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0804雑記草


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080412

 ガリレオ*1思考実験*2というのがある。「重い物も軽い物も同時に落ちる」というのを頭の中で実験を想像して証明するのである。

 全く同じ形で、同じ重さの鉄球を二つを用意する。これらをピサの斜塔*3から同時に落とせば同時に落ちる。これは疑いようがない。そこで「重い物は先に落ちる」が正しいとする。例えば鉄球が磁石になっている。二つを離して同時に落とした時よりも二つをくっつけた方が倍の重さになるので、速く落ちるはずだ。「重い物は先に落ちる」としたのだから当然だ。疑いようがない。

 全く同じ形のガラス玉と鉄球とを用意する。これらをピサの斜塔から同時に落とす。「重い物は先に落ちる」はずだから鉄球が先に地面に到着する。そこでガラス玉と鉄球とをくっつける。接着剤を使うと全体の重さが変わってしまうので、何か上手い工夫*4をしてやる。鉄球同士ならば溶接すればいいだろう。とにかくガラス玉と鉄球とをくっつけて実験をする。

 鉄球はガラス玉より速く落ちようとし、ガラス玉は鉄球よりもゆっくり落ちようとするので、落ちる速度はそれぞれ単独で落とした時の中間の速度で落ちていくに違いない。否、そもそもガラス玉と鉄球とを足した重さになっているのだから それぞれ単独で落とした時よりも速く落ちるはずだ。どちらも正しい思考実験結果になっている。これは変だ。

 ということは最初に「重い物は先に落ちる」としたのが間違っている。これが「重い物も軽い物も同時に落ちる」ことを証明するためのガリレオの思考実験*5らしい。

 この実験は正しいのだろうか。思考ではなく現実の実験ならば全く問題ない。実際に同時に落ちるからである。筆者は実験したことはないが、誰かが実験している。日常で軽い物がゆっくり落ちるのは空気の影響があるからだ。空気が殆どない月面でそれは証明されている *6万有引力の式*7からも質量に関係なく同じ加速度で動くことになっている。

 思考実験の場合はどうか。何故、鉄球同士をくっつけた場合やガラス玉と鉄球とをくっつけた場合に速く落ちていけないのか。ガラス玉と鉄球との場合、落ちる速度が中間の速度になったり、速くなったりするのが何故いけないのか。

 ガラス玉と鉄球との場合、結論が二つ導かれてしまうのは、推論の仕方が間違っているだけだ。ガラス玉と鉄球とをくっつけた時点で、実験に関連する物の性質は変化してしまっている。この思考実験では「重さ」しか物の性質として扱っていない。ガラス玉と鉄球とをくっつけた時点で、ガラス玉と鉄球とを足した重さになった「対象」はガラス玉でも鉄球でもない。従って前提からガラス玉単独の性質や鉄球単独の性質では振る舞わないので、中間の速度になると言う推論は不適切である。数字だけにすると判りやすい。「1g」の物と「1000g」の物とを足して「1001g」になった物は「1g」「1000g」よりも速く落ちることになる。「重い物は速く落ちる」という前提からは、中間の速度になる結論は出てこない。

 思考実験の中に「重い物も軽い物も同時に落ちる」という現実の実験結果が紛れ込んでしまっている。思考実験の結論を否定する時にこの現実の結果を使っている。そもそも「重い物は先に落ちる」として思考実験しているのだからそれに反する結果が出るはずがない。



*1 ガリレイ・ガリレイ
*2 講 義■ Lec 010(その1) 見えないもの:見えないものを見る方法
*3 The Leaning Tower of Pisa - official web site
*4 錬金術
*5 科学エッセイ:ガリレオと物体の落下法則 - 学びの場.com
*6 Apollo 15 Hammer-Feather Drop
*7 2-2-1-1 万有引力と遠心力(**)

080413

 亀の寝床を水槽から外した。亀の冬眠あけは、五年前は四月二十三日*1、四年前は四月十日*2、三年前は四月十五日*3、一昨年は四月七日*4、昨年は四月八日*5だった。



*1 亀の冬眠明け
*2 亀の冬眠明け(2)
*3 亀の冬眠明け(3)
*4 亀の冬眠明け(4)
*5 亀の冬眠明け(6)



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