が重要で、端から見てもその「つもり」が解る程度にしておかないと信仰になりにくい。そしてモニタに映し出されているマニ車*25をクリックすると経文が表示される。これこそが真のデジタルマニ車だろう。



*1 くらしの中の信仰/マニ車
*2 チベット仏教の歴史
*3 58 マニ車 [中国(チベット自治区)]
*4 中日新聞ホームページへようこそ 愛知万博ネパール館展示の仏具 『マニ車』が新湊へ
*5 Tantricheartwheels
*6 チベット密教-法具-大法輪美術品
*7 KUBOTA GLOBAL INDEX/INFRASTRUCTURE/ブータン王国・電化プロジェクト-3
*8 野外民族博物館 リトルワールド
*9 野外民族博物館 リトルワールド【ニュース】 <予約制(当日予約可)>ネパール仏教寺院竣工20周年記念 「ネパール祭」
*10 野間大坊(のまだいぼう)
*11 野間大坊〈中編〉
*12 「SKYWARD」のご紹介 -2005年10月号-
*13 Prayer Wheel just past Sanasa, Nepal (prayer_wheel)
*14 A water driven buddhist prayer wheel.
*15 p0004999 - Nepal - Annapurna - Shields Around the World
*16 Advice on the Benefits of Prayer Wheels, A Tibetan Buddhist Spiritual Technology
*17 Storia della Spedizione scientifica italiana nel Himàlaia, Caracorùm e Turchestàn Cinese(1913-1914) / 201 ページ
*18 Prayer Wheels: Tibetan Spiritual Technology
*19 Lotus Energy SOLAR PRAYER WHEEL
*20 Digital Prayer Wheels
*21 Digital Prayer Wheels Praying with electrons you already have around the house
*22 Q2利用のインターネットわいせつ画像公開を摘発
*23 Okayama FL Mask Case : Okayama District Court : Judgement
*24 Electric Appliance and Physics Engineering
*25 Prayer Wheels for Web Pages

051027

 飛行機から見える虹と言えば雲の中に出る虹*1がよく知られている。ただし筆者は見たことがない。雲の上を飛行している時、雲に自分の乗っている飛行機の影が映るとその周りに丸い虹が出る*2らしい。

 これは「ブロッケンの妖怪*3」と同じ現象である。ブロッケンの妖怪とは山頂などで濃い霧に自分の影が映った時にその影に周りに丸くぼやっとした虹が見える現象*4を言う。ドイツのブロッケン山*5でよく見られたのでこういう名前が付いたらしい。日本語では御来迎(ごらいごう)*6などという。霧も雲も見る位置の違いによって呼び名が違っているだけで全く同じものである。従ってブロッケンの妖怪と飛行機の虹とは同じ現象である。

 普通の虹*7とブロッケンの妖怪の虹とはでき方が本質的に違う。普通の虹は空中に浮かぶ水滴の中で太陽の光が反射と屈折する事によって現れる*8。太陽光には七色の元となる様々な光が混ざり合っている。色によって屈折のし方が少しづつ違うので色が分かれて虹ができる。ブロッケンの方は屈折ではない*9光の散乱*10による。光の散乱とは光が色々な方向に曲げられる現象をいう。空気中に浮かぶ水滴が光の波長*11と同じぐらいの大きさだと、光は水滴の中に入り込まず水滴自体によって散乱される。散乱のされ方は光の波長で異なってくる*12。そのため色が分かれて見える。

 虹でもブロッケンでも色の環がその場所にあるわけではない。観測者から見るとそこに環があるように見えるだけである。従って飛行機の周りの虹は、地上からは飛行機の影が見えることはあっても周りの虹は見えないし、普通の虹でも虹の向こうからは見ることはできない。



*1 雲の中の虹 kumoniji01.jpg
*2 The City DSC01878.jpg
*3 Brocken Spectre as seen from Valle del Bove (Valley of the oxen) on Mount Etna, Sicily, September 11. 2003
*4 なぜなぜ科学しんぶん 1996年9月/なぜなぜ科学しんぶん195号
*5 ブロッケン山 - Wikipedia
*6 ブロッケンげんしょう ―げんしやう 6 【―現象】 - goo 辞書
*7 虹(2) niji05.jpg
*8 虹の成因のシミュレーションと過剰虹について
*9 ブロッケン現象の原理
*10 空の赤
*11 光電子分光の為の予備知識 光は波?
*12 ブロッケン現象の原理 角度依存性の例を図示

051028

 今年の七月下旬に生の牛肉を買ってきて調理して食べた。牛肉の包装容器には「個体識別番号*1」が貼ってあった。個体識別番号*2は国内での狂牛病*3の蔓延を防ぐために購入した牛肉の出所を管理するためのものである。インターネットを使えば、どこのどんな牛の肉だったかがその番号で判るようになっている。滅多に牛肉を食べることがないので個体識別番号に気付いたのはこの時が初めてであった。因みに牛肉を滅多に食べないのは狂牛病騒ぎがあったからではない。経済的な理由により高級な食材を食する機会は昔から少ない。

 その番号は「1180550729」である。この番号を検索ページ*4に入力すると肉の素性が判る。

 平成十四年十二月二十八日生まれの雄牛(去勢)だった。岐阜県大垣市出身。 屠殺されたのは今年の六月三十日。二年半の命だった。こうやって書くと生々しい。全ての食材にはこういった履歴があるのだが、記録がなかったり、天然物ならばいつどこで生まれたのか誰も知らないだけである。

 それにしてもこの個体識別番号の保存期間はどれだけなのだろう。殺されてから四ヶ月経過しているが、まだ掲載されている。缶詰めなど加工品*5の賞味期限は三年程度だからこれくらいは保存されるのだろう。

 牛と牛肉とが同一であることが確認できるよう、屠殺時に採取された肉片が保存されている*6らしい。DNA鑑定によって精肉とそれに付けられていた個体識別番号の牛とが同じであるかどうか確認できる*7ようになっている。こうすれば肉と牛とをすり替えても調べようと思えば調べられる。そして一定の割合で小売店の精肉と牛との照合を行うので、すり替えられた牛の肉の流出もある程度防ぐことができる仕組みになっている。

 肉片の保存も三年ぐらいだろうか。



*1 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法による個体識別情報の公表
*2 牛個体識別台帳について
*3 厚生労働省:「牛海綿状脳症(BSE)関係」ホームページ(Q&Aなど)
*4 家畜個体識別システム 情報提供
*5 川商フーズ 株式会社
*6 鑑定用サンプルの採取紹介ページ
*7 鑑定用サンプルの採取紹介ページ (問1)DNA鑑定はどのように行うのですか、また、結果は何に使われるのですか?

051029

 人類には右利き左利きがある。右利きが圧倒的に多い。九割ぐらいが右利き*1らしい。文化や文明の発達によって右利きが圧倒的に多くなったのだろうか。元々右利き左利きが大体半々だったのが、ちょっとした偏りで右利きが多くなり、そんな時にたまたま文明や社会が発達して人類は「右利き社会」になったのだろう。手や足、目など左右に機能の違いがないから「利き」の差だけである。動きを制御しているのは脳だ。脳の処理の仕方は、「人類皆、右が優先」という宇宙の法則*2でもない限り、最初から決まっているとは考えにくい。右利き社会の中で右利きが作られていく*3のだろう。

 右利きで世間の仕組みが作られているので、右利きの方が有利な場合が多い。 利き手は本人の問題なので、矯正するかしないかは本人が納得する方に決めればいい。ただし箸の持ち手だけは子供の内に矯正した方がいい。食事には作法がある*4ので右手が使えるのであれば右で箸を持った方がいい。いつも人が見てないところで食事をするのであればどっちでも良い。

 利き手が右に大きく偏っている動物は人類ぐらいだ。人類並みの複雑な社会や文明を持つ生物は地球上にはいないだろうから「利き」は発生しないに違いない。ところが魚には「利き」の偏りがある*5らしい。とは言っても世代によって発生するようだ。長い期間で見れば右利き左利きは半々になる。やはり右利きは人類だけだろう。



*1 なぜ右利きが多いの? - ののちゃんのDO科学
*2 宇宙の法則 - goo 映画
*3 左利き
*4 和式作法 : 宴会料理食事作法
*5 魚の右利き左利き

051030

 動物に「利き」があるだろうか。人類には利き手や利き足がある*1。大抵は右利きである。左右どちらの手でも足でも機能の差はないから「利き」は構造上の制約ではなく、それらを動かす脳の都合によるものだろう。そうなると最初から「利き」が決まっているのは考えにくい。社会が右利きにできているので、皆大抵は右利きになるのだろう。人間のような複雑に高度化した社会を持っているとは思えない動物に「利きの偏り」はあるのだろうか。

 人類以外の動物の代表であるカメはどうか。我が家ではカメである*2。カメに利き足に偏りがあるとは思えない。カメは右利きが多いとは思えない。カメが前足を使う時は歩く時、泳ぐ時、何かにつかまる時そして捕食する時である。動きとして一番複雑だと思われるのは捕食する時であるが、この時も利き足があるように見えない。捕食は主に口を使うのだが、獲物が大きい場合、獲物を口にくわえながら両前足を使って左右に引き裂く。カメは構造上、頭の付近では前足の裏が外に向いてしまうので、両前足で獲物をつかんで口に持ってくることはできない。この時、優先的に使う前足があるように見えない。

 何か足以外にカメの「利き」はないか。尻尾がある。イシガメ、クサガメ、ミドリガメなど固い甲羅を持つカメは甲羅に体を引っ込めることができる。足と頭はそのまま収納するが尻尾だけは甲羅の中には収納しない。甲羅に沿って折り曲げるだけである。この折り曲げる方向に「利き」があるのだろうか。家の亀を調べてみた。

 全くなさそうだ*3。それぞれが勝手気ままの方向に折り曲げているように見える。それではいつも同じ方向に折り曲げるのだろうか。どっちにも曲げる用意はある*4ようだ。「利き」は、やはり人類だけか。



*1 右利きの人類
*2 イシガメ(4)
*3 tail.jpg
*4 tail2.jpg

051031

 亀の尻尾*1には「利き」がない。ないと思う。亀は甲羅に手足を引っ込める。尻尾は引っ込めることができず甲羅に沿って曲げるだけである。曲げる方向は決まらない*2と思われる。

 頭はどうしているか。二通りある。頭のしまい方で亀は大きく二つに分けられる。潜頸(せんけい)亜目と曲頸(きょくけい)亜目*3とである。前者は頭を甲羅の中に引き込み、後者は尻尾と同じように甲羅に沿って折り曲げる。日本には潜頸亜目*4しかいない。

 曲頸亜目*5は、骨格*6が頭を甲羅に沿って折り曲げるようにできているようだ。この頸の曲げ方*7に「利き」はあるのだろうか。

 身近にいないので写真*8を見て考えるしかない。何となくだが、尻尾と同じで決まっていないような気がする。ただ、それぞれ一生曲げる方向が決まっている*9ような感じがする。そうすると生まれた時*10から曲げる方向*11が決まっていることになるから「利き」があるような気がするが、人類の右利きのように大きな偏りが発生する理由はなさそうである。



*1 カメの利き
*2 tail.jpg
*3 『曲頸亜目』と『潜頸亜目』
*4 カメ - Wikipedia 潜頸亜目
*5 カメ - Wikipedia 曲頸亜目
*6 DAGIAN No.43 NOVEMBER 2002/特集 亀
*7 MORE ABOUT OUR PET GREEN TURTLE
*8 Longicollis
*9 eastern_long-necked_turtle_large.jpg
*10 Reptárium - fotogalerie - Pelomedusa subrufa
*11 Pelomedusa Gallery



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