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0701雑記草


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070101

  今年の年賀状*1こうなった*2。 今年も家族の近況を知らせる写真を並べる形にした。いつもは正方形にした写真をぎっしり並べていたが、今回は写真の角を丸くして少し、それぞれの写真に隙間を入れて並べてみた。そして恒例の宇宙人*3も忍ばせておいた。今年もこれには気付いて貰えないだろう。



*1 年賀状(6)
*2 2007nenga.jpg
*3 2006uchujin.gif

070102

  おみくじ*1の大吉小吉の序列はどうなっているのか。かなり昔に「小吉」と「吉」とでは「小吉」の方が縁起がいい、というのを聞いたことがあるような気がする。元々、筆者には占いを何かの参考にするという習慣がないのでどうでもいいことであるが、こういった話は雑学的な知識として自分の頭の中を整理しておきたい。それにそもそも占いは庶民から発生したのではなく、昔は集団や国家の運営などに関わってきた行事*2なので、本来は高度な知識であるはずだ。理路整然としているに違いない。おみくじにも論理的な原理原則がありそうだ。漢字で書くと「御御籤*3」だから、名前自体はあまり論理的でない。

 占いは庶民に下るに従って誤解や勘違い*4による変な解釈*5や方法が出てくるだろう。おみくじの場合は、神社が運営している。大抵の神社は伊勢神宮*6を頂点とした組織に属している*7ので、教義などの論理性は整っているはずである。おみくじも同様だろう。

 どうも神社によって違う*8らしい。「大吉、吉、中吉、小吉、末吉*9」という所もあれば、「大吉、中吉、小吉、吉、半吉、末吉、末小吉*10」と言うところもある。「小吉」と「吉」とが逆転しているので、気にする人にとっては大問題だ。

 庶民が勝手に解釈をして「吉の方がいい」とか「小吉の方だ」と言っているのならまだしも、大本がばらばらでは情けない。そうではなく神社としては「おみくじの序列など瑣末な事。神道*11とは無関係」としているのかもしれない。それはそれで神社としての風格があっていいかもしれないが、そうならばくじを有料販売している点が論理性に欠けている。



*1 Yahoo!占い - おみくじ
*2 銀座の学校/とーく&トーク/第27回
*3 御神籤(おみくじ) - 語源由来辞典
*4 ケーキと饅頭
*5 惑星でなくなった冥王星
*6 社格
*7 神社本庁
*8 おみくじ…その勘違いが運を逃します - [暮らしの歳時記]All About
*9 錦山天満宮 <おみくじ>
*10 湘南のお稲荷さん鵠沼伏見稲荷神社
*11 『神社と神道』神社オンラインネットワーク連盟

070103

 Wikipedia*1をリンク先として記事を書くことはなくなったが、記事を書く段階でWikipediaを閲覧することはよくある。リンク先として設定しなくなった理由は、閲覧頻度の少ない項目は誤謬を犯している可能性が高い*2からである。Wikipediaは項目の内容を不特定多数の人々が自由に編集できる*3。一旦間違った記述がなされても誰かが修正するので内容の正確性がどんどん高まると考えられている。

 ところが殆ど顧みられない項目は編集者が偏り、間違った内容がそのままになる可能性が非常に高くなる。百科事典の特徴*4の一つは「広く浅く」である。何かを調べるようとして何から手を付けていいのか判らない時に、百科事典を調べるとある程度のことが理解できる。もっと深く理解したければ、その項目の内容を基に文献などを探せばよい。誰もが知りたい事柄というのは、百科事典でなくても調べられる。滅多に知りたいと思われないような事柄は、百科事典しか頼るものがない。殆ど関心がないと言うことは編集者も少ないと言うことになり、Wikipediaの項目内容の正確性も低くなる。

 最近、もう一つ気になることが出てきた。解説文の中に「思われる*5」という表現をよく目にする。客観的に説明すべきなのに「思われる」は戴けない。編集者が明確になっていれば、その人の主張であるからそう受けとめればいい。しかしWikipediaでは不特定多数の内の誰かの「思われる」である。こんな内容に対して責任のない人の感想など情報として全く価値がない。

 Wikipediaの公式方針として「検証可能な内容だけを掲載する*6」とある。編集者の思いは検証可能ではない。不特定多数が関わると規則は簡単に破られてしまうのである。Wikipediaが真の百科事典になるのはかなり難しい。



*1 紙マルク
*2 ウィキペディア(2)
*3 Wikipedia:基本方針とガイドライン - Wikipedia
*4 相互参照
*5 wikipedia "思われる。" - Google 検索
*6 Wikipedia:検証可能性 - Wikipedia

070104

 書留を受け取ると時々、封筒に「丸印に片仮名のツ*1」という記号の判子が押してあったりその記号が印刷された紙切れが貼られていたりする。昔からどういう意味があるのか気になっていた。

 インターネットで調べてみると不在通知という意味であることが判った。書留*2は受取人に直接手渡しをする。留守で渡せない時は一旦持ち帰る。この時、持ち帰ったことを示すために印を付けるらしい。「マルツ」もしくは「マルツー」と呼ばれているようだ。

 「不在通知」であれば「通知」よりも「不在」の方が重要な単語だろう。従って「マルツ」ではなく「マルフ*3」の方が判りやすいような気がする。とは言え、郵便局側の符丁なので判りやすいも何もないのだが、どうも腑に落ちない。もしかしたら記号として「マルフ」が既にあったので「マルツ」になったのか。

 なぜ漢字で「○通」にならなかったか。日本通運*4になってしまうからか。書きやすさを優先させて片仮名にしたのだろう。



*1 marutu.jpg
*2 Japan Post International Mail | 書留
*3 めじろ、ロシヤ、野蛮国(2)
*4 日本通運

070105

 「生々乳」の読み方が何となく判ってきた。「なまなまにゅう」と読みたくなるが、おそらく「せいせいにゅう」だろう。「生乳」ならば「なまちち」か。「生々*1」で次々と物が生ずる様、生長し育つ様、となる。「生々乳」ならば、意味は「育ち盛りの乳房*2」ぐらいか。

 全く違う。毒薬*3の名称である。明治時代の毒物劇物の取り扱いを記した法律*4に出てくる薬品の名前だ。五年ほど前に毒薬の昔の呼び名について記事にした*5ことがある。この時は「生々乳」の読み方も、どんな物質かも判らなかった。

 熟語の読みは音訓を揃えるという大原則*6からすれば、「なまなまにゅう」ではなく「せいせいにゅう」に決まっている。「生々」という熟語を知らなかったため読み方が判らなくなっていたのだ。

 ではどんな物質なのか。「天然の二硫化砒素(鶏冠石*7雄黄*8)を含んだ鉱物の昇華物」という記述*9を見つけた。砒素*10が入っているのでとにかく毒なのだろう。

 それにしても次々と乳が出てくる毒とは一体どんな毒なのか。毒の色が白か肌色をしているのか。服用すると乳をほとばしらせながら死に至るのか。鍾乳石*11と混同して薬害がしばしば発生していたというので、鍾乳石*12に似た形で産出するから「乳」なのか。



*1 せいせい 0 【生生】 - goo 辞書
*2 乳房雲
*3 毒薬等の適正な保管管理等の徹底について
*4 本文|近代デジタルライブラリー 官民必携諸罰則提要
*5 毒物劇物
*6 気付
*7 「鶏冠石の毒性」(医薬品情報21)
  *8 薬膳情報.net−中薬(雄黄)
*9 “中国医学”を知る
*10 ○○の素
*11 龍河洞
*12 鍾乳石の種類

070106

  ようやくと言うかついにマグライトの発光ダイオード版*1が出た。マグライト*2とはアメリカ製の懐中電灯である。発光ダイオード版は店頭で販売されているのを見つけて知った。

 数年前は、製造元とは別の業者が改造キットを販売されたり個人で改造されていた*3。製造元から発光ダイオード版が発売された現在でも多くの種類の改造キットが販売されている*4ようだ。

 家には何本かマグライトがある。一番大きいのは五年前に買った*2単一電池を三つ直列にして使う型*5である。これの電球を交換してそのまま発光ダイオード式にする部品*6が製造元から販売されている。これを使えば家にあるマグライトが発光ダイオード版になる。

 ただし値段がすこぶる高い。五千円もする。発光ダイオードだけなら数十円程度だろう。白色の発光ダイオードはもう少し高くなるかも知れない*7交換用の通常の電球*8は八百円程度である。これもかなり高いが、発光ダイオードの方は五千円なのでもっと高い。

 電球の代わりとなる白色の発光ダイオードは3V以上ないと光らない*9。乾電池は電圧が1.5Vなので三つ以上ないと上手く光らせない。それに電池を使っているとだんだん電圧が下がってくる*10ので、電池に余力が残っていても電圧が足りなくなり発光ダイオードが光らなくなってしまう。これでは電池が切れるまで光る通常の電球よりも使い勝手が悪い。そこで大抵は電池の電圧を上げる回路*11を使って光らせる工夫をしている。専用の小さな電子回路も市販されている*12五千円もする発光ダイオード替え球*6はこういった回路が内蔵されているのだろう。

 そうなると信頼性はどうか。複雑になれば壊れる可能性も高くなる。発光ダイオード式のナツメ球は立て続けに切れた*13。結局は懐中電灯の場合、予備に通常の電球を用意しておかなければならないだろう。マグライトには必ず予備球が装備されている。電池の蓋の中に予備球が入れられている。発光ダイオード版のマグライトの予備球は通常の電球*14になっている。



*1 MAG-LITE LED
*2 懐中電灯
*3 キーホルダ
*4 スタパ齋藤の「週刊スタパトロニクスmobile」マグライトを白色LED化するパーツを使ってみた
*5 3D Cell
*6 MAG-LITE ONLINE SHOP LED Upgrade Module
*7 マグライトソリテールをLEDに改造
*8 MAG-LITE ONLINE SHOP MAG-NUM STAR for 3 D&C
*9 高輝度LEDの特性と駆動方法
*10 デジタルカメラの“基本のホ” デジタルカメラに最適の電池はどれだ! ASCII Digital Buyer - ImageView
*11 LEDを電池1本で光らせるコンバータ
*12 LED Booster(LED用昇圧基板:1.0-3.5V)
*13 節電ナツメ球(8)
*14 MAG-LITE ONLINE SHOP MAG-LITE LED 3 Cell D

070107

 ロボットミュージアム*1に行って来た。ロボットミュージアムとはロボットの博物館である。去年の十月に開館したらしい。日本で初めてのロボット博物館のようだ。この博物館は土産物売り場と展示品会場とが大体同じ広さになっている。

 展示会場にはロボットの歴史の説明*2があった。日本の初めてのロボットと言えば、よく引き合いに出されるのは江戸時代のぜんまい仕掛けのからくり人形*3だろう。これらの展示はあった。

 日本の近代的なロボットの起源は何か。學天則*4だろう。學天則*5の存在は学生時代に荒俣宏*6の帝都物語を読んで知った。このロボットは西村真琴*7という人が作った。この人は俳優の西村晃*8の父親でもある。見落としたのかも知れないが、これの展示が見当たらなかった。これで少し拍子抜けしてしまった。



*1 ロボットミュージアム in 名古屋
*2 ROBOTHINK
*3 名古屋市科学館 展示ガイド
*4 西村真琴
*5 ロボットの歴史と人造人間「学天則」の誕生
*6 三瓶
*7 Japan-China Friendship Association of Toyonaka「豊中日中だより」No.10続
*8 西村晃

070108

 破裏拳ポリマーというテレビジョン漫画*1がある。かなり昔にテレビジョン放映されていた*2。この漫画に車錠(くるま じょう)、事務所の大家の南波テル(なんばてる)という脇役が出てくる。

 車錠*3は探偵で、「二代目シャーロック・ホームズ*4」と自称していた。南波テル*3は車錠の探偵事務所の大家で、三年間滞納している家賃の請求に来ては事務所の電話番を頼まれる。大家と言っても妙齢の美女で、時々お色気を披露してくれる。

 これら車錠と南波テルとの名前の由来を最近知った。車錠は二代目シャーロックだから「車(シャ)+錠(lock)」、南波テルは電話番だから「南波(number) テル(tel)」らしい。これは、この漫画の脚本を担当した小山高生*5氏がそう書いている*6ので間違いない。こういうよく考えられて気の利いた設定*7というのは本当に面白い。



*1 破裏拳ポリマー(2)
*2 破裏拳ポリマー
*3 作品データベース
*4 ワグネリアン
*5 ぶらざあのっぽ - 小山 高生
*6 ぶらざあのっぽ - のっぽのお宝 Otakara-No.16 「竜の子アニメ 番組宣伝用絵ハガキ第2弾!」
*7 Goody Two Shoes

070109

 学生時代、よくKate Bush*1の歌を聴いていた。きっかけはピーター・バラカン*2が司会をしていた「ポッパーズMTV」というテレビジョン番組で、彼女の歌の販売促進用のビデオ映像が紹介されていた。これを一目見て居ても立ってもいられなくなり、CDを手に入れようとあちこちの店を見て回った。

 ビデオの歌は「Cloudbusting」という題名だった。映像では、丘の上で博士が機械を操作して雲を晴らすというような内容だった。CloudbustingはKate Bushの造語ではないかとピーター・バラカンは解説していた。確かに辞書には載っていない。「雲消去*3」といった意味か。

 調べてみるとweb上にかって観たビデオ映像を見つけた*4改めてビデオ映像*5を観てみると「博士」役の人に見覚えがある。「針の眼*6」「普通の人々*7」のドナルド・サザーランド*8だった。ビデオの解説を読むと登場する博士は実在の人物を基にしているらしい。Wilhelm Reich*9という似非科学信奉者で、Cloudbusterと呼ばれる装置*10を作っているようだ。



*1 Kate Bush - Aerial
*2 岡部まり
*3 念力で消える雲
*4 YouTube - Broadcast Yourself.
*5 YouTube - Cloudbusting
*6 解説・あらすじ - 針の眼(1981)
*7 解説・あらすじ - 普通の人々(1980)
*8 Donald Sutherland (I)
*9 The Wilhelm Reich Museum - Welcome
*10 The Wilhelm Reich Museum - Resources

070110

 「vista*1」という言葉がある。かなり昔から聞いたことのある言葉だ。近鉄には「ビスタカー*2」と言う特急列車がかなり昔からあった。名古屋から大阪に行く行く時はいつもこのビスタカー*3に乗っていった。「AltaVista*4」とか「ビスタサイズ*5」というのもある。最近は「ブエナビスタ*6」とか「Windows Vista*7」というのもよく聞く。

 「vista」はどういう意味なのか。語源は「視界」「景色」を表すイタリア語*8だった。英語では見通し、町並み*9といった意味になる。

 ということは「Windows Vista」は「窓からの眺め」というような意味になるのか。



*1 vista. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*2 10000系 ビスタカー1世|近鉄企業情報
*3 10100系 ビスタカー2世|近鉄企業情報
*4 AltaVista
*5 レターボックスとビスタサイズ
*6 ブエナ ビスタ movies.co.jp
*7 Microsoft Windows Vista ホーム
*8 Online Etymology Dictionary
*9 vis・ta - goo 辞書

070111

 「ストーンヒーラー*1」という物があるらしい。木のようなものでできた皿の上に猫の毛皮のらしき物が載せてある。写真でしか見たことがない。見た目はそんな感じだ。英語で書くと「stone healer」なのだろう。「石を治す人」である。宝石などに宿っている古い記憶を無くす道具らしい。猫の毛皮の様な物の上に宝石を置いておくと記憶が消されてしまうようだ。

 中古の宝石などには、前の所有者の思い入れなどが残っていて気持ちがよくない。これを消すのが「ストーンヒーラー」らしい。宝石に思い入れが残ると考えるのも、それが猫の毛皮で無くなると考えるのも、どちらも自然科学的な現象ではなく精神世界の話だからそれはそれで辻褄があっている。

 ところがそれを説明するのにまたしても「波動*2」とか「情報*3」だとか、何となく科学的な雰囲気を醸し出そうとしている。科学的な雰囲気を出すと売れる*4と考えられて、一部の大衆もそれにつられてしまう。情けないの一言に尽きる。

 更にこれをオーディオスピーカーの下に置いておくと音が良くなるというのである。オーディオ関連にはよくこういった荒唐無稽と思われる迷信が出てくる。音を扱うので官能の世界だから仕方がないが、多すぎるような気もする。オーディオは、音になって耳に届く*5前は電子工学の世界なので、まじないが効くはずがないが、時としてそういった類の物がよく売れたり官能的に評価されたりする*6ことがある。ストーンヒーラーは電気信号が空気の振動になってからの話なので官能の世界に近づいている。その効果*7は完全に否定できない。

 それにしても猫の毛皮の切れ端でスピーカーからの音が良くなるというのは酷すぎる。本人が満足すればいい話なのだが、どうも釈然としない。こういうのを信じる人が少数派ならばいいが、殆どの人がこんな調子だと非常に危険である。一方、試していないのに否定する態度もいけないだろう。しかしあまりにも意味がなさ過ぎて試す価値もないという時もある。



*1 ストーンヒーラー - Google 検索
*2 波動方程式と一般解
*3 情報処理とは
*4 組織水と洗濯
*5 宇宙の音
*6 デジタルケーブル
*7 プラシーボ(偽薬)効果はなぜ起こるのか――専門家が究明に動く

070112

 愛知県には杁中(いりなか)*1二ツ杁(ふたついり)*2杁ヶ池(いりがいけ)公園*3と「杁(いり)」の字の入った駅がある。「杁」入りの地名だともっと沢山ある*4。住所をよく見ると尾張地方*5ばかりだ。「杁」の字が入る地名は尾張地方しかないということを最近知った。

 江戸時代の初期に尾張藩内で作られた字らしい。「日本の漢字*6」という本に書いてあった。同じ意味を表す「圦(いり)」という字は和製漢字*7として一般的のようだ。水を通すために堤に設けた樋や水門*8を表す。土でできた堤に水が入っていく、という意味で作られた。これの類推で「木偏に入る」でも同じ様な意味のになったのだろう。よく似た字で「木偏に八」という漢字がある。これはれっきとした漢字で、音読みは「ハツ」「ハチ」で訓読みは「えぶり*9」である。土をならしたりする農具*10を意味する。意味も成り立ちも「杁」とは全く異なる。

 尾張地方では「杁」が一般的な字で「圦」の地名はない。「圦」入りの地名は三河地方ばかり*11である。



*1 いりなか駅
*2 二ツ杁 | 名古屋鉄道
*3 Linimo 駅
*4 site:www.mapion.co.jp 杁 愛知県 - Google 検索
*5 針が付く地名
*6 岩波新書 日本の漢字
*7 訓読み
*8 二本杁にほんいり
*9 南部地方えんぶり:青森県南部町
*10 総合検索ページ|カテゴリー検索 えぶり
*11 site:www.mapion.co.jp 圦 愛知県 - Google 検索

070113

 幽霊漢字*1に「*2」という字がある。「*3」は、過去の文献中に一切出てこない漢字なのにパソコンでは登録されている。用例が見つからないので読みや意味は全く判らない。しかし現在、この字はどんな漢字が基になってできあがった*4かが判っている。「山」と「女」とを縦に重ねた字が基になっているらしい。この字は和製漢字*5で「あけび」と読むようだ。地名としての用例が残っていて滋賀県多賀町大字河内山女原*6という地名がある。「あけんばら」と読むらしい。これらは「日本の漢字*7」という本に書いてあった。

 「山女」と二文字で書いても「あけび」を意味するらしい。山姫*8とも書く。これらの由来は割れたアケビの実*9女性性器の外見*10に似ているからに違いない。



*1 幽霊漢字
*2 国土行政区画総覧典拠のJIS漢字
*3 06094.gif
*4 This is Moji Kyou Kenkyuu Kai
*5 尾張の字
*6 防災対策基礎情報
*7 岩波新書 日本の漢字
*8 へちまの語源
*9 筑波山の四季
*10 Understanding Thrush, Cystitis & Women's Genital Symptoms

070114

 肛門やその付近に生じる病気を「痔」と漢字で書く。現代では読み仮名は「*1」だが、歴史的仮名遣いによる*2ならば「*3」である。「ち」に濁点の方は血を連想させるので痛々しい。

 「寺」は歴史的仮名遣い*4でも音読みは「じ」だが、旁に「寺」を含むにも拘わらず「痔」は「ぢ」になる。漢字の成り立ちは、やまいだれに音を表す「寺」が組み合わされたのだから痔は「じ」でも良さそうである。やはり「血」の連想が効いているのだろうか。

 「痔」という漢字の由来として、寺からの連想で墓に入るまで治らないとかあまりの辛さに寺に駆け込むという俗解がある。中国語に肛門の病気を表す「じ」という言葉が元々あったのか漢字が先にできたのかよく解らない。前者であれば「寺」は単純に音を表しているだけだ。後者ならばやみくもに旁字を持ってくるはずはないので、「寺」の意味が関わったことになる。そうなると俗説もまんざら間違ってはいない。元来、「寺」は「もつ」「とどまる」という意味があるらしい。痔は尻の穴*5に「何かある」という感じを表しているのかも知れない。



*1 歴史的仮名遣い対照表(イ〜ワ)
*2 本文|近代デジタルライブラリー 字音仮名遣の栞
*3 痔でお苦しみのお方様のために
*4 本文|近代デジタルライブラリー 教育上より見たる明治の漢字
*5 +++肛門.JP+++肛門疾患の知識

070115

 旧友に送った年賀状*1が転居先不明で戻ってきた。連絡を取る方法はあるのだろうか。興信所や探偵社に頼んで調べてもらう*2しか方法はないのだろうか。



*1 年賀状(7)
*2 登録事項等証明書

070116

 「三重の戦争遺跡*1」という本を近くの本屋に注文しに行った。案の定、本が入荷するまで数週間は掛かると言われる。出版社には至急であれば二、三日で届くはずだと言われたと言うと、一度確認してから入荷日を明日連絡すると言われた。

 明くる日直ぐに連絡が入った。今週中に入荷すると言うことだった。本屋に本を注文するのは何十年ぶりだろうか。小学生の頃はよく本の注文をした。近所に本屋がなかったので雑貨屋で注文をしていた。漫画の単行本ばかりである。この時、本が届くまでどのくらい掛かったのだろう。やはり数週間は掛かっていた様な気がする。一、二週間してから店に出向いて本が届いたかどうか聞きに行く。これを何度か繰り返してようやく手に入った。

 そのうち大きな本屋*2に行けば大抵の本が手に入るようになったので、件の雑貨屋で注文することはなくなった。



*1 三重の戦争遺跡
*2 郊外型書店

070117

 何とも変な芸術画像を見つけた。ある男性の勃起した陰茎に別の人物が唇を付けている様子を横から撮った画像である。そしてその陰茎の下にある陰嚢には手が添えられている。ただし、唇を寄せている人物が女性なのか男性なのかは、その画像からは判別が付かない。どうしてか。

 その画像はX線写真*1だからである。唇を寄せている人物の頭蓋骨や頸骨の様子は良く分かる。歯の詰め物は金属製なので一番はっきりと写っている。陰嚢に添えられている手の骨も見える。しかしその本人の性別は判らない。

 X線写真*2なので、骨のない陰茎や陰嚢は殆ど透過した外観しか写っていない。陰茎をよく見ると亀頭*3部分で皮膚が弛んでいるので、完全に勃起した状態ではないかもしれない。

 これを撮影するのにカメラではなく、おそらく医療用のX線撮影装置*4を使っているはずである。そんな装置の前では思うように勃たないのかも知れない。この「芸術」画像を作成するためにモデルとなった二人はX線に被曝*5していることになる。制作者の指示で何度も撮影したかも知れない。病気でもないのに身体に悪影響があると判っているX線*6をあびるのだから、決死の芸術行為である。しかも制作者本人ではなくその協力者の健康が害されるのである。見方によっては非常に問題のある芸術画像だろう。もしかしたらモデルの一人は制作者本人かも知れない。

 この画像の制作者*7の他の作品を見ると「透視」が作品全体の主題になっているようだ。何かの装置の透視図*8枠だけでできた機械*9X線写真で作ったステンドグラス*10など。

 ここで思い出されるのは、レオナルド・ダ・ビンチが描いた人の交合断面図*11である。とにかくいつの時代も人の考えることはそれ程変わらないと言うことか。



*1 Kiss 2
*2 エックス線
*3 亀頭
*4 放射線科の部屋・一般撮影室 −青森労災病院−
*5 テラヘルツ光
*6 X線検査におけるQ&A
*7 Wim Delvoye
*8 Untitled (Cloaca Bullet)
*9 Caterpillar - NY - Chantier (Madison Square Park)
*10 Urania
*11 レオナルド・ダ・ビンチの断面図

070118

 「ペンローズの三角形*1」と名付けられた図形がある。エッシャー*2の絵に登場する図形としても知られている。

 この図形は平面では描画が可能であるが、実際に立体模型にしようとすると不可能*3である。考えてみると立体物を平面で描こうとすること自体に無理があるので、ある約束事に基づいて表現されているだけであろう。おそらく洞窟の中で壁画を描いていた太古の昔*4には、こういった立体を平面で表す技法はなかったのではないか。人間が立体物の様子を平面画で伝えるためにあみ出した技法なので、無茶といえば無茶な約束事である。だから時々矛盾*5が出てくる。そのうち*6の一つがこのペンローズの三角形*7ということだろう。

 「ペンローズの三角形*8」という言葉の響きから、これは中世ヨーロッパの修道僧*9が考えた図形だと勝手に思っていた。エッシャー*10はこの図形を基にしてあの「*11」という絵を描いたと想像していたのだ。

 違っていた。ペンローズは現代の人*12で、数学者*13らしい。ただ、この図形の最初はペンローズではないようだ。Oscar Reutersvardと言う芸術家がペンローズの三角形の二十年以上前に切手の図柄として発表*14していた。



*1 不可能な物体Xにかんする事情 Penrose.gif
*2 M. C. Escher
*3 不可能物体の研究
*4 Prehistoric Sites and Decorated Caves of the Ve´ze`re Valley - UNESCO World Heritage Centre
*5 Ambihelical Hexnut -- from Wolfram MathWorld
*6 Impossible Figure -- from Wolfram MathWorld
*7 立体感の錯視
*8 Penrose Triangle -- from Wolfram MathWorld
*9 monk-at-workwl.jpg
*10 エッシャー(3)
*11 Escher: Waterfall
*12 Participants in the IMA Public Lecture: Does Mathematics Rule the World? by Professor Sir Roger Penrose, October 5, 2004
*13 Oxford Mathematics Professor to Give 2003 UK Blazer Lecture
*14 Art of Reutersvard

070119

 「ペンローズの三角形*1」の最初は、Roger Penrose*2でも中世の修道僧*3でもなく、Oscar Reutersvard*4という人だった。Penroseはこの図形を1954年に発表*5しているが、Oscar Reutersvard*6は1934年である。

 それではエッシャーはいつペンローズの三角形を絵に取り入れたのだろう。Oscar Reutersvardよりも先なのか。Penroseよりも後なのか、先なのか。このページ*7によるとPenroseよりも後らしい。ここ*8でもそう書いてある。

 「物見の塔*9」は1958年、「上りと下り*10」は1960年、そして「*11」は1961年に発表されている。確かにこれらはPenroseの発表の1954年よりも後である。

 ところが1953年に発表された「相対性*12」という作品にペンローズの三角形のような物が登場する。三角形を形づくる階段*13がそうだ、と一瞬思ったがそうではなかった。重力の関係が無茶苦茶になっているので現実にはない風景だが、構造物自体には何ら矛盾ない。エッシャーはPenroseの後だった。



*1 ペンローズの三角形
*2 Penrose's Philosophical Error
*3 monk-at-workwl.jpg
*4 Art of Reutersvard
*5 Penrose Triangle -- from Wolfram MathWorld
*6 Impossible world: Oscar Reutersvard: Page 1
*7 :::Impossible Objects:History
*8 立体感の錯視
*9 Escher: Belvedere
*10 Escher: Ascending and Descending
*11 Escher: Waterfall
*12 Escher: Relativity
*13 escher_relativity.jpg

070120

 「三重の戦争遺跡*1」が手に入った。A4版の本だった。白黒だが、写真や解説図が豊富で、非常に見応えのある本である。

 この本に三重県内のコンクリート製の掩体壕*2について書いてあった。この掩体壕は2003年には文化財に登録されたらしい。掩体壕は飛行機用の防空壕のようなもの*3で、飛行機格納庫*4を薄っぺらいカマボコ状にしたような形である。爆撃に絶えられるように分厚いコンクリート製でできている。筆者にとってこの掩体壕とコンクリート製の砲台*5とが戦争遺跡の代表的な物件である。

 三年前、石垣島飛行場の近くに残っていると言われている掩体壕を探しに行ったことがある*6。この時は時間切れで、草むらの中にあるはずの掩体壕を目の前にしながら辿り着くことができなかった。そして次の年、再度、石垣島を訪れた時*7、飛行機から一瞬、掩体壕を見ることができた*8。とまぁ、これぐらい掩体壕には思い入れがある。

 愛知県内には航空自衛隊小牧基地*9内に掩体壕が数件残っている*10。三重県には上記一件しかないようだ。一度見に行かなければならない。



*1 三重の戦争遺跡(2)
*2 広報すずか 2 0 0 3 年9 月2 0 日号
*3 Komaki07.jpg
*4 中日本航空株式会社 | 第二格納庫
*5 高射砲隊・笠寺陣地
*6 今年二回目の石垣島・西表島(10)
*7 石垣島・西表島・沖縄本島
*8 05101400092.jpg
*9 航空自衛隊小牧基地公式ホームページ
*10 小牧飛行場(その2)

070121

 「三重の戦争遺跡*1」という本に興味深い戦争遺跡が載っていた。「聴音壕*2」と呼ばれる内径が3m、深さ2mの円筒状の煉瓦造りコンクリート張りの壕である。中にはコンクリート製の腰掛けが四つあるらしい。

 この中に入って*3アメリカ軍の爆撃機のエンジン音を聴きその接近をいち早く捉えていたらしい。アレシボ電波望遠鏡*4の超小型音波版みたいな感じである。

 残っているのは「壕」だけだが、当時は円錐形の屋根*5があったようだ。中で音を聴く人が雨で濡れないようにだろうか。考えてみればアレシボ電波望遠鏡*6のように真上からの音を聴いていては、防空としては時既に遅しである。斜めから来る低いエンジンやプロペラの音を屋根の内側で反射させて壕の中で聴いたのかもしれない。ただし三重県のそれに屋根があったかどうか判らない。

 敵機の音を聴くと言えば、大きなラッパが数個付いた聴音機*7を思い出すが、たった六十数年前*8にこういったラッパよりも更に素朴な軍施設があったかと思うと感慨深い。



*1 三重の戦争遺跡(3)
*2 みどり市|防空監視哨跡
*3 (4)監視哨 天を仰ぐばかり
*4 国立博物館-宇宙の質問箱★拡大画像
*5 4_1.jpg
*6 arecibo observatory photos
*7 man21.jpg
*8 海野十三 空襲下の日本

070122

 ある都合から携帯電話を契約した。十年ほど前に携帯電話を使っていたことがあるが、直ぐに止めた*1。それ以来である。通話は殆どしない。公衆電話で事足りる。主に利用したいのはインターネットである。

 それから折り畳み式の携帯電話が嫌*2なので、そうでない型*3にした。

 通信料金を抑えるため基本料やインターネット接続料金が最も安い会社を選んだ。その結果 ウィルコム*4という会社になった。PHS*5専門の会社である。PHSは山村などでは全く通話ができないが、筆者は市街でしか使う予定はないので問題ない。



*1 アンテナマーク
*2 格好いい携帯電話
*3 高度化PHS「W-OAM」に音声端末として初対応! ウィルコム「9 (nine)」 / デジタルARENA
*4 WILLCOM
*5 PHSとは 【Personal Handyphone System】 - 意味・解説 : IT用語辞典 e-Words

070123

 高速道路を走る時、時間に余裕がある場合は燃費を節約する*1ためにできるだけ大型トラックの後ろを走行するようにする。いわゆる「スリップストリーム*2を利用した走行」である。前方の自動車が空気の抵抗を受けてくれるので後ろにいると楽に走れる。空気を押しのけた結果、前車の後方では周りの空気を巻き込むため自車は前車に引き寄せられる。この引き寄せられる状態を路面を滑っている状態*3になぞらえて「スリップストリーム*4」と言うのだろう。

 燃費が良くなるのは気のせい*5ではなく、実際に効果がある。どのくらい良くなるかは、しょっちゅう同じ経路で高速道路を利用するわけではないので比較が難しいが、良くなっているのははっきりしている*6

 このスリップストリームを利用して自転車の最高速度記録に挑戦すると言うのをふと思い出した。自分の前に自動車を走らせて自転車を漕ぐのである*7。最近の記録では時速269kmも出たらしい。無茶苦茶速い。こう言った方式での挑戦は昔から行われている。七十年前でも自動車を使って挑戦*8したり、百年前には機関車の後ろを走る*9というのがあったようだ。線路に板を敷いて走った*10らしい。百年前は機関車が最も速かった乗り物で、その後で自転車を漕いで時速100km(1マイルを走るのに1分間)*11の速度を出した。

 こうやって見てみると先行車の最高速度が自転車の最高速度の鍵を握っているように思えてきた。スリップストリームを利用した自転車の最高速度の記録は真の自転車の記録と言えるのだろうか。高速で二輪車を走らせること自体に高度な技術を要するだろうから記録と言えば記録だろうが、どうも釈然としない。

 例えば先行車と自転車を鎖か何かで繋げて走ったらどうだろう。誰が見ても自転車の記録と認めないだろう。それでは強力な磁力で自転車を牽引したらどうだろう。当然、自転車と磁石は接触していない。これも磁力が存在していると分かったら誰も自転車の記録とは認めない。

 それでは自転車の後ろから扇風機で風を送ったらどうか。これも駄目だろう。では、自転車の前で大きな壁を持った自動車が風を遮りながら走ったらどうだろう。単独で自転車を漕ぐよりも「鎖で繋げている」方にかなり近い感じがする。



*1 燃費道(2)
*2 光る!スポーツ研究所
*3 雪道のドライブはスリップ事故にご注意!〜自動車保険の三井ダイレクト損保〜
*4 JET STREAM
*5 金属原子結合の歪みとダランベールのパラドックス
*6 燃料消費効率化改善に関する調査報告書(平成5年度)/3.1 燃料消費の要因と情報化・知能化の目的
*7 The formidable record of Fred Rompelberg and its development.
*8 frank80.jpg
*9 MILE A MINUTE MURPHY
*10 qqcbrmmm6.jpg
*11 Mile-A-Minute-Murphy

070124

 実家がある場所にはかって尾張最古の寺院があった。長福寺と言う。出土する瓦の形態から七世紀頃の建立と言われている。仏教伝来が六世紀*1なので、それから百年ぐらい後に建立された寺である。今でも実家の敷地内で少し掘り起こせば長福寺の瓦のかけらが出てくることがある。布目瓦*2なので、見れば*3それとすぐ判る。

 この長福寺の仏塔*4の心礎が実家近くの寺院にある。心礎*5とは五重塔などの中心柱*6の土台石のことである。この土台石がその昔、我が実家の敷地内にあったと聞いていた。いつ頃なのか判らぬが、現在の寺院に移されたと言う。筆者の父からは仏塔の心礎ということではなく、寺そのもの土台石と聞いていた。相当大きな土台石なので寺自体もかなり大きかったと想像できると聞かされていた。

 寺の土台石ではなく、仏塔の心礎であれば、五重塔などが敷地内にあったということである。やはり相当規模の大きな寺院だったことになる。幼少の頃、実家の横には竹藪があった。ここを宅地に開発する前に発掘調査が行われた。かなり深く掘っていた記憶があるが、寺の遺構などは全く発見されなかった*7らしい。大きな寺なので、調査した場所は、寺の敷地内で何もなかった所に当たってしまったかもしれない。実家の下、近所の民家や田畑の下には遺構が眠っていることだろう。

 久しぶりに心礎*8を見に行った。「長福寺」と刻まれている*9


*1 仏教伝来
*2 ぬのめ-がわら ?がはら 4 【布目 ▼ 瓦】の意味 国語辞典 - goo辞書
*3 文化財紹介 布目瓦
*4 日本の仏塔の歴史
*5 しんそ 1 【心礎】の意味 国語辞典 - goo辞書
*6 「揺れ」でユレに耐える五重塔
*7 東海諸国の塔 尾張長福寺廃寺(加納馬場廃寺):一宮市
*8 choufukuji_shinso01.jpg
*9 choufukuji_shinso02.jpg

070125

 今月の初めにロボットミュージアム*1に行ってきた。この時、土産物屋で大きなはずみ車の付いた四輪車の玩具*2を買った。

 玩具のはずみ車*3と言えば、ぜんまいとの組み合わせ*4を思い出す。これははずみ車しか付いていない*5。そう言えば昔の玩具ではずみ車しか入っていない物もあった様な気がしていきた。自動車の玩具で、はずみ車を回転させその勢いを溜込ませるために車輪が滑らない様に車体を押さえつけながら自分の腕が伸び切るまでゆっくり動かす。これを数回繰り返して、はずみ車の回転の音がこれ以上高まらないのを確認してから手を離すとはずみ車の勢いだけで自動車がびゅんと走り出した。

 この玩具は速く走ることを目的としていない。速くは走れないが少々の凸凹は乗り越えて行ける*6、という考え方で作られている。

 四つの輪にはそれぞれ黒いゴムタイヤが嵌め込まれている。中央の大きなはずみ車にも同様なゴムタイヤが嵌め込んである。何の為のはずみ車にもタイヤがあるのか。はずみ車は歯車で四輪のうち二輪だけにつながっている。あとの二輪ははずみ車に関係なく自由に回転する様になっている。通常は、はずみ車に勢いを付けて四輪で走らせるが、はずみ車に勢いをつけてからひっくり返し、自由に回転する二輪とはずみ車との三輪車状態で走らせることもできる様になっている。この時は四輪よりも速く走る。ただし、安定していないので上手く走らせるにはこつが要る。



*1 學天則
*2 ZECAR
*3 はずみ車式無停電装置
*4 1/40 ミニ グループセブン シリーズNo.3 マクラーレン M6A
*5 Kikkerland Zecar
*6 ZECAR.MOV

070126

 金はヨードチンキ*1に溶けるらしい。初めて聞いた。金は反応し難い*2いつまでも変化せずに輝いている*3から、装飾品や貨幣として利用されている。王水と言う強力な酸化力を持った酸*4に溶けるぐらいで、大抵の薬品には溶けないと思っていた。それが身の回りにある消毒液で溶けてしまうというのだ。これは驚かずにいられない。

 金がヨードチンキに溶けると言うことはいつ頃から知られているのだろう。1990年頃から*5らしい。しかもヨードチンキを温めればよく溶け、冷やすと金が出てくる*6ようだ。何らかの溶液に溶かした場合、大抵の金属においてこのような器用なことはできない。例えば熱濃硫酸に銅を溶かした*7後、溶液を冷ましても銅が金属として析出することはない。温度を下げると金が金属として析出されるのは、ミョウバン等をお湯に沢山溶かした後、溶液を冷やすとミョウバンが器の底に溜る現象*8と似ている。

 なぜ金がヨードチンキに溶けるのか。王水に溶ける理由は何となく判る。王水には強力な酸化作用がある。酸化とは原子から電子を奪い取る反応である。金原子からは電子が抜け難いので反応し難い*9と言える。王水は金原子から電子を奪い取り、更に金原子が電子を奪われてできた金イオン*10は、王水中の塩化物によって錯イオン*11となり溶液に溶け込んだ状態となる。

 ヨードチンキでの反応*12はどうなのか。ヨードチンキにはヨウ素が含まれている。ヨウ素は塩素と化学的性質がよく似ていて一括りにしてハロゲン*13と呼ばれている。金イオンはヨウ素で王水と同じ様に錯イオンができる*14らしい。では、ヨードチンキの中でどのように金が酸化されるのだろう。ヨードチンキは王水に匹敵する酸化力があるということか。



*1 ヨードチンキ
*2 JOGMEC独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 データ集
*3 金の延べ板
*4 楽しい高校化学(第4章−第6講) 4−6 金属の単体と金属イオン
*5 高Au/Ag比金鉱石・砂金へのハロゲンを用いた有機溶媒精錬法適用の試み -含金廃石再利用及び脱・水銀アマルガム法スモールスケールマイニングを目指して-
*6 可逆的な金の溶解・析出
*7 楽しい高校化学(第4章−第2講) 4−2 気体発生の主な反応原理
*8 ミョウバン飽和水溶液からの結晶製作と教育実践 -二槽式結晶育成装置による巨大結晶の成長観察-
*9 イオン化傾向
*10 Q. 王水は金や白金を溶かすほど強力なのに,ガラス製の容器が溶けないのはなぜなのでしょう?
*11 楽しい高校化学(第4章−第6講) 4−6 金属の単体と金属イオン
*12 ふしぎの国のかがくEXPO :: ヨードチンキで金を溶かそう
*13 ハロゲン | 学習百科事典 | 学研キッズネット
*14 11 ヨードチンキとビタミンCで金メッキ

070127

 久々に本業である「遺構探訪*1」に出かけた。行き先は三年程前に探索した三河湾に浮かぶ篠島*2である。今回もネーモン氏*3との合同調査である。この調査の話は去年の九月の会合*4の際に決まった。

 ネーモン氏の発案で筆者の知人を誘うことになった。とは言え、周りに遺構探訪に興味を持つ知人がなかなかいない。しかも今回は一泊での調査活動となった。こんな話に乗ってくる知人は皆無である。去年の七月に遺構探訪のリンク集*5に加えたサイト「underZero*6」の管理人はっとし_ぜろ*7氏に声を掛けてみた。はっとし_ぜろ氏は愛知県周辺だけではなく父島の戦争遺跡などの情報を積極的に発信している*8。はっとし氏からは「是非とも」との返事を頂き、氏の知人筆皇*9氏も加わって四人で探索することになった。記事上では、ネーモン氏、はっとし氏、筆皇氏と異様な名前が並ぶが、現実には実名で呼び合うので何ら違和感はない。

 知多半島の先端にある師崎(もろざき)港*10から船で篠島に渡るので、ここで四人は集合した。今回の探索の目的は篠島に構築されていたと言われている大砲陣地跡*11の発見である。これが発見できれば、愛知県内で最も新しい戦争遺跡の発見となるはずだ。砲台構築の根拠はこの資料*12による。この資料はネーモン氏が防衛研究図書館*13で入手した。この資料によると篠島には10cm加農砲*14が2門設置されていたようだ。図中に書かれた「10K(2)」というのがそれを示している。この資料だけを頼りに三年前に調査を行ったが全く痕跡を発見することができなかった。同時に行った地元住民の聞き取りによって、終戦間際に篠島には一個小隊が駐留していたらしいことは判った。その際に砲台陣地の構築が行われた可能性がある。今回はその再確認である。



*1 遺構探訪
*2 遺構探訪(5)
*3 米軍のコロネット作戦に対する日本軍の防衛
*4 ネーモン氏との話
*5 遺構探訪 リンク集
*6 underZero | 愛知県の観光スポット/城/戦争遺跡の紹介 |
*7 underZero 愛知県の観光スポット/城/ランクルの紹介 このHPについて
*8 underZero 愛知県の観光スポット/城/ランクルの紹介 戦争遺跡
*9 underZero 愛知県の観光スポット/城/ランクルの紹介 朱印倶楽部筆皇
*10 師崎商工会
*11 江ノ島砲台(その1)
*12 本土決戦準備 第十三方面軍 Shinojima_10K.jpg
*13 防衛省防衛研究所
*14 九二式10センチ加農砲

070128

 フェリーで篠島に渡り*1、荷物を宿に置いて探索に出かけた。加農(カノン)砲が据え付けられたと思われる山の中*2に入って行く。

 山の中に明らかに人の手による地形が見つかった*3土塁*4か通行路のような形状をしている。構築年代を示す様な残留物、コンクリート遺構などは見つからない。

 辺りを探している内に、前回の探索で見学した地域住民に弾薬庫もしくは火薬庫と呼ばれている煉瓦造りの遺構*5に辿り着いた。はっとし氏と筆皇氏とはこれ*6を見るのは初めてである。今回の合同調査で他に何も成果がないと気の毒なのでじっくり見てもらった。

 四人でさんざん探し回ったが、特にめぼしいものは見つからなかった。もう宿に戻るかと思い、向かったところ、ネーモン氏が雑木林の中で遺構を見つけ出した。コンクリート製の遺構*7である。何の為の施設*8なのか皆目見当がつかないが、コンクリートの風化具合から五十年程度は優に経過していると思われる。この発見で四人の意気は一気に高まった。他にはないかと探した所、別の所にもコンクリート遺構*9が見つかった。近くに土塁の様な物*10もあった。何も見つけられないと思っていたが、何とかそれらしき物が見つかった。

 宿で山中のコンクリート遺構について聞いてみた。すると、昔は山の上に島の水道施設があったと言うことだった。現在は長良川から取水*11して知多半島の先端から海底送水管を使って配水されている。それ以前は愛知用水から送水されていたようだ*12。このような離島水道事業の発達によって山の中の水道は廃止されたのだろう。しかしその場所は島民の居住地域からかなり離れている。また島の中央部の高台には水道施設がある*13らしい。もしかすると我々が探し出した遺構は、水道ではないかもしれない。ネーモン氏の鑑定によると戦争にはどうも関係なのではないかと言うことであった。本日の探索結果より「篠島には砲台は構築されなかった」と我々四人は断定した。ではあの資料の篠島の火力図*2は何であったのか。「計画であった」とした。

 宿*14では大御馳走*15が出てきた。特産のゆで蛸*16筆皇氏が悪戦苦闘しながら切り分け*17、皆で色々語らいながら楽しく食べた。



*1 遺構探訪(6)
*2 Shinojima_10K.jpg
*3 IMG_2059.jpg
*4 IMG_2061.jpg
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*10 IMG_2080.jpg
*11 うるおい木曽【木曽川用水】-水道用水供給地域(長良導水)
*12 夢の水道
*13 篠島観光案内地図解説
*14 篠島宿泊ガイド - 民宿編 - 民宿 富士
*15 IMG_2087.jpg
*16 IMG_2089.jpg
*17 IMG_2091.jpg

070129

 戦争遺跡調査の二日目*1。戦争遺跡はもう望めないので、別の遺跡を探訪することにした。「清正の枕石」を見に行った。これは名古屋城*2築城の際、徳川家康*3から助役を命ぜられた加藤清正*4が天守閣の石垣の石を篠島から切り出して海路を使って運んだ。ある日、清正は恰好の巨石を見つけ、それを運び出そうとしたが、万策尽きてその場所に放置してしまった*5と伝えられている。

 その放置された石には、それを浮かして移動させるための枕石が現在もかわれた*6ままになっているらしい。篠島の観光案内*7には必ず載っている。怪異・妖怪伝承データベース*8にもこの「清正の枕石*9」が掲載されている。

 五年程前にも見に行った*10ことがある。ところがどれがその「清正の枕石」なのかさっぱり分からなかった*11。この時はあまり時間がなかったので、適当に写真を撮って帰ってきた。今回はそれがどれなのかをはっきりさせたかった。これは戦争遺跡と違って名所にもなっている物なので、じっくり見れば判る筈だ。

 ところがそれらしき石*12が沢山あってやはりよく判らない。切り出し途中の石*13もあったが、伝説にある様な巨石でもなんでもない。少し離れた波打ち際にかなり大きな岩がありそこには切り出しのためのノミの穴が開けられている*14。これが「清正の枕石」と呼ばれる石なのか。だが、枕石そのものがどこにあるのか見当たらない。石の底面に「枕石」があるはずだが、それがどこなのかわからない。本当にあるのかどうか疑わしくなってきた。「知多半島 篠島」という篠島観光協会が作成した冊子によると「長サ五・二メートル。幅二メートル。厚ミ一・八メートル」とあるので恐らく波打ち際の大きな石のことだと思われる。あやふやなのがまさに「怪異」である。

 清正の次に行ったのは、島の中央付近に位置する小学校跡地*15である。たまたまその小学校に自動車を駐車したら廃校になっている様子なので構内を少しうろついた*16。正確には小学校は去年に清正の枕石近くにある中学校の敷地に移転しただけらしいので廃校ではない。

 教材用のポスト*17が校庭の片隅にあった。投函口が丁寧に封印されていた*18。島の人が本物の郵便ポストと間違えるといけないので移転後に塗り込められたのか、最初は教材用で使っていたがいたずらが酷くなって教材としての利用を小学校がまだここにあった時に廃止したための措置なのか。封印まで赤く塗る必要はなかろう。



*1 遺構探訪(7)
*2 名古屋城と金閣寺との焼失
*3 徳川家康 | 学習百科事典 | 学研キッズネット
*4 加藤神社公式ホームページ 加藤清正公を熊本城本丸にお祀りしています
*5 加藤清正の枕石
*6 かう【支う】の意味 国語辞典 - goo辞書
*7 篠島観光ガイド
*8 怪異・妖怪伝承データベース
*9 清正の枕石 | キヨマサノマクライシ | 怪異・妖怪伝承データベース
*10 篠島
*11 0204290003.jpg
*12 IMG_2099.jpg
*13 IMG_2102.jpg
*14 IMG_2103.jpg
*15 愛知県知多郡南知多町大字篠島の地図
*16 IMG_2107.jpg
*17 IMG_2108.jpg
*18 IMG_2109.jpg

070130

 篠島の小学校の跡*1の後は、美人地蔵を見に行った。「美人地蔵*2」とは筆者の造語である。五年前に篠島に訪れた時にこの「美人地蔵*3」を発見した。

 皆にこの「美人地蔵」を見せたくて、鎮座坐(ましま)す現場に連れて行った。出で立ちは少し変わっていたが、美人様はましましていた*4化粧の様子は変わっていなかった*5

 他に遺構はないかと島を逍遥していたら、面白い景色を見つけた*6。何の変哲もない錆び付いた鉄管が堤防に放置されているだけだが、何となくこの風景を見たことがある。北斎の「尾州不二見原*7」だ。後ろには富士山が見えていない*8し、職人も居る訳ではないが、何となく構図がよく似ている。

 うろうろしているうちに島を離れる時刻が迫ってきた。船に乗って知多半島の先端の師崎*9に渡るために港に向かった。港の横に公民館の様な施設がある。正面には施設の名前が書いてあるのだが、風雨に晒されたためか篠島の「篠」の字しか残っていない*10。しかもその一部が欠けてしまっている。五年前の写真を見ると「篠島*11」は完全に残っていた。長引く不況で直す気も起きないのだろうか。

 帰りのフェリーが着いた*12。これにて第二次篠島砲台合同調査は終了である。砲台は発見できなかったが、今回の調査で太平洋戦争時の篠島には砲台が構築されなかったということで互いの納得が得られた。十数年もすればたとえ構築された事実があったとしても証言できる人々がすべて物故されてしまうと、永遠に真相が判らなくなってしまうだろう。これで篠島における砲台調査を終了するのは、何やら残念な気もしてくる。砲台がないならないで確固たる証言や証拠が欲しいところである。

 尚、この篠島での二日間について、はっとし氏もweb上で写真付き紀行文を公開している。参照されたい*13



*1 遺構探訪(8)
*2 美人地蔵
*3 jizou2.jpg
*4 IMG_2122.jpg
*5 IMG_2125.jpg
*6 IMG_2127.jpg
*7 Hokusai: Bishu Fujimigahara
*8 尾州不二見原
*9 観光ボランティアガイド・師崎
*10 IMG_2147.jpg
*11 0204280007.jpg
*12 IMG_2149.jpg
*13 愛知県 篠島 その1

070131

 2007年1月1日現在、一つの郡に一町村*1の状態の郡が全国に158もあるらしい。五年前にこの「一つの郡に一つの町村」のことを記事にしたことがある。この頃は滅多にないような気がしていた。現在は平成の大合併*2にによりこういった状態が沢山出現しているらしい。

 どんどん合併を進めていくと一つの県内に一つの市というのが出てくるのではないか*3、と大阪府よりも面積の広い岐阜県高山市が誕生した時に書いた。郡もなくなると同時に市もなくなるという県が出てくるかも知れない。



*1 郡
*2 市町村合併情報 平成の大合併 <国土地理協会>
*3 新しい高山市



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