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0707雑記草


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070701

 地球温暖化*1が進んで北極の氷がどんどん溶けてしまう*2。北極の氷が溶けるとホッキョクグマの生息地が縮小*3して絶滅してしまうかも知れない。

 そこで「ホッキョクグマさんがかわいそう。みんなで地球温暖化を止めよう」と幼児や児童向けのスローガン*4ができてくる。実際にそういうのがあるかどうかはよく探さないと判らないが、似たようなもの*5は沢山あるだろう。

 北極にいるのがクマさんではなく、ゲジゲジ*6ゴキブリ*7だったらどうだろう。ホッキョクゲジゲジやホッキョクゴキブリを守ろうという話になるのだろうか。

 ゲジゲジは見た目が不快なので不快害虫*8と呼ばれる。蚊やゴキブリを捕食する*9らしいので人間にとって益虫のはずだが、見た目だけで害虫にされている。

 ホッキョクグマは見た目が可愛い。だから取り上げられる。つまり人間中心なのである。環境問題の一番の問題はこの人間中心主義*10だろう。真の環境問題を訴えるのならば、人間の活動によって自然の均衡が崩れたことを主眼としなければならない。希少生物が絶滅することだけが問題ではない。ホッキョクグマもゲジゲジも同じ生物であり、同じ地球の住人であることから教えなければ根本的な解決につながらないだろう。

 しかしこれは無理な話で、やはり地球は人類のためのものなのである。それが大前提で人類の歴史が築かれてきた。今さらこれを否定することはおそらく不可能だろう。成長の限界*11は近いかも知れない。一方、地球温暖化は人類の活動が原因*12なのかどうかはよくわからない。本当に問題ならば「かわいいクマさんがかわいそう」程度では全く間に合わない。



*1 亀の冬支度(4)
*2 地球温暖化の影響と北極/北極海氷減少は地球温暖化によるものか
*3 WWFの「ホッキョクグマ衛星追跡プロジェクト」:WWFの活動/WWFジャパン
*4 スローガンとモットー
*5 コラム:温暖化としろくま
*6 ゲジゲジ
*7 ナメクジとゴキブリ
*8 個別ページ:ゲジ
*9 名古屋市:ムカデ・ゲジについて(暮らしの情報)
*10 コンゴツメガエル
*11 EICネット[環境用語集:「成長の限界」]
*12 Intergovernmental Panel on Climate Change<

070702

 これ*1は1945年四月、終戦直前の空襲で焼け落ちた国鉄蒲田駅*2にできた臨時の出札所の写真らしい。車両の窓の上に「出札所」と筆書きされた看板が掲げられている。

 看板には「山々」と縦に書いて「出」という漢字の代わりにしている。万葉仮名に出てくる戯訓(ぎくん)*3の「山上復有山*4」と似た発想だ。「山の上にまた山が有る」から「出」となる。「山々」の場合は「山の繰り返し」だから「出」である。

 「*5」記号は、元来同じ字を繰り返して書くのが面倒だから考案された*6のだろう。しかし「山」と「々」とでは画数が同じだから少しも略されていない。一体、「出」を「山々」と書いた理由は何なのか。少しでも使う墨の量を減らしたかったのか。

 考えてみると「々」を使ってわざわざ手間を増やしている場合がある。「一々」「人々」がそうだ。「上々」「下々」「大々的」はあまり得した気分にならない。「々」で書体が小さくなった分、得したと考えればいいのか。



*1 shussatujo.jpg
*2 JR東日本:各駅情報(蒲田駅)
*3 ぎくん 0 【戯訓】 - goo 辞書
*4 日本国語大辞典第二版オフィシャルサイト:日国.NET
*5 乞々仲象
*6 編集部だより 辞典編集部 Q 「佐々木」の「々」は,なんと読む?

070703

 「山」と「々」と縦につなげて一字の漢字として「出」の代わりにする例*1を挙げた。「々」は繰り返し記号なので、当然、「山」が上で「々」が下*2である。

 様々な文字のフォントを集めた文字鏡*3には、この漢字はなかったが、「々」が上で「山」が下の漢字*4はあった。一体、何と読むのだろう。これも「出」の代用と考えればいいのだろうか。



*1 山々
*2 shussatujo.jpg
*3 Mojikyo institute - Home
*4 007901.gif

070704

 「山」の下に「友」*1と書く字がある。中国にはない字で、和製漢字*2である。国字とも言う。パソコンでは通常の文字として表示できない。探したが、文字鏡*3にもない。漢和辞典には載っている。「なぎ」と読む。幽霊漢字*4の一つである「 *5」に似ている。ただし「山+友」の場合は読みも用例もあるので、幽霊ではない。

 用例は地名だ。「なぎのした」という地名が愛知県豊田市の字(あざ)にある。この字の「なぎ」は、かって「山+友」と書いた。そしてこれがこの漢字の唯一の用例らしい。現在は「崩ノ下 *6」と書く。従って実用となる用例は消失している。

 それにしてもこの小さな地名だけの漢字はどうして作られたのだろうか。「杁」という字は愛知県の尾張地区の地名専用の字である*7。他では使われない。尾張藩で作られた字だからである。これと同様に「山+友」も地名用に江戸時代に作られた字なのだろうか。

 現在は「崩ノ下」となった。平成十三年に変更された*8。「崩」には「なぎ」という訓はないが、「朋」と「友」との連想で常用漢字の「崩」と入れ替えたのだろう。いや、元々「崩」という漢字からの連想で「山+友」という和製漢字を作ったのだろうから本来の字に戻ったと言うべきか。

 「なぎ」とは山の崖のような所を意味する*9らしい。「なぐ*10」というのは「横にはらって切り倒す」だから、山がバサッと切り崩されたような所を指すのだろう。鎌崩と書いて「かまなぎ」と読む例*11がある。

 こんな珍しい漢字を使った地名がすぐ近くにあるのなら一度行ってみなければならない。



*1 nagi.gif
*2 和製漢字の辞典
*3 Mojikyo institute - Home
*4 幽霊漢字
*5 あけび
*6 Yahoo!地域情報 - 郵便番号検索 - 愛知県 - 豊田市
*7 尾張の字
*8 愛知県告示第563号
*9 なぎ 0 【▼薙】 - goo 辞書
*10 な・ぐ 1 【▼薙ぐ】 - goo 辞書
*11 Report51 鹿の平

070705

 以前、紹介した大きな看板のラーメン屋*1が潰れていた。その店では物凄くまずい味噌ラーメンを平気で出していたが、果たせるかな店がなくなった。やはり大きな看板の飲食店は不味い物しか出さないので潰れてしまうのである。味が悪いもしくは自信がないので大きな看板を出さないと人が入らないのである。

 旅行先でのうまい店の判別方法の一つは「大きな看板の店は不味い」である。



*1 不味いラーメン屋

070708

 何かの拍子に高校生の娘とその父親との人格が入れ替わってしまったと言う設定のテレビジョンドラマを小学六年の上の娘*1が見ていた。

 そこで娘に実際に入れ替わったらどうすると聞いたら、「もう、死ぬ」と即答された。



*1 ニート島

070709

 「ノリホ*1」とは何かがわかった。ノリホとは、「旅客列車乗車人員報告書」のことで、それを入れる箱を「ノリホ入れ」と言うらしい。旧国鉄の主要駅のプラットホームに設置されていたようだ。民営化後もそれは受け継がれている。確か、中学生の頃に駅でそれを初めて見つけた。つい最近もどこかで見かけた。中学の学友に「のびほ」という渾名を持つ者がいたので、どうしても彼の顔が浮かんでしまい、「ノリホ」が何の事なのか考えることができなかった。

 「ノリホ」とは「乗車」を「ノリ」、「報告書」を「ホ」と略したもの*2らしい。永年の疑問がようやく判った。

 それでは渾名の「のびほ」の由来は何か。彼の名前は「のぼる」である。それが少し変化して「のびる」と言われるようになった。そして更に変化して「のびほ」となった。この変化に必然性はなかった。「ノリホ」もその類と考えてしまい、由来を推測しようとしても彼の顔ばかり浮かんでしまったのである。



*1 e011014_04.jpg
*2 NHK放送文化研究所 「てつ」のことば(1)

070710

 国鉄貨車の積載重量記号は何故「ムラサキ」なのか。「ム」は14〜16t、「ラ」は17〜19t、「サ」は20〜24t、「*1」は25t以上を示す。何故、ムラサキなのか。何か意味があるのだろうか。鉄道省の旗が紫だったからと言う説*2があるらしいが、根拠ははっきりしていない。何かの符丁になっているのだろうか。

 ムラサキの符丁と言うと「紫暗号機」を思い出す。戦時中、外務省が使用していた機械式暗号化機械の名前である。正式名は「暗号機B型*3」と言ったらしい。「紫暗号」と貨車の「ムラサキ」符丁とは何かつながりがあるのだろうか。

 全く関係はない。紫暗号とはアメリカで付けた名前*4だった。日本の外務省が使っていた暗号機を当時、アメリカで「Purple*5」と呼んでいた。紫暗号とはそれを訳しただけだった。知らなかった。



*1 9507260006.jpg
*2 NHK放送文化研究所 ことばウラ・オモテ
*3 The MAGIC Documents, Summaries and Transcripts of the Top Secret Diplomatic Communications of Japan 1938-1945 | 国立国会図書館
*4 Purple Crypto
*5 purple2.jpg

070712

 二十代の中国人の女性と話す機会があった。この女性は中国国内のみで一年半程度かけて日本語を習得したらしい。にもかかわらず日本人と殆ど変わらないぐらい日本語が堪能である。

 話している内に麻雀*1の話になった。中国では麻雀が禁止されていたと思っていたが、現在は問題はないらしい。麻雀が禁止されていたのは文化大革命の頃だけ*2のようだ。彼女は上海に住んでいて、時々やると言う。麻雀は地方によって違うらしい。彼女によると四川の麻雀は違うという。

 日本でも地方によってルールが大きく変わる。東北地方などは「完全先付け*3」が当たり前らしい。四国では三人麻雀*4が盛んなので麻雀荘には三人用の麻雀卓が置いてあるという。中国のルールがどれだけ違うのか聞かなかったが、そもそも日本と中国では基本が違うと言うことを聞いたことがある。振り聴がない*5らしい。香港の麻雀映画を観ると「*6」に捨て牌をきちんと並べていない。これでは振り聴*7の判別が付かない。

 「中国の麻雀は花が沢山あるんでしょう」と聞いたら「あるある」と答えてきた。花とは「花牌*8」のことである。春夏秋冬梅蘭菊竹*9と書かれた牌が手に入ると得点が増えることになっている。「花」で通じたことに感動した。「花」という日本語からすぐに「花牌」のことだと察しが付いたのだろう。

 今度また合ったら麻雀に誘おう。



*1 香港製麻雀牌
*2 麻雀博物館 宝物閲覧
*3 先付け
*4 BASHIBASHIサンマを打ってみよう!―麻雀倶楽部―
*5 現代中国の麻雀
*6 青空麻雀
*7 振り聴
*8 take14.jpg
*9 mahjong_hk.jpg

070715

 それにしても何故、未だに「温室効果ガス*1」と呼ぶのだろう。温室効果ガスというのは大気中に含まれると地球温暖化の原因になると考えられている気体のことである。最もよく知られているのは二酸化炭素*2、メタンガスなどで、あまり知られておらず身近な気体としては水蒸気などがある。

 温室効果というのは温室が暖かくなる現象を指している。しかし温室の温度が上昇するしくみ*3現在考えられている地球温暖化のしくみ*4は全く違う。前者は温室内に温室効果ガスが一切なくても温度は上昇する。温室内の地面が温められ、地面からの熱伝導によって温室内の空気が暖められる。これは実験で簡単に確認できるだろう。後者は温室効果ガスが地表から発せられた赤外線を一部吸収することによって大気全体の温度が上昇すると考えられている。大気中に赤外線を吸収する気体があればそれがない時よりも温度が上昇しやすいのは間違いないだろう。一般的に大気の温度は、この温室効果ガスの存在が要因である*5とされている。こちらは全地球規模の現象なので実験で確認するというのは難しい。

 本当の温室では地面からの熱伝導、温室効果では地面から発せられた赤外線の吸収なので、全然違う。原理が全く異なるのに、温度が上昇する点が同じだからと言って言葉をそのまま流用するのは科学的態度ではない。誤解が生じやすい。それに根本が解っていないような感じがして少し間抜けでもある。英語の「greenhouse gas*6」というのも的確ではないし、「greenhouse*7」でイギリスの片田舎の庭を連想してしまい緊迫感がない。

 名前を変えるべきだ。そもそも地球温暖化とこれらのガスとの因果関係が明確になっていない*8ので「温暖化ガス*9」というのも変である。少し長くなるが、「赤外線吸収ガス」でいいのではないか。英語ならば「infrared*10 absorption*11 gas」でいいだろう。



*1 温室効果ガスによる地球温暖化とは
*2 温室効果ガスとは?
*3 温室効果
*4 EICネット[環境用語集:「温室効果」]
*5 JCCCA / 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム
*6 Greenhouse Gases, Climate Change, and Energy
*7 Greenhouse Gallery Winney from Hartley Botanic
*8 地球温暖化(5)
*9 温暖化のしくみ
*10 in・fra・red - goo 辞書
*11 ab・sorp・tion - goo 辞書

070716

 地球温暖化が大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスによって引き起こされているのを簡単に説明する図をよく見かける*1。もし大気がなければ、地球の表面は-18℃程度になってしまい、二酸化炭素が含まれる大気があるので現在は+15℃程度になっているらしい。

 何故、大気がないと地球の表面温度は-18℃になってしまうのだろう。地球の表面温度は太陽に照らされている結果である。-18℃といっても、宇宙の平均温度は-270℃ぐらい*2なので、かなり温められている。この地球表面の温度は太陽からの光の強さが変わらない限り変化しない。地熱*3も少しは影響があるかも知れないが、夜になれば大抵温度が下がるので、やはり太陽からの光が表面温度を決めている*4

 「-18℃」と言うのは簡単に計算できる*5。これはある法則に基づいて計算される。ステファン・ボルツマンの式*6を使う。これはある物体から放射される赤外線(熱線)の面積当たりのエネルギーはその物体の絶対温度の四乗に比例するという式*7である。絶対温度というのはこの世の最低温度を「0」とする考え方で単位は「K(ケルビン)」である。普通の摂氏温度に273を足せば絶対温度に換算できる。温度は物体を構成する分子や原子の運動だからこれが完全に止まった状態が「絶対温度0度」である。宇宙の平均温度は-270℃なので273を足すと「3K」になる。殆ど完全に凍りつく寸前の温度である。

 物体からの放射エネルギーが計測できれば、その値から温度がステファン・ボルツマンの式を使って計算できる。耳式体温計*8もこの原理を使っている。

 こういう説明があった。もし大気がなかったらステファン・ボルツマンの式から地球の表面の温度は-19℃になる*9。これはこれでいい。太陽から降り注ぐエネルギーの計測値によって計算結果が若干ずれているが、これは大した問題ではない。

 次では大気がある場合を説明している*10。便宜的に温室効果ガスを含んだ大気は薄い膜のようなガラス板のようなものを想定する。これは温室効果と温室そのものとを混同する原因*11になっているが、エネルギーの収支を表現するためだけならいいだろう。

 太陽から地表には1平方メートル当たり236Wのエネルギーが降り注がれている。大気の膜からは上下に1平方メートル当たり236Wのエネルギーが出ている。宇宙から見ると大気がなくてもあっても地球から出ているエネルギーは地表もしくは大気からの直接の反射の102Wと236Wとを足して1平方メートル当たり338Wになる。太陽からは338W来ているので収支があっている。この状態であれば宇宙から見て地球が「-18℃」となっているのは、大気の存在、更には二酸化炭素の存在は全く関係ない。

 大気がある場合、大気から上下に236W出ていると仮定しているので地表には太陽からの236Wと大気からの236Wが降り注いでいることになる。この状態が保たれていれば地表からは二つの合計の472Wが放射されていることになる。この472Wから地表の温度を計算すると「+29℃」になるようだ。これで温室効果ガスを含んだ大気の存在によって地表の温度が上昇すると説明できる、と言っている。

 どうも腑に落ちない。



*1 地球温暖化とは --- 気候アクションセンターおきなわ
*2 国立科学博物館-宇宙の質問箱-宇宙論編
*3 地熱発電の基礎知識(1)
*4 地球を温めるもの
*5 火星の放射平衡温度を示す式とその説明をして欲しいのですが…【古典物理】
*6 ステファン・ボルツマンの法則(Stefan-Boltzman's law)
*7 黒体輻射
*8 体温計
*9 地球表面の平均温度(大気がなかったら)
*10 地球表面の平均温度(大気があるとき)
*11 温室効果ガス

070717

 地球温暖化の仕組み*1の解説で、大気を膜と考え、そこからの赤外線エネルギーが放射されるとする説明図*2がある。考えてみるとこれは全く辻褄の合わない説明図だ。この図で言うエネルギーは「1平方メートル当たり」のエネルギーである。エネルギー保存の法則*3はあるが、「1平方メートル当たりのエネルギー」の保存の法則はない。足し合わせることは基本的にはできない。

 この図*2では、大気の薄い膜から上下に1平方メートル当たり236w放射されている。上下に236W出ているから合計「1平方メートル当たり472W」にはならない。大気の膜の上下のどこを測定しても「1平方メートル当たり236w」であって、上下を合計する物理的な意味は全くない。大気があってもなくても太陽から降り注ぐエネルギー量は同じとしたのだから、宇宙から見て地球から放射されるエネルギーも同じでなくてはいけない。従って大気の膜は、大気がない地球の地表と同じ「-19℃」になっている。この温度を保つためには地表からの放射は同じ値の「1平方メートル当たり236w」でないと収支が合わない。つまり大気がある場合の地表も大気がない時の地表の温度と同じ「-19℃」*4でないと、大気の膜が地表から受ける放射が「1平方メートル当たり236w」にならない。

 最終的には大気があっても地表の温度は変化しないことになる。そもそも熱的に釣り合いが取れていることを前提に計算しているのである。太陽から降り注ぐエネルギーによって大気のない地球が-19℃になっているということは「-19℃の表面温度の太陽」がすぐ近くにあることと同じ事になる。太陽の表面温度は約6000℃*5だが、地球までの距離が遠い*6ので光が広がって1平方メートル当たりのエネルギー量はかなり小さくなってしまっている。大気がある場合も同じである。宇宙から見て地球から放射される1平方メートル当たりのエネルギーが同じなら、大気も当然「-19℃」である。

 地表や大気からの放射量から地球温暖化は全く説明できないことになる。



*1 温暖化の説明図
*2 地球表面の平均温度(大気があるとき)
*3 ●NHK高校講座「理科総合 A・B」●学校放送●
*4 地球表面の平均温度(大気がなかったら)
*5 太陽
*6 地球

070718

 地球温暖化の簡単な説明図*1が納得できない。辻褄が合わないと思ってその理由を書いた*2が、よく考えてみるとその理由も辻褄が合わないような気がしてきた。一体、何がおかしいのだろう。

 この説明図*3では、温室効果ガス*4を含む大気をビニールハウスのビニールになぞらえて薄い膜で表現している。これはこれでいい。この薄い膜の上下から放射されている1平方メートル当たり236Wのエネルギーを足し合わせるのに意味がないと書いたが、考えてみるとやはり意味がある。大気の膜が無限に広がる一枚板とすると、1平方メートルだけを切り出せば、その部分からは236W+236W=472Wのエネルギーが出ていることになる。

 改めて基本的なところから考え直してみる。まず大気がない時*5。地球からは1平方メートル当たり236Wのエネルギーが放出されているとする。これは太陽の熱で地球の表面が温められた結果である。そしてその温度はこの説明図*5だと「-19℃」になる。地表が「-19℃」に保たれていると仮定すれば、ステファン・ボルツマンの式*6から1平方メートル当たり236Wのエネルギーが放出されていることになるので、そのエネルギー源は太陽の光でなくてもよい。太陽の光ではなく地熱*7によって「-19℃」に保たれているとしよう。地球の中心に温度の低い太陽があるとしてもよい。とにかく地球自体が熱源を持っていることにする。

 すると地球の全表面から均一に1平方メートル当たり236Wのエネルギーが放出される。宇宙から見れば地球は「-19℃」に見える。

 次に大気の膜だけの地球より少し大きい天体を考える。ボールのように中身は空っぽで真空になっている。これも表面が「-19℃」に保たれていると仮定しよう。これも熱源が膜自体にあるとする。このボールからは宇宙に向かって1平方メートル当たり236Wのエネルギーが放出される。同じようにボールの内側に向かって1平方メートル当たり236Wのエネルギーが放出される。これはこの説明図*3と同じである。ただし、内側に放射されたエネルギーは、反対側に吸収される。また反対側から来たエネルギーを吸収する。それらのエネルギーの強さは「1平方メートル当たり236W」になる。従ってボールの内部ではエネルギーの移動はないと考えてもよい。

 では「-19℃」のボール天体の中に「-19℃」の大気のない地球を入れたらどうなるか。地球の表面から1平方メートル当たり236Wのエネルギーがボールの膜に向かって放出される。ボールはそのエネルギーを吸収する。するとボールの膜は地球から余分なエネルギーを貰ったので、ボールの膜の温度が上昇するのだろうか。ここからが判らなくなる。

 同じ温度の物をいくら集めても温度は変化しないはずだ。50℃の水に50℃の水を混ぜても温度は全く変化しない。ボールも地球もどちらも「-19℃」なので、温度は変わらない。はずだ。

 どう考えればいいのか。



*1 温暖化の説明図
*2 温暖化の説明図(2)
*3 地球表面の平均温度(大気があるとき)
*4 温室効果ガス
*5 地球表面の平均温度(大気がなかったら)
*6 Stefan-Boltzman's law
*7 地熱発電の基礎知識(1)

070719

 温暖化の説明図*1の続き。大気の膜の内部に初めから「-19℃」の熱源があるとすると、内側では地球からの「-19℃」分の放射、1平方メートル当たり236Wのエネルギーを受け取り、大気の膜からは同じ量のエネルギーを内側に向けて放射すれば辻褄が合う。そして同量のエネルギーを外側に放射するので、宇宙から見れば「-19℃」になる。

 では大気の膜が絶対温度*20度だったらどうなるか。「-273℃」の時である。地球からの「-19℃」分のエネルギーの放射を受け取って、どんどん大気の膜が温まり、次第に大気の膜からの放射量が増えていくのだろうか。

 大気の膜が現実の物体であれば、熱容量*3があるので、エネルギーを吸収すれば内部にエネルギーを貯めることができる。それによってその物体の温度が決まる。温暖化の説明図ではステファン・ボルツマンの式だけで記述されている*4ので、大気の膜の熱容量など関係がない。つまり放射エネルギーの出入りでその物体が何度になるかが考慮されていない。もしかしたらこの時点でこの説明図*4は破綻しているかもしれない。

 温度が最初から与えられていれば熱容量は関係ない。ステファン・ボルツマンの式で放射エネルギーと温度との関係は一義的に決まる。しかし放射エネルギーの出入りによって物体の温度が変化するのであれば、その物体の熱容量が定義されないと物体の温度は求められない。エネルギーの吸収によって、その物体が何度上昇するかが定義されないと計算できない。はずである。

 仮に絶対温度0度の大気の膜が温められて「-19℃」になったとする。地表からは「-19℃」分の1平方メートル当たり236Wのエネルギーしか受け取らない。大気の膜からは1平方メートル当たり236Wのエネルギーが出ているので、大気の膜と地表との間では正味のエネルギーの移動量は「0」になる。従って大気の膜は「-19℃」で一定になりそれ以上にはならない。



*1 温暖化の説明図(3)
*2 華氏
*3 熱容量
*4 地球表面の平均温度(大気があるとき)

070720

 温暖化の説明図*1の続き。大気の膜、地球それぞれの熱容量を考慮しないで温度を決めることができるだろうか。

 熱容量*2を考慮しなくてもよい場合はどういう時か。宇宙に置かれた無限に広がる平板*3を考える。仮にこの板の温度が「-19℃」だとしよう。板の裏表からは「-19℃」分のエネルギー、即ち「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」が放出されている。エネルギーが放出されれば、平板が持っているエネルギーがどんどん減ってしまうのでその温度が下がる。しかし熱容量が定義されていないので、どのように温度が下がるか判らない。はっきりしていることは、最終的には絶対温度0度になることだけである。最終的に何度になるかが判っていれば熱容量は考えなくてもいい。逆に最終的にどれだけのエネルギーを放出するかが判れば、この時も熱容量は関係ないだろう。

 このどんどん冷えて最終的には絶対温度0度*4になってしまう平板に平行に同じ様な板を置く。平行に置いた板の温度が何度であっても最終的には絶対温度0度に落ち着く。板の間で放射エネルギーのやり取りがあっても最後にはどちらも絶対温度0度になる。

 次に常に「-19℃」の平板を考える。常に温度が一定なので放射されるエネルギーも一定で「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」になる。この板に平行に温度変化が自由な平板を置く。この板は「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」を受け取り温められる。温度は物に蓄えられるエネルギー量に比例する。どれだけのエネルギーで何度になるかが熱容量だから熱容量が決まらないと何度になるか判らない。しかし「-19℃」より高くならない。「-19℃」より高くなれば元々の平板から来る放射エネルギーよりも出ていくエネルギーの方が大きくなるので、「-19℃」より高くはなれない。

 では「-19℃」より低いままでいられるか。ある温度に落ち着くまでは、受け取ったエネルギーの一部は自分の温度を上昇させ、残りは平板の裏表で放出されるエネルギーとなる。そしていつかは温度が落ち着き、「-19℃」の平板から受け取るエネルギーは一旦吸収して、そのまま吸収した全エネルギーを半分ずつ表裏で放出するようになる。つまり「1平方メートル当たり236÷2=118Wのエネルギー」が放出されるようになる。放射エネルギーはステファン・ボルツマンの式から絶対温度の四乗に比例しているので、放射エネルギーが半分になれば、温度は2の四乗根分の1になる。「-19℃」は絶対温度では254Kなので、これを2の四乗根で割ると214Kになる。これを摂氏に直すと「-59℃」となる。平板を置くだけで「-19℃」から40℃も下がった。これは熱遮断の原理となっている。

 ここで「-59℃」になった平板から「-19℃」の平板に放射される「1平方メートル当たり118Wのエネルギー」はどうなるのか。「-19℃」の平板に吸収されるだけである。常に「-19℃」と仮定したからそうなる。

 では、「-19℃」の平板の温度が変化すると考えるとどうなるか。戻ってくる「1平方メートル当たり118Wのエネルギー」によって温度が上昇し、それによって平行に置いた平板の温度が上昇し、更に戻りのエネルギーが増える。すると元々あった「-19℃」の平板の温度が上昇する。これを繰り返して平行に置いた平板が「-19℃」になった時、その板からは「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」が放射され、元々あった平板は「-19℃」の熱源と平行に置いた平板からの「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」で、合計「1平方メートル当たり236+236=472Wのエネルギー」を平行に置いた平板に向かって放射することになる。この時温度は302K、摂氏ならば「+29℃」になる。

 平行に置いた平板側が「+29℃」になれば、その反対側も「+29℃」になっている。となれば「1平方メートル当たり472Wのエネルギー」を放出していることになる。一枚の平板の時には温度が「-19℃」で、表裏それぞれ「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」の放射だったのが、エネルギーも何も持たない平板をもう一枚平行に置いただけで全体では「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」と「1平方メートル当たり472Wのエネルギー」との放射になってしまった。

 これはどういうことか。



*1 温暖化の説明図(4)
*2 熱容量と比熱
*3 二平板間の熱輻射
*4 温度ってなんだろう。

070721

 地球温暖化説明図*1の続き。宇宙に無限に広がる温度が「-19℃」の一枚の平板がある。これに自分自身が熱源を持たない平板を平行に置くと、もともとあった平板の温度は何度になるか。もともと「-19℃」なのだから、別の板を平行に置いただけで温度が変わるはずがない。しかし平行に置いた板からの戻りのエネルギー放射によって、「-19℃」の方の平板の温度も上昇するという計算になってしまった。何が間違っているのだろう。

 正味のエネルギーの移動で考える。対象とするそれぞれの温度が一定になっている状態を想定する。物体が温度を持つことによって、その温度の四乗に比例したエネルギー*2電磁波が放出*3される。室温付近であれば赤外線が主体*4になる。物体間で電磁波のやり取りがあるが、正味のエネルギーの移動は温度の高い物から低い物への移動だけ*5である。

 戻りのエネルギー放射があっても正味のエネルギーの出入りの結果、温度が決まっていると考えればいい。「-19℃」の平板からは「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」が出ている。平行に置いて熱源のない平板はそのエネルギーを受け取り温度が上昇し、最終的には一定温度になる。受け取ったエネルギーは平行に置いた板の表裏から半分ずつ再放出する。「1平方メートル当たり118Wのエネルギー」は宇宙に放出され、「1平方メートル当たり118Wのエネルギー」は「-19℃」の平板に戻る。

 従って「-19℃」から出ている「1平方メートル当たり236Wのエネルギー」から、平行に置いた板からの戻りの「1平方メートル当たり118Wのエネルギー」を引いた分が、移動している正味のエネルギーとなる。これは平行に置いた平板から宇宙に放出しているエネルギー量と同じになるので辻褄が合う。「-19℃」の平板の片面から出ていくエネルギー量が半減したのでその分はどうなるのか。どこかに行ってしまうのか。もともとの平板の温度が「-19℃」のままであれば、どこかに行ってしまう。そうでなく「-19℃」の平板の温度上昇に使われるとするならば、その平板の熱容量*6が決まらないと計算できない。熱容量が「無限大」の時はどうなるか。いくら熱エネルギーを注入しても温度は上昇しないので「-19℃」のままである。熱容量が「0」の時はどうなるか。温度が決まらない。

 ここで地球温暖化の図*7に戻る。「-19℃」の平板とは、地球のことである。地球の熱容量が決まってないと二酸化炭素からの戻りのエネルギーによって上昇する地球の表面温度は決まらない。熱容量は大体そのものの質量で決まる*8。重い物は熱容量が大きい。大気中の二酸化炭素の重さ*9と地球の重さとを比較すれば圧倒的に圧倒的に地球の方が重い*10。二酸化炭素に比べて無限大としてもいいだろう。そうなると二酸化炭素の平板があるだけでは地表の温度は殆ど上昇しないことになる。



*1 温暖化の説明図(5)
*2 ステファン・ボルツマンの法則 Stefan-Boltzmann’s law of radiation
*3 プランクの法則、公式、放射則 Planck’s law of radiation
*4 ウィーンの変位則 Wien's displacement law
*5 熱力学第二法則の定義
*6 熱 容 量
*7 地球表面の平均温度(大気があるとき)
*8 比熱
*9 観察1 大気の中にある物体(大気の圧力)
*10 地球の質量が再計算された(FLORIDA)

070729

 家のテレビジョン受像機が壊れた。水洗いした方*1ではない。五年前にかった32インチのブラウン管式テレビジョン受像機*2である。

 中学三年にも拘わらず勉強もせずテレビジョンを見ていた息子*3によると突然電源が切れたという。それ以降、電源を入れると内蔵されているリレー*4の様な物ががちゃがちゃ音を立てているだけで画面には何も映らない。暫くすると、自動的に電源が切れてしまう。

 五年程度で壊れるのは納得いかないが、これを機会に大型の平面型テレビジョン受像機*5に買い換えるか、それとも修理をするか。



*1 テレビジョン受像機の水洗い(5)
*2 テレビを買った
*3 戻ってきた息子の財布
*4 RJシリーズスリムパワーリレーにCR回路付きを新発売 : ニュース&イベント : IDEC
*5 フラットパネルディスプレイとは 【FPD】 - 意味・解説 : IT用語辞典

070731

 小田実*1が死んだ。彼の「何でも見てやろう*2」を学生時代に読んだことがある。講演会に行って話を聞いたこともあった。直接見ているので、テレビジョンで彼の映像を見かけると何となく親近感があった。



*1 作家 小田実のホームページ - OdaMakoto.com
*2 何でも見てやろう - 電子書店パピレス



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